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クールジャパンを基幹産業に?

◉政府の知的財産戦略本部が、新たなクールジャパン戦略の原案が出てきたのですが。アニメやゲームなどのジャンルを、基幹産業化するとのこと。たしかに、小説・漫画・アニメ・ゲームはそれぞれが関連し遭い、大きな産業となっています。でも、工業製品とかと違って、才能ってあやふやなものですからね。お金をかければ生まれるものではないですし、かといってお金が不要かといえば、そうでもなく。でもハッキリ言えるのは、秋元康氏などをクールジャパン推進会議のメンバーに入れているようでは、クリエイターに安易もカネが還元されず、公金が食い物にされるだけでしょう。このカシオミニを賭けてもいいです。

【「クールジャパン」を基幹産業に…政府戦略原案、アニメ・ゲームの海外展開支援】読売新聞

 政府の知的財産戦略本部(本部長・岸田首相)が6月にまとめる新たな「クールジャパン戦略」の原案が明らかになった。アニメやゲームなどクールジャパン関連分野を「基幹産業」と位置づけ、海外展開を推進する方針を明記した。農林水産物の輸出などでは、中国への依存から脱却を図る方針も盛り込んだ。
(中略)
 アニメなどのコンテンツ産業の海外展開は22年に過去最高の4・7兆円に上り、鉄鋼産業(5・1兆円)に匹敵する規模に成長している。若手クリエイターやアーティストらの海外展開に向けた活動を「複数年にわたって弾力的かつ継続的に支援する」と記した。

https://www.yomiuri.co.jp/politics/20240525-OYT1T50007/

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、あの映画のパロディのイラストです。

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■創作者が出やすい環境を■

詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。アニメやゲームなどクールジャパン関連分野を基幹産業と位置づけ海外展開を推進する方針を明記……ですか。それはけっこうなんですが、ならまず作家とか、一定基準の納税額があるなら、出版社と同じく文化事業として、税金で多少は優遇してくれませんかね? 小説・漫画・アニメ・ゲームと、ブラックな体質が問題になっていて、そこを変えなければ、けっきょくは広告屋とか周辺ばかりが儲かって、クリエイターに還元されない、いびつな構造が残るだけですから。

作家にカネと時間を与えると、怠けて創作しなくなるとの意見もあります。その部分は否定しませんが、であるならば才能が出てくるシステムを作ることが大事。例えば、Amazonでは作家が自分でアカウントを取って、作品を発表し、直接販売したりKindleインディーズで収益を得ることが可能ですが。それこそ、『小説家になろう』やAmazonの機能を合わせた、作品発表の場とマネタイズの場を作れば、ほっといても才能は出てきます。そして、怠け者の作家が半分しか仕事をしなくても、2倍位上の才能の芽が出てくれば、絶対数は増えますから。

でも、それをやったら出版社は、反対するし協力もしないでしょう。既存の出版社やアニメ制作スタジオや映画会社に頼るなら、旧来のシステムの維持温存にしかならないので、新しいシステムにはならないし、旧来の出版sニャや映画会社が利権を握る状態を、手放すはずも無し。であるならば、政府で賞金を出すコンテスト開催ぐらいが、関の山かも。ただ、芸術選奨って、実は審査員の目が確かなんですよね。あのシステムを活かして、新人賞という形で作品を募集し、才能が世に出る手助けができたら。小説・漫画・アニメのM-1的なもの。

■ローカルチャーの現役感■

しかしクールジャパン、大衆文化が高級化して生命力を失う、悪しき名称に思えますけどね。御上が関わってきたら、大衆文化は絶対にクールじゃなくなります。洗練されるかもしれませんが猥雑さを失い、権威化して、お高く止まって、衰退する。あるいは、外国から倫理観の違いを理由にクレームが入り、修正という名の改悪が入る。現実問題、タバコを吸っているキャラクターが、嫌煙運動が激しい国では、子供向きではないとチュッパチャップスに変えられたり。そういう危険性とも、セットになるんですよね。

これが相撲や歌舞伎のように、伝統芸能になったら、ともかく。能や歌舞伎や相撲は、新しい文化の台頭で、それまでの娯楽の王者の座から転落するとき、権力と結びついて権威化し、生き残りに成功しました。そういう在り方は、否定はしないんですが。漫画やアニメやゲームは、まだそういう段階じゃないですから。手塚治虫先生以降でもまだ100年経っていませんから、生きた大衆文化として、まだまだ発展するべき時期。ローカルチャー(大衆文化)とハイカルチャーについて興味がある方は、こちらのnoteをお読みください。

上方落語も一度、滅びかけましたが、やめやめと罵声や毒舌を吐く観客相手に、芸を磨いた弟子たちが出て、今は200人を超える数になったように。大衆芸能が大衆から離れたら、それはもうライブの芸ではなくなってしまうんですよね。晩年の桂歌丸師匠とか、人間国宝を狙っていて、アキラ100%の芸とかを、激しく批判されていたようですが。自分は、古今亭志ん生の芸を誰よりも早く評価し、林家三平師匠が爆笑芸で出てきたときに「散兵のような化け物が出てこないといけません」と語った八代目桂文楽は、本当の名人だったと思いますね。自分の芸とは真逆のものも、評価できたんですから。

■クールジャパンとポルノ■

ところで、アニメの翻訳を手掛けるバイリンガルの、兼光ダニエル真さんが、興味深いポストをされていました。ううむ、クールジャパンはむしろ、ポルノの表現解禁が、外国への有力な輸出商品になる?

意外と気づいていない人が多いと思うのですが日本の不透明で恣意性の高い刑法175条の運用が理由の性器修正が余儀なくなる表現規制が理由で結構な量のコンテンツを日本から直接輸出できない。外国企業が発売しているのでそのぶん、税収入が減ってます。

https://x.com/dankanemitsu/status/1795054211442380889

 日活ロマンポルノの影響もあってか、日本のポルノ作品は作家性が強い監督も多く、その内容のバカバカしさや尖り具合などもあって、HENTAIとかBUKKAKEという言葉が、世界共通語になるほど、一部愛好家に評価されていますからね。現実問題、欧米のポルノは何かスポーツ的というか……。まぁ、御上は認めないでしょうね。キリスト教系の団体が、右にも左にも食い込んでいて、禁欲的な倫理観を、むしろ強化するように政府に求めているフシがありますから。でも、


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