読書感想文 :: ロングレンジ/アイネクライネナハトムジーク 伊坂幸太郎(著):: 落とした財布~大きな相関図
ロングレンジ
Kindle Unlimited で見つけて読んでみた。短編2編で、もう1編は『アイネクライネナハトムジーク』の1章「アイネクライネ」。
なぜ一緒に?と思い、読んでみると納得😊
少しネタバレになるが、両方とも「落とした財布を拾った人と付き合う話(物語の中の会話に出てくる)」が、ストーリーの雰囲気を司る。
アイネクライネナハトムジーク
この本、Kindle の購入履歴には「この商品を2018/1/26に購入」とある。
「ロングレンジ」で再読した「アイネクライネ」以外の短編が気になり再読した。
KIndleのライブラリ/伊坂幸太郎(著)
アイネクライネナハトムジークを再々で、読みかえさなくても済むよう、備忘メモを残しておきたい。
アイネクライネ
仙台駅西側2階デッキと、道路工事の通行止めで出会う物語。
ライトヘビー
彼の小説にはボクシングのことが時々出てくる気がする。
ドクメンタ
5年ごとの免許センターでの出会い。マメではないサーバ管理者。
ルックスライク
アイネクライネの頃と、約20年後の物語が交互に。
アイネクライネで赤ちゃんだった子供が女子高生。
メイクアップ
高校時代のいじめっ子が、取引先企業の社員として来社。
相手は気が付かない。
ナハトムジーク
ボクサー小野学を中心とした、短編集の総まとめ。
アイネクライネ、10年後、19年後の話が前後する。
感想
以前、読んだときには小説を書いていなかったので、一読者として楽しんだ。 自分で小説を書いていると、いろいろなところが気になる。
伊坂幸太郎氏は、文章の構築が巧みな作家さんなので、読んでいて勉強になると思う反面「自分では書けないな」と思ってしまう。
それぞれ短編のストーリーは(ちょっと変な)日常系で、起承転結がある訳ではなく、どちらかと言うと「始まりを予感させる」で、終わる物語が多い。
著者のあとがきに次のようなくだりがある。
それでも読者を飽きさせないのは、会話のユニークさではないかと思う。
あんなに面白い話を話し続ける人が周りにいたら大変。その場から離れられなくなる。
登場人物の所作や景色の書き表し方は普通かな、と思い読み進むと、時折思いもよらない表現を放り込んで来て感心する。
物語の中でボクシングや企業広告のことを、よく書き込んでいるなと思ったら、あとがきにネタ元が書かれていた。
情報の出自をちゃんとあとがきに書くところに、著者の誠実さを感じる。
この短編集、映画にもなっているが観ていない。
三浦春馬さん主演(最後の主演は「天外者」)。
読んで短編集作成のヒントになったこと
・短編集で各々が独立した物語でも、登場人物に相関関係があれば、読者は読み返したりして物語が好きになる。
・一つのシーンを別の短編に違った形で登場させれば、物語の深みが増す。
・短編同士の相関関係を最初からかっちりと構築するのか、最初はぼんやりと意識して文字を紡いで繋げていくのかは作者の技量?
アイネクライネナハトマジーク 登場人物相関図
MOH