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スウェーデンで欧州最大のレアアース鉱床発見

◉スウェーデンで、かなり大きなレアアース鉱床が見つかったらしいです。中国のレアアースは確かに、品質も良く量も豊富なのですが。政治的な駆け引きに使われますし、実際に尖閣列島問題で日本もやられましたからね。怪我の功名で、代替物質の開発や使用量軽減に成功した部分はありますが。それでも世界の埋蔵量の多さで言えば、中国とロシア連邦で半分近くを占めてしまいますから。国際政治的に、この両国に依存するのは、かなり危険ですから。

【欧州最大のレアアース鉱床をスウェーデンで発見「脱中国、始まる」】毎日新聞

 スウェーデンの国営鉱業会社LKABは12日、北部キルナで欧州最大のレアアース(希土類)鉱床を発見したと発表した。欧州諸国は現在、携帯電話などの電子機器の生産に欠かせないレアアースをほぼ中国からの輸入に頼っており、「中国依存からの脱却が始まる」(スウェーデンのブッシュ・エネルギー相)との期待も高まっている。
 発表によると、レアアース酸化物の埋蔵量は100万トン以上で、確認されているレアアース鉱床としては欧州最大規模という。AFP通信によると、世界の推定埋蔵量1億2000万トンの1%にも満たないが、中国やロシアへのエネルギー依存度を減らしたい欧州にとって発見の意義は大きいとみられる。英BBC放送によると、2021年に欧州連合(EU)域内で使用されたレアアースの98%は中国からの輸入品だった。EUはこれまで加盟国に対し、独自の採掘能力を高めるよう促していた。

https://mainichi.jp/articles/20230116/k00/00m/030/015000c

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、岩美町荒金鉱山の写真だそうです。

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■世界のレアアース埋蔵量■

レアアース、希土類と訳されますが。31種類あるレアメタルの中で、特に希少な17種類のことを呼ぶそうです。それだけ、希少な鉱物ということで。世界のレアアース埋蔵量は、2018年時点で中国が4400万トン、ブラジルとベトナムがそれぞれ2200万トン、ロシア1200万トンとなっており、やはり中国が突出していますね。何でもあるイメージのアメリカですが、レアアースの埋蔵量は140万トンと、かなり少ないです。そう考えると今回のスウェーデンで発見されたレアアース鉱床は、100万トン以上とのことですが、アメリカ並みが限度でしょうね。

埋蔵量だけを考えると、やはりブラジルとベトナムがかなり重要になりそうです。この両国を合わせれば、中国とほぼ変わらないわけですから。ただし品質的な部分では、中国には勝てないでしょうけれど。ベトナムは中国の領土的な圧迫によって、アメリカとの関係がどんどん良好になっていますし。ブラジルはもともと南米の国で、西側の国家ですしね。アメリカや日本、欧州各国が開発のために資金援助をしてくれるなら、両国ともウエルカムでしょうし。問題は環境破壊なんですが。

■南鳥島のレアアース泥■

レアアースの話題となると、南鳥島沖の海底に堆積したレアアース泥について、触れなければならないでしょう。南鳥島周辺の海底にあるレアアースの資源量は、なんと1600万トン超に達すると見積もられています。これは、世界の消費量の数百年分に相当するとされます。中国やブラジル、ベトナムほどではないですが、ロシアの1200万トンを大きく上回ります。つまり、この海底のレアアース泥を最採取できれば、日本はいきなり世界第4位のレアアース輸出国になれる可能性があるわけです。日本は資源がないとよく言われますが、実はそんなことはないわけで。

そもそも日本は昔から、東アジアでも希少な黒曜石の産出地域として、貿易をしていました。新潟の糸魚川から取れる翡翠は、ジェダイトという硬いタイプのヒスイで、アジアでは2箇所しか産出しません。中国は翡翠の産地というイメージがありますが、それはネフライトと呼ばれる柔らかいタイプの翡翠です。江戸時代の佐渡金山の金の産出量は世界的なレベルでしたし、それは銀にしても同じです。海洋国家なので、真珠やサンゴなども取れますし、朝ドラの『あまちゃん』で有名になったように琥珀も昔はそこそこ取れました。

■深海に未来がある?■

確かに国土面積は、アメリカや中国やロシアに比較すれば、大きくはないですが。上位6カ国が異常に大きいだけであって、本当に大きな国は40ヵ国弱。でも世界の平均から見れば、上位1/3に入るぐらいには大きいですよね。いわんや、排他的経済水域と領土を合わせた大きさだと、いきなり世界6位に躍り出てきますから。これだけ広大な排他的経済水域を持っていれば、未発見の資源は膨大な量になるでしょうね。そういう意味では今世紀の日本は、海洋開発こそが国の命運を握っているような気がするのですが。深海探査用サイボーグの開発が急がれます。

現実問題として、南鳥島のレアアース泥は海底600メートル以上の場所にありますから。深さ200メートル以上はもうすでに深海ですから、この改定で資源を採集するのはなかなか難しいでしょう。戦前の日本はアメリカの潜水艦に、空母信濃をはじめ多数の艦艇を撃沈され、煮え湯を飲まされました。その結果、戦後は潜水艦の開発と配備にものすごく力を入れましたし、深海探査船もその研究の一環としてかなりのレベルに達しました。しかし、海底資源の採掘となるとまた別の問題がありますからね。50年100年ぐらいかけて、継続的に研究開発しないと、難しいでしょう。

■海洋開発の可能性■

日本の場合はレアアースだけではなく、海底のマンガン塊や、メタンハイドレートなどの資源もありますし。個人的に面白かったのは、海底に人工の熱水噴出孔──チムニーを作ることで、金などの貴金属を回収すると言う実験。日本は太平洋プレートなど複数のプレートがぶつかる場所にあるので、火山の数も多く、海底火山やマグマ溜まりもあったりしますからね。こういうとこから貴重な地下資源を採集できれば。夢は広がります。

個人的には人工光合成を、沖ノ鳥島や南鳥島などの洋上で行うという、そちらの可能性にも期待していますし。ホンダワラを人工的に栽培して、それをバイオマスにする研究なども、実現可能性はともかくとして期待しています。海洋温度差発電や波力発電、潮流発電などの小規模発電も、洋上風力発電よりは期待しています。日本の広大な排他的経済水域をもっと活かした形で、未来を切り開いて欲しいですね。

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