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映画秘宝が炎上の状況まとめ

◉映画誌の『映画秘宝』が炎上しています。大炎上と言っても良いレベルで、トレンドにも上がっていて、7万を超える言及がされていますね。左派のTwitterデモのような仕込みありで3%のアカウントが半分の拡散をしているような片八百長と違い、自然発生的な天然物の炎上です。さすがに長くなったので、目次を入れて整理します。

■大まかな流れ■

経緯に関しては、自分も著書でイロイロ勉強させていただいている、時代劇評論家である春日太一さんのモノが解りやすいです。

発端は、TBSラジオ『アフター6ジャンクション(通称アトロク)』の韓国映画特集について。ある女性が、ゲストが女性ライターではなく映画秘宝の関係者でガッカリした旨の批判を書いたら、岩田和明編集長がツイフェミのお気持ち表明のようなDMを送信。抗議の電話をしたら、よりによって岩田編集長に電話番号を伝えたらしい、というさらにマズい対応をしたというのが流れ。コチラのツイートも解りやすいですね。

見ず知らずの相手に、死にたいとか言っちゃうの、脅しですよね? オレに死なれたくなかったら黙れ、ということですから。一橋大学で、同性愛者に告白された男性が、精神的に追い詰められ、その件をアウティングして、相手が自殺してしまった事件がありましたが。いろんな意見はあって、対立していますが、一方的に秘密を告白された方が、そこに守秘義務が生じるのか、自分は疑問です。だって言われ損でしょ?

■映画秘宝側のリアクション■

さて、コレについて映画秘宝側の公式発表がきました。全面的に非を認めて、岩田編集長の処分をし、反省を表明しているような態にはなっているのですが……ちょっと、いやかなりの問題があります。これでも元出版社の編集者ですから、自分。場合によっては、洋泉社の消滅によって一度は休刊になって、版元を双葉社に移して復刊した映画秘宝が、再度休刊になるかもしれません。

これ、岩田編集長にすべての罪を被せて、トカゲの尻尾切りに入ったように見えます。被害者からの抗議の電話に、加害者である岩田編集長に個人情報である電話番号を伝えたかもしれない、双葉社の雑な対応の可能性が指摘されています。岩田編集長が電話を直接取ったのならばともかく、どうも前後関係的にはその疑惑があります。双葉社には、説明責任はあるのではないでしょうか?

この批判自体は、ちょっとピントがずれている気はします。ただ、宇多丸氏のマネージャーの女性が、韓流映画ファンで、かなり詳しかったりするので、加えるとかの対応はあっても良かったのかな、と。韓流スターのルックスとか、そういう話題に流れるのがイヤだったのか、特に思惑がなかっただけなのか、そこはわかりません。他にも批判してる人はいたのに、女性を狙い撃ちしてDMした可能性も、わかりません。

やってることは、ツイフェミのお気持ち攻撃と同じ。私は傷ついた、私は被害者だ、加害者は私の不快の原因を取り除け───同じですよね、ツイフェミの物言いと。同誌の創刊者であり、現相談役の町山智浩さんの左傾化(もともとオールドリベラリストと、小西克哉さんに指摘はされていましたが)が顕著な状況で、コレはある意味で皮肉な事態ですね。どうなることやら。

まぁ。いちおう、相手への直接の謝罪と、経緯について公表の了承を取れたので、映画秘宝側としてはこれで幕引きとする気満々ですね。浮気がバレた芸能人が、奥さん同席で謝罪会見するのと同じ。一番怒ってるかみさんが、ならぬ堪忍するが堪忍をしてるので、外野は黙れという、効果的な手法です。ただ、そう簡単には鎮火できないんじゃないかなぁ。だって、関係者が放火してるし。

■久田将義氏からの疑義■

謝罪のお手本のような文章ではあります。さらなる処分を表明することで、その処分を待って何か言うべきは言うかと、沈静状態に入りますから。それが三日後か一ヶ月後か、人の噂も七十五日後かは、解りませんが。これに対して、「元チーマーだが腹が据わっていて度胸がある」と金井覚氏に評された久田将義さんが、映画秘宝のDM癖について、まとまった批判を投げかけています。

さらに、双葉社にも言及。双葉社は販売を請け負っただけで、編集プロダクションとしての映画秘宝側が、双葉社に延焼しないよう、必死なのは出版業界人なら、ピンとくるでしょう。映画秘宝としては、ようやく復刊にこぎ着けたのに、ここで味噌は付けられません。名目上の処分は編集長解任でも謹慎処分でも、裏でコッソリ事実上の編集長職は続けられますからね。

さすが、実話ナックルズなどで多数の裁判を抱えた、ケンカ上等の久田将義さん。いちおう、被害者に謝罪はして手打ちができてる感じなので、後は解決済みで押し通す可能性がありますね。

