見出し画像

いずれすべては海の中に/ サラ・ピンスカー SF短編集(Sooner Or Later Everything Falls Into The Sea /Sarah Pinsker )

久しぶりに、一つの短編の次を読みたくなる短編集に出会いました😊

本と著者の情報

内容紹介
最新の義手が道路と繫がった男の話(「一筋に伸びる二車線のハイウェイ」)、世代間宇宙船の中で受け継がれる記憶と歴史と音楽(「風はさまよう」)、クジラを運転して旅をするという奇妙な仕事の終わりに待つ予想外の結末(「イッカク」)、並行世界のサラ・ピンスカーたちが集まるサラコンで起きた殺人事件をサラ・ピンスカーのひとりが解決するSFミステリ(「そして(Nマイナス1)人しかいなくなった」)など
奇想の海に呑まれ、たゆたい、息を継ぎ、泳ぎ続ける。その果てに待つものは――。静かな筆致で描かれる、不思議で愛おしいフィリップ・K・ディック賞を受賞した異色短篇集。

アーシュラ・K・ル=グウィンや、ケリー・リンクの作風を受け継ぎながら、彼女自身の不屈の声が全面に響いている。
――〈カーカス・レビュー〉

幻想的な要素を含みながら、同時に、現実にある身近な喪失と痛みに根ざしたほろ苦い物語だ。この物語には、美しい繊細さがある。思索的(スペキュレイティヴ)な要素で読者の頭を殴ることはなく、物語の多くの側面を行間に残している。ピンスカーはサブテキストを非常に巧みに扱い、ページ上ではひとつの物語しか描かれていないが、読者にはふたつの完全な物語が提示されている。
――A・C・ワイズ(作家)

2020年度フィリップ・K・ディック賞受賞作

【収録作品一覧】
「一筋に伸びる二車線のハイウェイ」
「そしてわれらは暗闇の中」
「記憶が戻る日(リメンバリー・デイ)」
「いずれすべては海の中に」
「彼女の低いハム音」
「死者との対話」
「時間流民のためのシュウェル・ホーム」
「深淵をあとに歓喜して」
「孤独な船乗りはだれ一人」
「風はさまよう」
「オープン・ロードの聖母様」
「イッカク」
「そして(Nマイナス1)人しかいなくなった」

https://www.amazon.co.jp/gp/product/B09XX71DFD/

感想とか

第20代日本SF作家クラブ会長😊池澤春菜(声優)さんが書かれた、日経新聞の書評、最初の段が全て言い尽くしているので、それ以上書くことはありません😅

「どんな本?」
 と、聞かれたら
「フィリップ・K・ディックを現代風にして、読みやすくした本」
 と、答えると思います。

SF好きの方であれば、誰でもとは言いませんが、
「こんな物語を書けたらな」
と、思われる方が多いのではないかと。

Amazonの評にある『幻想的な要素を含みながら、同時に、現実にある身近な喪失と痛みに根ざしたほろ苦い物語』がこの短編集をよく表していると思います。


MOH


この記事が参加している募集

読書感想文

SF小説が好き