見出し画像

「コピー中二病」について考える。

きっかけは、吉田冬扇さんのこんなツイートであった。

それに対して勝手にこんなツイートをした。

そうしたところ黒柴ハグさんからこんなレスがついた。

ということで書いてみることにしたわけです。
まあ誰がドクターやねんというのはおいといて。

そもそも広告界に「コピー中二病」という言葉が認識されているのか?といえばされてない。なぜかというと造語だから。
しかし、デザインでも小説でも「世に出ているものに影響されてフォームを崩す」というのは共通感覚としてあるのではないだろうか。自分もこんな症状にかかっていた。たぶん5年くらいは。長いな。

広告に絞って話すと、いわゆる名作コピーとか話題CMとかで独自の世界観やテンポなどがあるものに影響されて、それを無意識にマネしてしまう。あからさまなパクリは論外だが、トーンや形式に関しては特に規定はない。「●●っぽい」くらいであれば、いくらでも転がっているものだ。問題はその「●●っぽさ」がその課題に適しているのか?ということである。
前置きが長くなったが、いろんな症状についてみていこう。

■いいちこ感化され期
いいちこといえばロングセラーのお酒だが、その広告で完全に独自の世界観を作っていることでも知られる。風景写真とシンプルなコピーのみ。特徴はその風景写真の中にあるいいちこが主張していないことだ。というか「ビンどこやねん」と言いたくなるくらい隠れている。缶ドーン、瓶ドーンのビジュアルが当たり前の酒の広告においては珍しい。しかもCMもそんなトーンであり、間違っても「ゴクゴクプハァ」的な演出はない。それに憧れてビールの缶がどこにあるやらわからないような写真を提案して怒られたりするのがこの期である。

ウォーリーなみに隠れる瓶

■短いは正義期
なんのかんのいって,短いは正義である。インパクト、字面の良さ、そして何より覚えやすさ。長くてもワンセンテンスがいいだろう。「恋は遠い日の花火ではない。」が「恋は遠い日の花火じゃないような気がしたそんな午後でした。夜空に舞っていたのは火花だったのか、幻だったのか」みたいに長かったら覚えられていないだろう。ということでやたらと短くしだすのだが、短いこと自体は別に悪くない。問題は全然理解されないのに短いままであるパターン。言葉足らず症候群ともいう。いろんなトラブルは言葉が足りないことから起きるものだ。そう、あの二十歳の恋も…(逃走)。

短いにもほどがあるパターン

■長いのセンスじゃねと感じる期
かと思えば長い。というか、単純にコピーが長いというより、「長いコピーに惹かれだす」症状といえる。世の中にはクソ長いボディコピーなのにスルスル読み進ませてしまう筆致というものがある。それを読んでるうちに自分も書ける気になり、死ぬほど長く読みにくいものを書いてしまうのだった。まあ、でも読みにくいものを書きまくらないと読みやすいものも書けないものだ。…なんかコピーの名言をパクったような言い回し。

3000文字以上あるのにすらすら読める(児島玲子氏のコピー)


■他ジャンルに手を伸ばしてみる期
コピーだとライバルが多い!そうだ、あえて文字数が絞ってある方が考えやすいぞ!と思って川柳や俳句に手を伸ばしてみるも、そっちにもライバルというか古豪がいたりして結局同じというオチ。作詞とかまでいけば多少少ないのか?知らんけど。ちなみに川柳は公募数としては結構多い。そして常連も多い。

■マネ準期
洒落のきいたコピーで一時代を築いた真木準のコピーに影響されるあまり、ダジャレコピーを乱造してしまう期。「駄」がつくとつかないとでは大違いであるということに気づくまで結構かかったりする恐れがあるし、言葉的にかかってると思って満足してしまいメッセージが消えてたりもする。ちなみに四字熟語を一文字変えたりするパターンも同様である。実際に「年中夢休」と書いてあるのを見たことがあるが、夢が休んでちゃいかんのでは?と違和感を覚えた記憶。

■なんでも対句期
「小さな体に、大きな夢を!」みたいな感じで対句にハマってしまう時期。「お、ちゃんと対比してる!」と満足してしまい、コピーの目的にハマるかどうかを見過ごしてしまいがちになる。対句はパターンができるとそれだけで満足度が高くなるためけっこう陥りやすい。もちろん上手く対比したものが方向性も合ってればそれはそれでいいのだが。ただ「このパターン何度も見たぞ」というくらいこすられているのもあるので気をつけよう。特に冒頭の「小⇔大」は多い。

まあざっとこんなもんであろうか。
上記を全部気にしてても逆に書けなくなるので適当に流しつつ受け止めつつやるのをおすすめします。
ちなみにヴィレヴァンのPOPは好きだが影響されるパターンがうまく思い浮かばなかった。すみません黒柴さん。

他にも「これもあるだろ」と気になるパターンがある方はコメントください。

※ウーロン茶、スターバックスの広告については「刻んでおきたい名作コピー120選」(玄光社)より引用。

サポートいただけた場合、新しい刺激を得るため、様々なインプットに使用させていただきます。その後アウトプットに活かします、たぶん。