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三角食べ

幻かと思っていたら!

小学生の時の記憶にある『三角食べ』。
確か給食を、牛乳・パン・おかずを三角を書くように順番に食べましょう!というようなことだった。
特に先生が「三角食べをしなさいっ。」と給食の時間に目を光らていたわけではないけれど、みんなが使う児童玄関に「三角食べをしよう!」という主旨のポスターが貼ってあった。
小学校生活の中で「三角食べ」は地味な存在だったはず。
しかし、私の中にいつまでもしつこく記憶として残っていた。
興味本位で、ヒットしないだろう・・・と『三角食べ』をネットで検索してみたら・・

えっ、あるやんっ。
三角食べ!

1970年代にある地域で食べ方として指導されていたらしい。
私は、そのある地域にいた訳だ。

児童玄関で「三角食べ」のポスターを見た当時の私は二つの想いが心に生じた。
一つは、
「えっ!三角食べ?!牛乳とパンとおかずを順番に食べるって?
ひゃ~気持ち悪ぅ~不味いに違いない食べ方やん。絶対イヤやわ。
食べる順番なんかいちいちごちゃごちゃ言わんとほっといてほしいわ。
そんなん人の勝手やん。」
という三角食べ拒否論。
もっともな考えだと思う。
食べる順番をとやかく言うなんて余計なお世話もいいとこや。

そしてもう一つは
「・・・でも、この三角食べにすると給食が早く、時間内に食べることができるのかもしれない!」
というあらぬ期待論。
・・・そう、私は毎日給食で苦労をしていた。
20分間という決められた時間内に食べ終わることができなかった。
当時は「給食は残してはいけない」という指導が厳しく、食べ残したり持ち帰ることは許されない状況下にあった。
給食時間内に食べきれなかった人は、それに続く掃除の時間にもひたすら食べ続ける作業を強いられた。
掃除の時間、教室の机と椅子は全部教室の後ろの方移動させる。
給食を食べ終えていない人たちは給食とともに教室の後ろに移動した自分の席で完食作業を続行。
このメンバーはいつも同じ顔ぶれだった。
前方から掃除係の人が教室の後方に向かってホコリを掃いてくる。
掃除の時間だもの・・・
「ちょ、ちょっと待ってー」
前方からのホコリ攻撃の中で食べ続けるのは私達かわいそうやんか~。
なんと悲しい食事・・・と、今は思うけど当時はそんなこと思う余裕もなかった。
考えているのはただ一つ。
「はやくパンもおかずもなくなれ~」
自分では最高速度で食べているのになんでか知らんけど食べても食べてもなくならない・・・
「もう要らん」て残したい。
一瞬にしてだれか残っているパンもおかずも消して~と他力本願。

そんなある日、事件が起こった。
いつもホコリ攻撃を受けながら掃除の時間にも給食を食べ続けている常連さん仲間のA君の机の奥からカビが生えたりカッチカチになったパンがたくさん発見されたのだ。
食べきれないパンをこっそり机の奥に隠していたらしい。
きっとこの時A君は先生に、食べるものをこんな所に隠してはいけない。腐って不潔になってしまう・・・・的な注意を受けていたと思うんだけど、これは他人ごとではなかった。
そんな行動をしたAくんの気持ちがすごく分かっていた。
もう食べたくない、食べられない、でも残したらアカン・・・ほんならどうしたらえねん!こっそり隠すしかないやんか・・・
この時、私は将来小学校の先生になりたいっ!と思ったのだった。
給食が全部食べられない人には「残していいです」と言う先生になりたいと。
・・・・気まぐれさんなので、そう思ったこともすぐに忘れてしまったけど。





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