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いきなりフリー!は可能なのか?(地方の場合)


※広告業界にいたのはもう10年近く前になるので懐古的なお話としてお読みください。

TwitterなどのSNS隆盛により、「コピーをオンライン上で公募する」という動きが以前よりかなり活発になっていると感じる。
それこそ昔はブレーンという雑誌での「C-1グランプリ」くらいしかなかったが、最近は企業が直接Twitterで募集をかけるのも珍しくない。
「新商品●●のキャッチコピー募集!グランプリの方には●●を10個プレゼント!」みたいなやつ。
実際それで結構な数が集まったりもするので、代理店を通して金をかけてキャンペーンを打つより遥かにコスパはいいと思われる。
で、応募するのは単純に趣味でやってる人が大半だろうが、中には楽しさに目覚めて受賞を機に「コピーライターになろうかな」と思う人もいるであろう。

ただ、広告制作会社や広告代理店勤めの経験がなくて、いきなりフリーランスのコピーライターは可能なのだろうか。地方に住んでるので地方ベースで考えるが、結論的には「可能だがハードルがクソ高い」と思う。

まず、「公募で受賞経験あります」というのが、よほど大きな賞でないとそもそも知られてないというのがある。おそらく大きいのは朝日広告賞などの新聞社系のもの。現役の人も多数応募するしデザインも込みなので実績として強い。コピーだけでいえばやはり宣伝会議賞、文化放送ラジオCMコンテストあたりだろうか(賞金の額も規模も大きいので)。まあラジオCMなんて地方じゃほとんどないので(あってもラジオ局内で作っているショボショボなものがメイン)実績面白いね、うちでも作ってください!みたいなのはまずないが。
地方のラジオ局が行っているラジオCM募集で複数回の受賞実績がある、とかであれば多少強いかもしれないが、まぁそもそも複数受賞のハードルが高い。やればわかるが「ラジオCMコンテスト受賞を日常のようにしている猛者」の層があるのだ。
とはいえ自分で「フリーランスのコピーライターです」と名乗ること自体は全く問題がない。資格者証などが必要ないからだ。公募なども含めて一切実績がなくても可能。まあその場合はさすがに自分の考えやコピー例くらいは載せておいたほうがいいと思うが…。「屋根工事一生懸命やります!実績はゼロ!」みたいなこと書いてたらなかなか頼めないもんね。

ただ個人的には何でも実績を作ろうと思って、クラウドサービス系のコピーを凄まじく安い値段で受けまくるのはあんまりお勧めしない。気合を入れて1日50本書いて選ばれて2000円、みたいなのだとすると、日給2000円てことになるわけですよ。しかも相手も「2000円で書けるコピー」と思っているから価値をあまり感じてない。それなら無料で書く代わりに実績として自由に出していいという風にするか、応募数の多い中から選ばれたという実績を大きめの公募で作ったほうがいい。
たぶん、安い値段で書いた実績というのはあまり評価されない。便利屋扱いされるだけで終わるのではないか。
と言いつつ、地方では「便利屋」的なポジションも重要ではある。地方のフリーランスに求められるのは「コネクション、スピード、クオリティ」の順番だと思うからだ。

「めっちゃ気合入れて書くんで1週間ください」というのよりも
「とりあえず最低限提案できそうなやつを2日で書きます」というほうが重宝される、と思う。
もちろん「めちゃくちゃいいのを1日で書きます」というのなら一番強いだろうが、そういうレベルの人ならそもそも公募の実績にも困らないくらいだろう。
「とりあえず連絡がついて、そこそこの資料しかなくてもまあまあのクオリティで手早く書いてくれる」あたりがよい。要するに「使い勝手のいい奴」であることだ。重要な仕事をお願いされるかどうかはそのへんの実績にもよるのだから。

ただ、ほんとに便利屋扱いしかしてこない人というのもいるかもしれない。そのへんは見極めしていかないと後々自分がキツくなるだけなのでね、気を付けましょう。

あと、大して実績なかったけどフリーランスでやれてるよ、という人もいると思うが、そういう人は「行動力」が違います。あちこちすぐ動いて自分から提案に行って、みたいな人はだいたいコネクションもガンガン作れるので、行動力に自信がある人はフリーランスで強い。てか会社にいても強い。

サポートいただけた場合、新しい刺激を得るため、様々なインプットに使用させていただきます。その後アウトプットに活かします、たぶん。