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中国の軍事力は強大か?

◉エドワード・ルトワック教授による、中国の軍事力への疑義です。個人的にはルトワック教授の論考は、テンプレートに沿った旧来の左派の論考とは異なり、とてもエキサイティングなのは事実。戦争にチャンスを与えよとか、成功者は運の要素が大きいとか、歯に衣着せぬ言葉は、しかし裏付けとなるデータがあるので、上野千鶴子御大など日本の社会学者とは大違い。これは、割と真面目に考えるべきことでしょうね。

【エドワード・ルトワック「中国の軍事力を強大だとするのは神話に過ぎない」】クーリエ・ジャポン

軍事史、軍事戦略研究、安全保障論を専門とし、『ルトワックの日本改造論』や『中国4.0 暴発する中華帝国』などの著書で知られる戦略家のエドワード・ルトワックは、増加し続ける中国の国防費を真に受けるべきではないと語る。「その金額が示すほどには、実質的な軍事力を強化できていない」と彼が言い切る理由とは──。

https://courrier.jp/news/archives/322043/

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、オンラインゲームの画像のパロディのようです。知らんけど。

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■狡兎死して走狗烹らる■

もっと言えば、アメリカは本気を出せば仮想敵国を叩き潰せるけれど、あええそれをやっていない可能性。だって故事成語にもありますね、「狡兎死して走狗烹らる」と。仮想敵国死して軍事予算削られる。アメリカとしては、常に驚異となる仮想敵が必要。実際は、そこまでの驚異ではなくても。また、基軸通貨としてのドルの保証は、アメリカの強大な軍事力が裏付けていますから。なので、日本をはじめ西側の各国は、外貨をアメリカ国債という形で保有しています。アメリカが強くなければ、この国際は紙屑になります。政治と経済と軍事は、非常に密接な関係にあります。

発表されているところでは、今回引き上げられた国防費は総額1兆5600億元であり、現在のレートで約30兆円に相当する。もしこれが事実なら、中国は米国に大きく遅れをとっていることになる。というのも、米国の2023年度の国防費は7970億ドル(約105兆円)に達しているからだ(この数字には軍事施設の建設費用やウクライナへの救援費は含まれていないため、実際はもっと多い)。

けっきょくアメリカは、朝鮮戦争とベトナム戦争の消耗で、直接の戦争を、避けている部分があります。それゆえに、全面戦争は避けて局地戦や代理戦争に終止しているわけですが。でも、結果的にソビエト連邦はニクソン元大統領のアドバイスを受けたレーガン大統領の、軍拡競争での体力疲弊の術中にハマって、内部から崩壊しましたから。孫子の兵法の理想とする、戦わずして活を実現してしまったわけで。中国だって、ここらへんのアメリカの戦略は、読んでいるでしょうから。ただ、習近平主席には、台湾併合の悲願がありますからね。

■伝統的に戦争に弱い中華■

そもそも、中国は伝統的に戦争に弱いですから。そもそも、中華発の統一王朝である始皇帝の秦王朝自体が、西戎と呼ばれる西方の蛮族による征服王朝です。そして、この征服王朝の方法論をアレンジしたのが漢王朝。でも、その漢王朝も高祖劉邦自体が、北方の遊牧民族である匈奴と戦い、冒頓単于の巧妙な戦術によって大敗し、事実上の朝貢国として匈奴に頭を下げています。漢王朝が西暦220年に倒れてから中華は分裂と戦乱の歴史が続き、580年の隋王朝の統一まで、360年もの間乱れに乱れます。

ところが、この隋王朝も、その後を継いだ唐王朝も、鮮卑系の征服王朝の可能性があります。そして、モンゴル帝国のウルスのひとつであった元朝も、満州人による清王朝も、征服王朝です。秦・隋唐・元・清と、中国を中国足らしめた強大な王朝が、征服王朝という事実。戦争に弱かったからこそ、孫子や呉子、六韜三略などの兵法書が発達したわけです。野村克也氏が弱いチームの監督であったからこそ、弱者でも勝てる方法論を模索し、常勝チームの森祇晶氏や伊東勤氏は、あまり本を残さなかったように。中国を破った側の遊牧民族側には、兵法書がなかったのですから。この逆説は大事でしょう。

■アメリカの対中戦略は?■

では、アメリカの対中戦略は? 基本的にアメリカは、自国以外の覇権国家の出現を望まない、ジャイアンのような国ですから。かつてのナチス・ドイツや大日本帝国がそうであったように、成長した国は叩かれるわけで。ソビエト連邦は崩壊に追い込まれ、でも中国はニクソンの対中戦略によって経済成長をしたわけで。そうなったら、次に叩かれるのは中国。中国もそこはわかっているので、ロシア連邦を応援しつつ、アフリカなどの勢力を味方につけようとしてきたわけで。でも、民主主義国ではないので、国連をジワジワと乗っ取りシンパで固めたり、やり方が六韜三略の昔と変わらないので。

現実の軍事力、アメリカのF-15は公式には、未だに撃墜されたことのない名機中の名機。ロシアや中国のなんちゃってステルス戦闘機が、どこまで対抗できるのか? 中華空母はF-35Bを搭載したアメリカ級強襲揚陸艦にも勝てないでしょう。ウクライナの状況を見ていると、下手したら支援戦闘機のカテゴリーだったF-16でさえ、中華戦闘機は勝てない可能性。ベトナム戦争のような長期にわたるゲリラ戦はともかく、正面からぶつかればまず中国はもちろん、ロシアと二方面から攻撃しても、勝てないでしょう。彼我の戦力差は大きいので、台湾侵攻して逆にゲリラ戦に出られたら、ウクライナのロシア軍の二の舞を演じることに。

そもそも習近平独裁体制が確立した中国では、でもそこで彼の覇権国への野望に、歯止めをかける人間がいるのか? 本気でアメリカと戦おうと思ったら、100年計画でまずは教育から人材を育て、科学力を高め、アメリカ並みの経済力が必要案ですが。中国がそのステージに至る前に、アメリカから潰されるでしょうし。習近平皇帝が本気で台湾有事を考えるならば、裸の王様を止める人間はいない、ということ。数年内に台湾を攻撃するか、それとも踏みとどまるか。胡錦濤派の巻き返しがあるかどうか、でしょうね。そしてアメリカも、直接戦うより反習近平派を支援して、内乱に持ち込む絵図を持っていそうです。知らんけど。

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