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「全ては目的意識」事業を横展開したフリーランスが定めた行動指針 ー セックスカウンセラー ぽかべさん取材記事

「ブログは稼げる!」というメッセージが一時期、Twitter上で散見されました。しかし、SEOを攻略して、記事上で商品を売り、アフィリエイト制度を利用してお金をいただくのは…とっても難易度が高いのです…。
 
「ブロガーからフリーランスになるのは無理ゲーなのでは?」と思っているわたしですが、ブログを入口に、自分自身のメッセージを確立しながら、事業を横展開しているフリーランスを知っています。それがぽかべさんです。
 
ぽかべさんへのインタビューを通して、フリーランスが仕事の幅を広げ、さらに踏み込んで、自己実現につなげるコツを探りました。

ブログから早期に横展開へ。つながりで広がる仕事

ーぽかべさんの現在のお仕事内容から教えてください。
 
ブログ、ライティングがメインのお仕事です。ラブライフカウンセラーとして、さくっと行える性の相談サービス「ぽかべちゃんいますか」の運営もはじめました。

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座右の銘に「性は身近なもの」と掲げ、性に関する発信をTwitterをはじめとしたあらゆる媒体で行っています。
 
ーぽかべさんといえばブログ、という印象をお持ちの方も多いことと思います。いつぐらいに、どのようなきっかけで始められたんですか?
 
ブログを始めたのは約2年前ですね。もともとは都内でOLをしていました。勤務時間が長いうえ、仕事が合わず、2018年の2月に身体を壊して休職をしたんです。そのときに、頭の整理のために始めたのがブログでした。
 
当時は、書きたいことを書くだけだったので、いまとは全く発信内容が異なっていました。気分転換に行ったホットヨガのレビュー記事なんかをアップしていましたね。
 
ーまだ2年程前のお話なんですね。そこから、本格的にブログを仕事にしようと乗り出したのはどうしてですか?
 
最初は、単純に楽しかったんです。それまで、わたしは優等生であることを守ってきました。「言われたことをやる」。行動基準を自分自身で決めることがあまりなく、他人の目を気にして決めることが多かったように思います。でもブログは、自分でやりたいと思い、やりました。それに周りから「面白い」などのポジティブな反応が返ってきたことが嬉しく、仕事になればいいなあと思うようになったんです。

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ちょうどその頃、プロブロガーとして活躍しているあんちゃさんの書籍『アソビくるう人生をきみに。 好きなことを仕事にして、遊ぶように生きる人生戦略』と出会いました。そのときはまず「プロブロガーって職業があるんだ!」という驚きがありましたね。
 
ー仕事にしたいなというぼんやりした想いがあり、それを実現している人に出会ったんですね。
 
はい。同じタイミングで、イベント企画をされている方がわたしのブログを読んでくれて「一緒にセミナーをやらない?」と誘ってくれました。

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そのしばらく後、TwitterでみつけたECサイトで紹介されているアダルトグッズのレビュー記事をブログで公開するようになり…そこでやっとアフィリエイトも挑戦するんです。
 
わたしは数字をモチベーションにするタイプではありません。行動が正直なんです。なので、「お気に入りのものを紹介する」ことで収益化ができるアフィリエイトは自分に合った仕事だなと思っています。ブログには自分が使って本当に良かったものしか載せません!
 
ーブログ一本で稼ぎを立てるというよりも、はじめから横展開されていったんですね。ライティングの仕事はどのように受注したのでしょうか?
 
わたしの場合、人とのつながりでいただくことは多いですね。ここ2年半、セクシャル界隈のイベントに、とにかくたくさん参加しています。ライターとしての依頼は、そこで出会った人から受けているんです。
 
個人として発信テーマがはっきりしているからこそ、「わたしに頼めばこういう記事が完成する」と先方もイメージしやすいのでしょう。
 
収入的にフリーランスは不安定なので、「今月はもうちょっと稼ぎたいな」というときに、クラウドソーシングサイトを利用して受注することもありますよ。

「性」に特化した活動の先に目指すポジション

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ーぽかべさんの活動は、はじまりから「発信」が軸になっていると思います。ただ、性はまだまだクローズドな話題…発信する上で、困難を感じることはありませんか? 

同じく性に関連したポジティブな活動をしている仲間のなかでは、TwitterのDMで性器の写真が送られる、などの被害を受けている人もいます。悲しいことですが、珍しい話ではありません。正直、抵抗もあります。

なので、プライベートなことは出しすぎないなど、発信する上での線引きはしています。また、性について発信するアカウントとは別にサブアカウントも運用していて、自分自身の「伝えたい強いメッセージ」と「書きたくて書くもの」は分けるようにしていますね。
 
ーこの度、新たにセックスカウンセラーとしての相談サービスをリリースされましたね!カウンセリングを行うことにしたのはどうしてですか?
 
自分で情報発信をする過程で、「もっと正確な情報を届けないと」という意識が強まりました。わたしがカウンセリングを学んだプログラムは、ラブライフカウンセラーに特化しており、性の知識も一緒に学習し、理解を深められるものだったんです。
 
ーいままではぽかべさんの声というのは、不特定多数に向けられていましたよね。カウンセリングは個人やカップル向けに行うものですが、なにか変化はありますか?
 