■春日太一氏からの批判■

町山智浩さんと絶縁状態の春日太一さんのトドメのツイートも、リンクしておきますね。映画雑誌にはほとんど寄稿していないので、利害関係なく忖度もなく、淡々と突っ込まれています。

自分のような体育会の主将をやった人間から見ると、疑似体育会のノリって大嫌いなんですよね。出版社は、そういう悪癖があるんですよね。文系人間が表面だけ体育会のノリだけマネするけれど、陰湿な文科系体質が危機的状況では顕わになります(何かを思い出して遠い目)。久田将義さんとか春日太一さんのような武闘派には、こういう陰湿さがとにかく不愉快なんでしょう。自分も大嫌いです。

正論。そもそも発端のツイートは、そんなに頭に血を昇らせるような内容だったのか? 岩田編集長的には、許しがたい何かが有ったのかもしれませんが、そのスルーできない何かが、自分には解りません。まぁ、映画秘宝はデートムービー的なモノには、やや厳しい部分はあるでしょうし。そういう部分をほじられて、図星だったのかもしれません。映画秘宝がホモソーシャルな世界は事実ですし。

そう、だから謝罪のお手本的で、テンプレ的なんですけどね。謝ってる姿勢は明確で、でも具体的な再発防止策も岩田編集長の具体的な処分も、ほとんど言及していない。Twitterに書かせないと言ってるだけ。ただ、それは気付かない人は気付かない、巧妙な文章です。だから官僚が前例と経験から良く練った、政治家の答弁の文章みたいだな、と。官僚よりさすがに、文章の上手さは滲みますけれど。

いちおう映画秘宝を擁護しておくと、自然発火の炎上でしたからね。問題になっているという危機感がなかったかも。自分もそうでしたけど、与り知らぬ部分で炎上させられてることはありますし。これが久田将義さんが指摘するように、映画秘宝のいつもの圧迫の手なら、大事になっているという自覚がない、あるいは善後策の話し合いに時間が取られて、ここまで来てしまったとか? 

具体的には書きませんが、寝ぼけた擁護論は見掛けましたね。名前がわからないので、リンクを貼れませんが。DMを公表した側が悪い、なんて寝ぼけた論理。んなもん、公開の都合が悪いモノは、DMにしちゃえば守秘義務が出るとでも? そういえば本多勝一氏が、朝日新聞の封筒に入れてよこした論敵との手紙を、都合が悪くなったら私信を勝手に公開したと言い出したことがありましたが。アウティング問題とも通底します。

たぶんやらない。まさに宝島から別冊宝島、洋泉社を通じてずっと構築された、サブカル人脈ですから。ホモソーシャルな連帯感のある世界。ライター側も、党派性丸出しの擁護をしてるので。まぁ、裏で話を付けた上で、被害者批判をした関係者に苦言を呈して、ライター側も謝罪するという、茶番はやるかもしれないでしょうね。でも、無記名記事や覆面座談会とか、裏で仕事はなんぼでも回せますし。

■版元の双葉社への疑問■

どうするんでしょうね。町山さんのいくつかのツイートを読むと、双葉社が岩田編集長に被害者の連絡先を教えたと、そう取れる内容がありましたし。まぁ、ここら辺は被害者と話を付けた上で、言い逃れることや勘違いで済ますことも可能ですから。真相は藪の中。そこについてのツッコミは、普通に入っていますが。黙して語らず。このスルー力を、最初の被害者に発揮できなかったか?

コレに関して、町山さんの言い訳が、見つかりました。町山さん自体も今回の映画秘宝炎上に謝罪コメントを出してるのですが、それに関連してツイートを幾つか削除されていて、それを突っ込まれています。また、謝罪関係のツイートの後、過去の宣伝ツイートをセルフリツイートして、下に長そうとしているようにも見えてしまいます。いずれにしろ、問題を自分で燃料投下しちゃってる状態です。

正直と言えば、正直ですが……。それでは、春日太一さんの、キツい指摘でフィニッシュ。双葉社に累が及ばないように、かなり気を遣っているのがわかります。ただコレは、流通を担う出版社にキンタマを握られてる編集プロダクションとしての合同会社オフィス秘宝としては、仕方がないでしょうね。双葉社も悪いんです、とは口が裂けても言えない。言えるはずがない。自分が同じ立場でも、そう言うしかないないでしょうね。下請は辛いよ。

■個人的雑感その他■

今回の件に関して、コチラのツッコミが秀逸でした。映画秘宝は、ハイカルチャーでメインカルチャーである映画というジャンルにあって、ローカルチャーであったアニメを馬鹿にせず、デートムービーではないマイナーな作品にも目を配っていた、サブカル側の雑誌でした。ただ、創刊者である町山さんの左傾化で、雑誌や周辺のライター自体も左傾化してるように、自分には見えます。偏見ですが。

