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貧乏サラリーマン、山を買う(かも) 第1話

ある日妻から「山を買いたい」というメールがきた。何かの比喩なのかな~と思ったが、言葉通り「山」すなわち山林のことだったので戸惑った。

「安く買えるらしい」とのことだったが、そもそも何で急に山なんだ、と。
回答としては今後の経済危機などを見据えて、食料を確保することの必要性、木材などが使えることの利点、子供たちの自然とのふれあい、そして犬を気兼ねなく遊ばせてやりたい(ドッグランはあまり使用したくない)という理由。

「山…?」という顔をしていると、今後の経済危機などの備えを何か考えているか、と聞かれたが、正直なんも考えていない。とはいえじゃあ山買おうぜ、と簡単にはいかない。
田舎の山というのは土地として考えると非常に安いが、それでもそれなりの金額がかかってくる。安月給でひーひー言ってる身としては
「よっしゃOK!山林王に、俺はなる!」
などと返事できる余裕はないのだ。

妻は突然坊主頭にしたり、「やりたいことをやっておかないと後悔する」という思考が非常に強いので、思ってもみなかった行動や提案がよくある。
多少慣れてきたかと思ったがさすがに「山を買う」は想定外。皆さんのおかげでしたの「買う」シリーズを思い出してしまった。

家に帰ってみると既に「田舎暮らし」的なページから山林付き物件を探し出していてその行動の速さにちょっと感心する。しかも話を聞いてみると既に町役場に問い合わせており、ディスカウントの可能性まで探っていた。ちなみに妻の実家も田舎ではあるが、そちらでの可能性を探ったら両親に大反対されたらしい。まあ高齢の世代からの反応はだいたいそうなるだろう。なのでそっちの線は早々に見切りをつけて自分で別の地域を探したというわけだ。大反対されたこと自体には毛ほどもダメージを受けていないことがよくわかる。

しかし自分はもともと別に田舎暮らしにあこがれたり古民家カフェをやってみたいとか思っているわけではない。まずは気になる部分として
「山があるとこの先どうなると思うんだ?」と尋ねると
「山があればなんとかなると思う」という力強い答え。マネーの虎ならあっという間にノーマネーでフィニッシュであろう。

一応妻が探していた物件情報を見ていたら、ふとその地域に知り合いがいることに気づいた。かなり面倒見のよいタイプの人なので、何か情報をくれるかもしれない。さっそく電話してみると「山なんかいくらでもある、まずは見に来てみたら」という返事をもらい、向かってみることにしたのであった。

つづく。

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