そうですね、より多くの人に対して発信をしていたので、「これは誰のために書いているんだろう?」と不安を覚えるときがありました。その一方で、わたしが声をあげていたから、周りの友人が困ったときに頼ってくれるケースもあったんです。それに応えることにやりがいを感じ、対面でのサービス提供を考えるようになっていきました。

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ーなるほど。1対1のコミュニケーションがしっくりきたんですね。 

なので、まずは形からと思い、カウンセリングという手段を学んで実践することにしました。実はカウンセラーって特別な資格取得が必要なわけではないんですよね。フリーランスとして、サービス提供が可能になっています。
 
はじめは、「正確な情報発信がしたい」「お客様の顔を対面で見ながら仕事がしたい」という気持ちでした。そこから、カウンセリングに足を踏み込んで1年が経ち、自分自身の役割が見えてきたんです。
 
わたしは、友達と専門家の間に立つカウンセラーになりたいと思っています。
 
ー相談サービスのコピーを「サクッと便利な性の相談サービス」にしているところにその想いを感じられます。
 
以前、女子高生の方のセックスカウンセリングを行いました。そのときに言われたことがいまでも印象に残っているんです。

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「友達は共感してくれる。なんでも話せる。だけど、正確な情報や、具体的なアクションは分からないまま。かといって、婦人科の病院へ行って話すのには抵抗がある」
 
友達と専門家のブリッジになる存在の必要性を強く感じました。相談サービスであれば、共感からくる安心も、正確な情報も、それを必要とし困っている人に届けることができます。

目的意識と手放すことで、ブレない行動指針を確立

ーブログからスタートし、着実にご自身のやりたいことを実現しているぽかべさんですが、キャリアの設計を行っているのでしょうか?
 
キャリア設計…とかって言葉はあまりしっくりこないのですが、自分が先に据えている目的の確認はしっかり行っています。
 
「自分がどのように人の役に立ちたいのか」「仕事の先にどんな影響を期待するのか」ここをとことん考え抜くと、おのずと必要な勉強や、行動、実績が見えてきます。それをひとつずつやっていくだけです。

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わたしの目的は「性の話題をタブー視する日本の傾向を払拭する」です。そのためにはまず、わたし自身が性の悩みに全方向的に応えられるようになる必要があります。だから、まだまだ勉強が必要です。
 
ー社会を変えるとなると、もっと発信を届ける域も拡大することになりそうですね。
 
もともと性に関心のある方には、情報は届きやすいでしょう。でも、困っている人全員となると、いまのままでは足りませんよね。友人の言葉を借りて「認知の壁」と言っているのですが、潜在的に性の知識や相談窓口を欲している人までサービスや発信を届けるのには障壁があります。
 
この壁を乗り越えるために、発信の形も掛け算していこうと思っているんです。いまはブログ、Twitter、メディアへの寄稿記事が主軸となっています。ここから、紙媒体などマスに作用する媒体への露出も増やしていきたいですね。
 
ーなかなかぽかべさんのように、自分の内側・進む道の先としっかり向き合うことが難しい人もいると思います。意識していることはありますか?
 
去年末までは、来たものを打ち返す、それだけに必死になっていました。そうすると、未来に投資する時間がもてません。振り返りの機会を定期的に作ることで、自分のそういった現状を省みて、改善しようと動きました。
 
手放すことが大事だと思います。実は、カウンセリングに本腰をいれるために、ライティング関係のお仕事を、一部手放しました。
  
ーそれは大きな決断ですね。その分、収入にも影響がありそうですし…。
 
フリーランスのはじまりだったブロガーの頃は、周りと比較して焦って、「自分は追う立場だ」と落ち込んでいました。でも、人それぞれ目的は違うんです。そもそも追ったところで、目的は達成されません。

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わたしが今、はっきりした目的意識を持っていられるのは、全くビジョンがなく、迷いがあった時期に、とにかく行動をしてなんでも打ち返していたからだと思います。それで、自分の行動力の足腰みたいなものが鍛えられました。そこから、残すものと捨てるものを判断していったんです。そういった過程を経て、いまは自分の行く先、そこに行くための行動が明確になっています。
 
ーまずは行動し、振り返って考え、目的を決める。ぽかべさんの2年間の飛躍はそこに詰まっているんですね。本日はありがとうございました!

セックスカウンセラー:ぽかべさん
ブログ / Twitter 

企画・取材:野里のどか
ブログ / Twitter

#オンライン取材ライター とは】
こちらのインタビュー記事は #オンライン取材ライター の企画記事です。コロナの影響で、取材という仕事が減った中、「自分でオンラインでしちゃえばいいじゃん!」ということで大好きな人たちへの取材を始めました。取材のノウハウはあまり世に出ていないので、実際の取材の様子と、完成した記事によって、これから取材ライターになりたい人の参考になれば嬉しいです。

🔽実際の取材の様子はこちら


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