サブカルとオタクの30年戦争についてはコチラを参照。ローカルチャーとハイカルチャー、メインカルチャーとサブカルチャーによる4つのセグメントに加え、カウンターカルチャーという存在のややこしさとか、メインカルチャーでも異端だったりするジャンルのルサンチマンとか、イロイロ面倒臭いですが。映画秘宝って、そういう4ジャンルを横断する、鵺的な存在でもあるんですけどね。

左傾化が激しいTBSラジオにおいて、やたらと韓国ネタをやっていたのがライムスター宇多丸氏のアトロクであり、タマフル時代からの町山さんとの関係の中で、韓国推しと映画秘宝の宣伝もできる、一石二鳥の機会だったのは間違いないでしょう。TBSラジオ自体が、そういうメディアの力を活かして、左派人脈で番組を固める方向が、ここ数年顕著です。三村社長の方針か、長谷川プロデューサーの意向かは知りませんが。

この問題、岩田編集長の暴走という以上に、TBSラジオと左傾化、左派人脈の仕事囲い込みという部分での歪な関係が、思わぬ形で吹き出したように自分には思えますけどね。今回の映画秘宝の炎上自体については、上記のnoteも参照してくださいm(_ _)m
どっとはらい

■追記①■

映画秘宝の大槻ケンヂさん、のん(能年玲奈)さんの連載が終了、高橋ヨシキさんも去ることを明言しました。宝島社(洋泉社)以来の長い長い付き合いだったのに……。さすがに、町山智浩さんの政治的な偏向に対して、距離を置こうという感じですかね。何やら、大学院生リンチ事件が発覚し、しばき隊界隈から距離を置く人、反目に回る人が出てきた状況に似ています。あ、SEALDs奥田クンのはただの逃走ですが。

たぶんにTBSラジオ長谷川裕プロデューサーに連なる人脈との関係性も含め、軋みが出ていますね。映画秘宝最新号後書きでの、新編集長の他人事感というか被害者コスプレ風味も、批判されています。出世景清さんのこちらの意見が、問題を的確に指摘されています。

サブカルと言っても、自分の趣味を突き詰めようという上座部サブカルと、衆生救済の社会運動にコミットしようという大乗サブカルがいて、前者がみうらじゅん先生や大槻ケンヂさん。後者が町山智浩さんや山本弘氏。と学会自体、町山さんが世に知らしめた側面がありますしね。仏教の根本分裂みたいな感じですが。でもそれって、学生運動の挫折から最初から政治的だった呉智英夫子とも違うんですよね。

■追記②■

さらに追記です。映画秘宝のスタッフである、奈良夏子さんの告白がツイートされました。もう、映画秘宝が映画悲報状態……。

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謝罪文第二報というのは、こちらのツイート↓のことですね。重複しますが、上まで戻るのも面倒臭い人も多いでしょうから。奈良夏子さんが早急な投稿をすべきではない、と考えた理由は明らかではありませんし、その考えが正しかったか、現時点では材料がないので。告白されてなお、奥歯に物が挟まった感が、奈良さんのツイートにはあります。

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事件列が前後しますが、第一弾のツイートも、保存を兼ねて。

こちらがツイフェミのような、被害しゃぶっての脅迫DM。ひょっとして、マジにツイフェミ話法をまねた洒落のつもりだったのか?

今後、このツイートと矛盾する内部告発が出てきそうですが。ソレを予感させる内容が、コチラの連続ツイート。。

市川氏は異を唱えていたのに、押し切ったのは誰か? さて、この件に関する町山智浩氏のツイートがコチラ。

その弁護士って、双葉社の顧問弁護士ですか? この一連の流れに対して、ロマン優光氏がこんなツイートを。正鵠のような気がしますが、取りあえず判断保留。

長らく沈黙を守ってきたファビュラスバーカーボーイズの柳下毅一郞氏の、ツイートがコチラ。謝罪がバーターであるかのような誤解を避けるため、映画秘宝から去る、という表明と、高橋ヨシキ氏へのねぎらいが。柳下氏も、ある意味で箝口令を守っていたのでしょう。潔いと思います。

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やっぱり、奥歯に物が挟まってるようで。でも、奈良さんのツイートに、「高橋ヨシキもパワハラに加担か!」と、吹き上がってる人もいましたが。どうも、高橋ヨシキ氏自体は常識的に動いてるようにも思えますが。これも状況はわかりません。ただ、言い訳せず推移を見守り、奈良夏子さんにもすぐ謝罪されています。

