今更ながら『天気の子』を観る。新海誠監督作品の簡単な振り返りと、SFとして観た感想文
『Whiplash(邦題:セッション)』と同様、Amazon プライムから外れる直前に『天気の子』観終えた。
扉絵は公式HPから。当然だが最新作ではない。
作品の振り返り
彼の作品、初見は「秒速5センチメートル」。
AppleのiTunes Storeで、映画が販売 or レンタルされていた頃に購入。
世の中にサブスクリプションの無かった時代。
当時、彼の作品はこれしか知らず、自分の中ではその後作風が変わったのを意外に思ったが(SF? ジブリ系?)、調べてみると彼のスタートが、SFアニメ自作なのを知り納得。
作品を並べてみると「秒速」と「言葉の葉」だけが、SF・ファンタジー系から外れており、作品群の中では異色なことに気が付く。
「君の名は。」以前の作品は、注目されてはいたものの興行収入的には、おそらく赤字だったのではないか。
「秒速」は、板や配信で売上が上がったのかも知れない。
「君の名は。」のヒットは顕著で、国内だけで250億円の興行収入。
映画の出来もさることながら、製作委員会方式をとり東宝が全国に配給した効果も大きかったと思う。
それ以降、作品の興行範囲が広くなり、今後もそれに合わせた作品を出そうとすれば、日本を舞台(監督の拘りから日本の空は必須。飛ばなきゃだし😊)にした、SFファンタジー(+ジブリ系)の作品になると思う。
最新作もそんな感じでしょう?
「天気の子」 SF的な感想
物語の半ばまで展開がゆったりとしており、実は途中でうたた寝をしていた。
少年が走り始めるところから物語が動き出し、そこからは見逃さずに観た。
登場人物の無茶振りは(警察署や児童相談所から簡単に逃げ出す)物語なら、ある話。
肝心な場面で、最初から神がかりな天野陽菜が空を自由に飛び回るのは良いとしても、一般人設定の森嶋帆高が一人で空を飛び始めるシーンは、理屈づけが欲しいところ。
ジブリ映画だと思えば、見慣れているので疑問は湧かない(千と千尋とか)。
但し、千と千尋は異世界設定。
ラストで2年半後の東京が広範囲に水没しているのは腑に落ちる。
ただし矛盾も残る。
東京湾の海水面があれだけ上昇すれば(レインボーブリッジの橋げたまで水没している。橋げたの高さは現在の海面から52m)世界中が大騒ぎ。
別のディストピアな物語が始まる。
SF・ファンタジーはどんなにとんでもない設定をしても良いし、それが当たり前の世界だが、自分が構築した世界の中で整合性を取らないと、物語をウソくさく感じてしまう。
主人公は雨が止まない2年半、保護観察(ピストル発射)を受けながら真面目に高校生活を過ごし、故郷の島から東京の大学へ進学するというリアルな設定なので、レインボーブリッジが水没する映像には無理がある。
(主人公が進学予定の東京の農業大学キャンパスも水面下にあるはず。)
MOH