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Movie, Film

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映画・ビデオのレビュー
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#映画感想文

アンチグラビティ(原題:Coma 「昏睡」)/夢の中を漂うSF映画

前々からウォッチリストに入れていた映画をようやく観た。 予備知識なしにSF映画だと思い見始めたら、開始からまもなく「夢オチ」宣言され「アレレ?」と思いながら見続けると、ロシアのカルト教団の話で終わる。 ネットには映像を評価する意見が多いが、個人的にはシナリオの変転が面白かった。 雑感(大いにネタバレあり)SF映像の世界は「夢の世界」設定なので、何でもあり。 唯一の障害(敵)となる「死神」は、脳死しても機械で生かされている人達の亡霊らしい。 ただし、複数の人たちが夢の中で

The Signal/2015年米国SFスリラー映画/謎にクセのある作品

SF映画としてもスリラー映画としても、好き嫌いが分かれる作品。 雑感主人公たちが隔離施設に監禁されている映像が長く感じられ、それが政府の施設であれば映画とは言え、あんなに都合よく主人公たちが抜け出せるはずがない。 施設を逃げ出してからの行動と、彼らを取り巻く環境も不自然。 そんな疑問を抱きながら映画は後半へと向かう。 主人公に「ここはエリア51だから云々」と語らせ、逃げ出した後も政府の秘密基地内から抜け出せていないことを示唆する。 ラストシーンまで主人公を追うデイモン

Strangers of Patience(邦題:美しすぎる裸婦)美しい映像が主人公/ロシアのしつこい写真家は要注意…

「映像が綺麗」な、映画だと思う。 それだけだと飽きが来るので、Amazon で一番濃いレビューどおりの映画なのかを確認するために見続けた。 雑感マリーナが聴覚障害者でないことが分かる決定的な場面は、アンドレが不在の時に階下で鳴る電話に気がつき、階段を降りて固定電話の側まで行くシーン。 電話器を眺めるが受話器を取ることはない。 こんなシーンがあるのに、その他の多くのAmazon 評価は「女性虐待云々」等々、単なる変態映画と勘違いしている。 プライムビデオ評価者の多くは(無

Absolutely Anything(邦題:ミラクル・ニール)/アホらしくて笑い飛ばせるSFコメディ/ロビン・ウィリアムズ最後の(声の)出演作品

1時間半の短い映画で、肩の力を全力で抜いて楽しめる。 公開当時、The Guardianの表は⭐️一つ⤵️ 「チープで陰気なSFコメディ」との評。 雑感SF設定を使ったコメディ映画。 The Guardian 評のとおり安っぽさに溢れているが、陰気には感じなかった。 主人公がなんでも出来る能力を使い、世界平和や地球温暖化に対応するシーンは、この映画が公開されてから10年経った現在がより深刻な課題。 当時はまだ笑い飛ばせるレベルだったのかもしれない。 映画の中でも、どれもが

ブルー・マインド(2017年スイス映画)/ キャッチコピー「少女は変態する」(間違ってはいないが…)

思春期に苛立つ少女の日常でスタートし、エンディングに近づいたところで急展開し、ファンタジーで終わる映画。 雑感女の子をキレイに撮っている映画(途中からグロもある)。 公式サイトのコピーもそれを謳っている。 『恐ろしくも美しく、狂おしく淫らな、カミング・オブ・エイジ・ホラー』 "Coming-of-Age Horror Movies" とは何ぞ?と思ったら、あちらではそのようなジャンル分けがあるらしい。 いくつかサイトを見てみたが、どのランキングにもこの映画は入っていな

Malignant(邦題: マリグナント 狂暴な悪夢)/夢を見るのが怖くなるかもしれない

プライムビデオ見放題終了は、7月22日24時。 スリラー映画を滑り込みで視聴😊 というか最近は「見放題終了」に釣られて観ることが多い気がする。 見放題終了商法? 公式ページ。 雑感主人公が眠っていて殺人現場が見える理由が分からず、日常生活でちょっとしたことにも怯える主人公を描くところまでは少し安っぽいホラー。 ストーリー半ばから漆黒の殺人鬼が姿を現す場面からはアクションホラー。 物語的に「これだと当たり前すぎるな」と思っていると、終盤で本当の理由が明かさせるところはS

マイ・セックス・ドール( 2020年 タイ映画)/アダルト映画ではないし、ロボット論を語る映画でもない

明るい学園もの?コメディ😊 雑感主人公宅に届いたAI搭載ドールの話す言葉が、日本語なのは何故?😅(タイ語の字幕が出てくる) 初期言語が日本語。他に英語とタイ語ができる😅設定。 ドールに表示される単語が時々、日本語… 日本は技術とスケベの国という印象が強いのかも知れない。   主人公が通う大学でのシーンで学生が白いシャツに黒いズボン or スカート。 タイの大学に、制服があるとは知らなかった。 ストーリーは、ドール(ロボット)のアンナが人間の心を持ち始めることで話が進み、そ

