バンコクマダム連載コラム『タイ生活』より 第3話・・・「サッカー」
私は、日本でプロサッカーを観戦したことがなかった。
Jリーグが誕生し、サッカーが大ブームになっている時も、ワールドカップで世界中がサッカーに沸いている時も、
「何でサッカーでそんなに大騒ぎするのん?」と冷めていた。
それが、タイでサッカーと縁深くなってしまった。
義兄の一人息子であるトー。
彼は、小学生の時に両親と死別し孤児となった。
そのトーが、タイリーグのプロサッカー選手になった。
ちょっぴり親代わりの夫や私もトーの試合の時は応援に行った。
関心のなかったサッカーも観始めると面白い。
その上、トーの所属チームに日本人選手が移籍してきたのだ。
元ガンバ大阪、背番号「3」
タイで活躍する日本人選手の先駆者
かつてガンバ大阪ではキャプテンも務められた木場昌雄さんだ。
同じ関西人の木場さんもいるチーム。
応援しないわけにはいきません!
ところが!
娘たちが、私がスタンドで大声で応援するのをとても嫌がるのだ。
応援しているチームが攻めている時は思わず
「行けーっ。行けーっ。」
と日本語で叫んでしまう。
さらに、得点のチャンスの場面では、立ち上がり、噛みつくように
「行け、行け、行けーっ!」と叫んでしまう。
・・・・ふつう、そうでしょ?!
ところが、なんと、これがいけないらしい。
「お母さんが大声で『行けーっ。行けーっ。』て言ってるの、
タイ語で『くそババア。くそジジイ。』って叫んでいるように周りの人には聞こえるから恥ずかしい」らしい。
そういえば、「行けーっ。行けーっ。」と叫ぶ度に周りの人たちがこっちを振り向く・・・・・
「イケー」
イ・・・タイ語で相手を罵る時に呼びかけの言葉につける悪い言葉。
ケー・・・お年寄り。
ふーむ。確かに「くそババア」「くそジジイ」だ。
おおお・・・ちゃうのに~。
さて、前述の木場さん。
タイで3年間活躍後、選手を引退された。
今は、JDFAを立ち上げ、サッカークリニックを開催し子供たちに指導しながら東南アジアからJリーガーを誕生させる活動をされている。
昨年、ラムカムヘンで開催されたタイのサッカー少年対象のサッカークリニックを見に行った。
指導内容は、特別のテクニックではなく、サッカークラブで少年たちがいつもやっていること、もしくはもっと基本的なことだ。
参加者の年齢層も広かったので中高生ぐらいの大きな子の中には少し舐めた態度の子もいた。
その中で、最後に木場さんが少年たちに残された言葉がとても心に残った。
「どんなすごい名選手も、試合中にスタジアムでやっているのは全て『基本』のことだ。」
私は、サッカーはしないけれど、この言葉は何をする時にも忘れてはならないことだと思った。
1、2がなくては10はない。
すごく大切なことに気づかせてもらった。
❁お読みいただきありがとうございます。❁
これは、タイのフリーペーパー『バンコクマダム』に2013年から連載させてもらっているコラムをちょこっと編集し、まとめておきたくて書き留めています。
思う存分サポートしてやってくださいっ。「よ~しっ!がんばるぞ!」という気になってもっとがんばって書きます。