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「前のほうが良かった」と表明するのはなぜか

人間、変化を受け入れられないことも多い。「このシステム、前の方が使いやすかったな」とか「この店は前の方が雰囲気良かったな」とか思ってしまうものだ。それと同じで芸能人がイメチェンしたり、雰囲気が変わったりすると「前の方が良かった」と思うこともある。

例えば黒髪ロングで清楚系のイメージだった女性がいきなり金髪ショートになるとか、細身のイメージがついていた男性がいつのまにかマッチョになるとか。こちらにとって好ましい方向にいけば「いいじゃん」「かわいい」「かっこいい」といったコメントがつくが、そうでない場合に出るのが前述のコメント「前の方が良かった」である。

そもそも前の方が良かったのであれば今は良くないということであり、じゃあ興味がなくなるだろうから放っておけばいい、とも思うが結構こういうコメントは見る。もちろん好みじゃなくなったのは個人の自由だし、自分でもテレビを見て「この子なんかやさぐれてしまって前の方が好みだったな…」とか思うこともよくある。あからさまに売り方を変えてるときとか。しかしあくまでそれは個人の思いで留める話であり、外に出すとしてもせいぜい家でテレビを見ながら家族と
「この子前の方がかわいかったな」
「ちょっと最近とげとげしいよね~」
とか言う程度。逆のパターンももちろんある。
「この子すごく前よりあか抜けたね」
「短い方が似合うよね~」
といった感じ。まあそれだけであるが、最近はSNSの隆盛により、こういうことをやたらと「表明」してしまっているのをよく見る。
その人のTwitterやらInstagramやらを見に行き、
「前の雰囲気の方が良かったです」
とかコメントするパターンである。その人がイヤイヤやらされているなら別だが、基本的に本人が好きでやっているところに水をさす行為。まさに言わなくてもいいやつだ。ついでに言うとTwitterなどで同じことを言うのもだいたい同様である。人の見えるところに書いておくわけだから。

問題はなぜこういうことをわざわざやるのかということだが、ズバリ「コントロールしたいから」だと思う。例えばバンドの古参ファンが新しい楽曲の方向性に文句をつけるのも同じ行為。
「今度の新曲、エンドオブフェニックスぽさがなくなって無駄にポップな感じがアイドルの楽曲みたいで気持ち悪いです。やっぱり第一期のころの弾けた雰囲気が好き。ロックとはこうなんだと教えてくれたあの頃のエンドオブフェニックスに戻ってほしいDEATH」
みたいなの。全部想像で書いてるのでコピペではないです。

「自分がファンだったのは昔の姿なのだ。昔の姿に戻るべき」みたいなコントロール圧。もちろん真のファンならどれだけ変わろうとついていくべきというわけでもないし、そういうときは離れればよい。でも基本的にこんなコメントをする人は執着がそれくらいあるということで、結構な熱量のファンだったんだろうな。それだけに自分の望まない方向へ行くことが許せないという…。
あんまり何かの熱烈なファンになってきた人生ではないのでこのあたりの感覚がよくわからないのだが、「ワシが育てた感」があるんでしょうな。

まあでも多くの場合本人にとっては「うるせぇ」としか思われないのでやめておいたほうがいいと思うのだった。


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