Byzantium(邦題:ビザンチウム)/切ない吸血鬼の物語

Amazonプライムビデオで「残り30時間」に釣られて観たら、意外に面白かった。 雑感事前情報無しに観た。 「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」の監督(Neil Jordan)が撮った「吸血鬼映画」というのは知っていた。 観てみると同じ吸血鬼でも設定が異なる。   吸血鬼映画には必須の「血を吸われたものは眷族になる」ではない。 今年、原作コミックが終了した『よふかしのうた』などもこれに倣っている。 アニメは2期制作が決まっているらしい。 話をByzantiumに戻す。

X エックス :: 観たことのないプロットで、予想が外れる怖い映画

この映画、3部作の中編だが、最初に公開された。 制作元は2012年に設立されたA24 Films LLC。 映画・テレビ番組の制作、映画配給を専門とするアメリカの独立系エンターテイメント会社。 3部作の時間軸とおおまかな内容は次の通り ・Pearl:1918年テキサス殺人事件(X老婆の若い頃) ・X:この映画(1979年) ・MaXXXine:Xの大虐殺を生き延びたマキシン(Maxine)は1985年ロサンゼルスでストーカーから逃げながら、有名女優の夢を追う。 A24公

MEMORY メモリー / リーアム・ニーソン(70歳)がアルツハイマー型認知症の殺し屋を演ずる

前から観ようと思い、ウォッチリストに入れていた作品。 トレーラー 雑感リーアム・ニーソンは好きな俳優。 以前に何度か作品をつぶやいている。   つぶやき 有名な『96時間』や『ナルニア国物語』のことを書いていないが、自分が一番好きな作品のことも noteに書いていなかったり… 高齢化社会向け? 20世紀に高度経済成長を遂げた国々は、どこも高齢化社会になりつつある。 高齢化社会に対応してなのか、エンターテインメントの主人公も高齢化。 エルフのフリーレンとドワーフ

Die Wannseekonferenz (ヴァンゼー会議)『邦題:ヒトラーのための虐殺会議』/狡い会議の進め方

イスラエルのガザ侵攻前にドイツで作られた映画。 今、観るといろいろと思うところはある。 映画そのものはwiki(de)が詳しい。 (機械翻訳で) 2022年のこの映画、過去に1984年ドイツで、2001年にはイギリスで映画化されている。 雑感 当時の議事録に基づいて作られた映画で、俳優の仕草等はともかく映像の通りに議事が進行したようだ。   議決された内容の「トンデモナサ」はさておき、「通したい提案」を会議に掛けるための準備(内輪のメンバーに事前に情報を与える)、場所

コリン・ファレル主演『Suger』全8話/クラッシックな映画ファンには興味深いドラマ

オープニングが終わると、そこは渋谷のスクランブル交差点。 「アレッ?」と思うが、主人公コリン・ファレルは仕事の依頼で日本を訪れただけで、直ぐ舞台はハリウッドに変わる。 21世紀ロサンゼルスが舞台のハードボイルドな私立探偵物語 物語が始まるとコリン・ファレルは現代風で裕福な私立探偵。 ・趣味の良いホテル住まい  あちらこちらにカメラを付け、居ない時の訪問者をMacBookで確認😊 ・バーでウイスキーのストレートを煽っても酔わずクルマを運転 ・仕立ての良いスーツとシャツを纏い

『無名』 原題「无名」 / 日本公開日に映画館へ(海外では2023年に公開済)

内容はフィクションだが時代背景は史実に基づいており、第二次世界大戦以前の中国事情を少し知っておかないと、話の筋が見えにくいと思う。 王一博推しのらん💚85号さんが、1年前に配信で観た感想を熱く語っている。 映画の内容は、そちらの記事が詳しい。 雑感 「身内がオンラインでチケットを取ってくれたので一緒に行った」が、映画館へ行くまでのモチベーション。でも観始めると130分が短く感じられた。 雨のシーンが多く雨に降られるが故の人物の仕草、全体的にトーンを落とした映像が、スパ

ARGYLLE(アーガイル)/コメディーに全振りのスパイ映画

ARGYLLEは2024年3月1日公開の映画。 ネットで配信も始まっている(多くが有料)。 Appleが2億ドルで権利を獲得したため、Apple Oneでは無料で観られる。 Appleの資金回収は難しそう。 トレーラー 雑感前回の映画感想文からスパイものが続くが、両作品は全く別モノ。 Red Sparrow(レッド・スパロー)は、原作を元CIA職員が書いておりリアリティさを感じるところもあるが、この映画はエンターテイメント路線。 バトルシーンはダンスシーン。 リアルな