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「熱烈ファン」という一種の「思考停止」。

「ファンというものは、漫画は作品につき、小説は作者につく」という言葉がある。いやホントはいま作りました。というのも単純に自分がそういう傾向があるなという話なのだが。漫画は同じ作者でもけっこう当たり外れがよくあって、小説は違う作品でも作者が同じならあまり外れない、という経験からだ。
特にジャンプなどは結構同じ作者が続けて当てることが難しく、「黒子のバスケは好きだったけどロボ×レーザービームはちょっとね…」とか「NARUTOの大ファンだったけどサムライ8はあんまり…」とかのパターンがある。自分に置き換えれば 「うる星やつらファンだったけど犬夜叉読んでないんだよなぁ…」という感じ。
小説は同じ作品の続編をずっと出すことが少なく、あってもせいぜい一桁(グインサーガなどの特例除く)。むしろ単体で終わることのほうが多いため、自然と作者のほうで追いかけることになるという背景もある。そのため「伊坂幸太郎作品なら安心」「村上春樹の作品は無条件に買う」といった「作者買い」が発生する。

で、主に漫画か小説でしかそういう傾向はなかったのだが、作品のスタッフ情報などがより出回るようになってくると、「映画も監督で選び、テレビも演出で選ぶほうが外れが少ない」と分かってくるようになった。
映画は最近ほとんど見なくなってしまったのであまり幅広く言えないが、沖田修一監督作品に関しては、今のところ外れたことがない。「南極料理人」「滝を見に行く」「横道世之介」と全部好みの作品だった。
テレビでいうと佐久間宣行プロデューサーが関わっているものは、かなりの確率でツボにはまる。思わず著書の「できないことはやりません ~テレ東的開き直り仕事術」も読んだくらいだ。テレ東辞めちゃったけども。「ゴッドタン」「あちこちオードリー」いずれも好き。ゴッドタンは正直あまり好みではない企画の時もあるが、まぁ別に全部合ってなくてもいいし。

ただ、こういう風に「〇〇さんが関わっているなら間違いない」という状態は、 ちょっと危険でもある。いわゆる信者化しやすいからだ。いろんな事情やらタイミングによって実は失敗してたということもあるだろうが、そんな時でも「〇〇さんが変なものを作るわけがない」という風に盲目になってしまう。有名人がプロデュースするのもそういうファンを狙ってのことだ。最近は裏事情がバレやすいのでそういうプロデュースも名前貸しだけでなくちゃんと関わる様子を見せるパターンも増えていると思うが。

しかし信者化してしまう理由としては、ひとつ「選択しなくてよくなる」という点が大きいのではなかろうか。世の中にはたくさんエンタメが溢れているので、 面白いものが気になる人は常に多くの情報に接することが求められる。もちろんそこで探す楽しみもあるが、ハズレを引いて「時間が無駄になった」と感じることもある。なので「これなら間違いない」というものを反射的に選べる安心感から、盲目状態に陥りやすいという事情もあるよなーと思うわけだ。ま、これも一種の思考停止ではある。
「飽きてきたので別の作者のものにチャレンジしてみたけど、やっぱりもともとファンだったもののほうが面白かった」となって結局戻ってくることもあるだろう。そうなるとますます思考停止に陥りやすい。
「この人の作品は非常に自分の趣味に合う」という出会いはとても幸せなものなのだが、あんまり簡単に思考停止になってると詐欺っぽい誘導とかにも引っかかりやすくなるので気を付けておきたいものだ。(作者のオンラインサロンとかじゃなくて、それを利用した詐欺とかね)

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