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あつまれ銭湯民族。~「銭湯文化祭」体験記~

東京に住んでいる友達Aが、こちらの地元でやるイベントのために帰ってくるというので内容を聞いてみると、「銭湯文化祭」というイベントであった。なるほど、あの銭湯文化祭ね。という風にはまったくならず、「銭湯文化祭って何だ?」となり興味を持ったので聞いてみた。

銭湯の文化を残したい風呂好きたちが集まって、地元に「銭湯部」という組織(というかサークルみたいなものか)があるらしい。それがとある銭湯で食事、ライブ、プロレス、講演などを盛り込んだイベントをやるということで、ふだん東京にいる友人も縁があり協力することになった、と。Aは元々フリーでディレクターやカメラマンをやっているので、撮影などをするんだろうなと思いつつ、何より気になったのは「プロレス」の部分。

舞台となる銭湯自体は、入ったことはないものの存在は知っていたが、ごく普通の古き良き銭湯という印象で、プロレスとは結び付かない。がぜん興味を引かれてAにチケットを取ってもらい、別の友人Mと一緒に当日訪ねた。

昼頃着くとまさに祭りの直前という雰囲気で、銭湯の前にさまざまなディスプレイが並び、ハンバーガーの屋台のほか、大きめのビニールプールで足湯体験もできるようになっていた。

中に入るとさっそく盛況。Tシャツやタオルを売っている番台前を横切り、奥の脱衣所へ進む。ちなみに会場入り口は女湯の脱衣所となっていた。初めて女湯を通る背徳感にドキドキしつつ通ると、中には出店があちこち用意されていた。カクテルや軽食、ラーメン、カレー、雑貨とバラエティ豊か。それぞれのお店の人は夜のクラブで見かけそうな派手派手な人たちが多く、一瞬ビビったがみんな愛想がよかった。見た目で判断しちゃいけませんな。Mと「人がどんどん多くなりそうだから早めに食事取っておこう」と話し、自分はスパイスカレー、Mはチキン丼を食した。食べる場所はなんと浴室内。折り畳みのデッキチェアが浴槽周りに置かれており、なんとも非日常な空間で食事を楽しめた。ちなみに浴槽にはあひるや花弁が浮かび、いかにも銭湯。試しに手を入れてみるとしっかり温かかった。ディスプレイ用の水とかじゃなく、ちゃんと風呂だ!とちょっと感動。


風呂で食べるスパイスカレー


食事を終えるころにはさらに人が増えてきていて、外の展示などを見ようか、と一旦外に出る。昭和レトログッズを並べている人がいて、聞いてみると若いのに昭和が大好きだという。見た目はKingGnuのボーカルみたいだったが、黒電話やら昔のアメニティやらを集めていて、若いのにガチの昭和好きであった。銭湯部のメンバーで仕事は銀行員だという。Aに聞いてみると、銭湯部には歯医者やらデザイナーやら非常にいろんな仕事の人がいるという。それが純粋に「銭湯好き」ということで繋がるのはなんかいいなあ。

そこからまた中に戻り、椅子に座って寛いでいると、ギターを持った女性がやってきた。ライブが始まるのだな。歌を聞いて思ったが、銭湯って当たり前だが風呂なので音響がいい。意外とライブと相性のいい場所かもしれない。歌手の女性は花粉症でかなり鼻がツラそうではあったが。声の仕事の人にしてみたら花粉症てけっこう死活問題だなと思ったりした。

歌が終わり一旦外に出た。Мはもうだいぶ満喫してしまった感じだったが、こちらがお目当ての「銭湯プロレス」にはまだ時間がある。「ちょっと買い物したいんだよね」というМに、「じゃあ近くのモールに行ってまた戻ってくるか」と話をして、一旦離脱。スタンプを見せれば再入場できるので離席も可能なのである。中学の同級生Iが夫婦で遊びにきているのを発見し少し話す。もうそろそろ帰ろうかと言っていたので銭湯プロレスの話をすると俄然乗り気に。「ちょい奥さんに話してみるわ」という。

そして実際少し離脱してまたプロレス前に戻ってきた。時間寸前のはずだが中に入ってみるとリングもなんもない。浴室に入ってみるとI夫婦がいてスタンバイしている。聞くと奥さんは全然プロレスに興味がないそうだが、Iがあまりに見たがるので残ったらしい。眼の前に銭湯の椅子が3段に並べられているのを見て、Iが「これがあるということはここまで来るはず」と言うが、予定時間を過ぎても全然レスラーらしき姿が見えない。と思ったらオーバーオールを着て、全身タトゥーが入ったマスクマンが入ってきた。マスクは緑色だが、スーパーストロングマシーンのような風貌だ。

「うおお、すげぇなこのタトゥー本物か?背中に『極悪』って入ってるし」
と思ってたら他の人とのやり取りでただの一般人だと判明。しかも腰が低い。なんて紛らわしいんだ。

そうこうしてるうちについにゴングというかベルっぽいものが鳴った。ついに銭湯で戦闘が始まる!しかし長くなったので次回に続く。






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