ご本人の口から、真実が語られるのか否か。あんがい、胸に納めそうな。あるいは、だいぶ時間が経って、関係者が傷つかない状況になってから断片的に語るか。ついでに、てらさわホーク氏のツイートも。

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そもそも、この一連の流れは、映画秘宝の中では下っ端扱いだったギンティ小林氏による、この告発が発端でした。

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はい、双葉社の主導と決まっていた、と。版元としてはそうでしょう。これ自体は別に、出版業界の動きからすれば驚くことはないです。そして、実質は院政を敷いている町山智浩氏とその周辺の高橋・柳下・てらさわ氏らの主導によって、現編集長の岩田氏はもちろん、洋泉社時代の編集長であった田野辺氏の頭越しに、動いたと? けっきょく、キングメーカーは誰か、と言うことですね。

被害者ご本人のツイートも、時系列がわかって助かります。

奈良夏子さんのツイートに対する謝意。

被害者ご本人が、納得されるのが一番ですね。どうも、ギンティ小林氏による反乱、というか下剋上? これで・町山・田野辺両氏の影響を排しての再出発、下手すると映画秘宝休刊、あるいは主要ライターが離脱して、別雑誌を創る可能性を感じますね。でも、出版業界の過去事例を見ると、そういう動きってだいたい失敗するんですよねぇ……。町山智浩氏がどういう説明をするかで、追記③が必要な事態になるかも、です。

───この状況でそれですか。自分、作家には先生、個人的に評価してる人にはできるだけさん付け、中立的な場合や良く知らない人には氏、故人は敬称略(字数がキツい場合も)、作家や議員だけど評価してない人にはセンセーと、呼び方を変えています(完璧にできてるわけではないので重箱の隅つつきはご容赦を)。町山智浩氏と、この追記からは表記を統一しようと思います。

■追記③■

よく知らないライターさんが、本noteについて心当たりのないことを書いていたので、追記します。

ちゃんと原稿を書く前に、人の書いたものをちゃんと読んで、ちゃんと理解するのが先じゃないですか? いちおう、反論は引用とリプライ、両方でやっておきました。

それに対する反応がコチラ。

自分の引用ツイートとリプライはコチラ。

粛々と書いたらいかがですか、ってことで。ついでに、Togetterでのまとめもリンクしておきますか。

事実誤認だらけで笑うなぁ。自分はかなり、町山智浩氏には好意的だし、そのことでむしろ批判を受けてきたし、一橋大学のアウティングは異論反論が許されないのか? 被害者アカウント晒し云々も、本人が言及してるのに何言ってるんだか。自分はこのnoteを書く中で、ロマン優光さんのツイートで、本人のアカウントを知りましたが。喜多野が被害者ぶるためにワザと作った自作自演まとめとか、笑われそうなレベルです。

■追記④■

どうやら、洋泉社時代の創刊メンバーである町山智浩氏らと、現編集部との間で、内ゲバモードに突入してしまったようです。かなり量が多いですが、資料的価値があると思いますので転載します。もちろん、町山智浩氏の側からの、一方的な言い分ではありますし、元の問題も読者も置き去りにしてしまっています。ただ、編集者として、町山氏の無念の気持ちは解ります。雑誌は編集者の子供みたいなもんですから。

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創刊の主要メンバーが離れるなら、それはもう映画秘宝ではなくなると言うこと。ガロが、親会社の右傾化で編集スタッフが離れて新雑誌を創刊しましたが。映画秘宝もそうなるのでしょうか? 町山氏の左傾化とTBSラジオ人脈がこの事態をもたらしたとしたら、皮肉ですが……。思想の左右を問わず、バランスを欠くとこうなる、というもうひとつの事例として。今後の推移次第で、また追記することになりそうです。

■2021年12月2日追記■

けっきょく、こういうことのようです。

ついに空中分解ですか……。創刊者で出資者側の意識と、現場の意識が乖離したのですから、残念ですが仕方ないですね。この後どういう動きになるか、解りませんが。キツい言い方をすれば、ライターは補充が聞く存在。町山智浩氏が主導権を取り戻し、友人知人のライターに声をかけ、再出発となるのか。もしそうなっても、寂しい結末に思えます。あくまでも個人の感想ですm(_ _)m

出世景清さんらしい、バランスの取れた冷静な視点ですね。けっきょく、ライムスター宇多丸氏がヒップホップ界の反体制を履き違えた無軌道なライブについて意思表明せざるを得ず、それに絡めて語られることを恐れた某ライターが自分のツイートに過剰反応したりと、ポリコレ棒は振るう側だったはずのリベラル界隈をも、殴打しています。でも、誰しも安全圏に入られません。それは、自分も含めて。

売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