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岸田政権と台湾有事とトマホークと
◉麻生太郎自民党副総裁が、岸田文雄総理大臣の実行力を褒めています。本来は、総理の座を退いた安倍晋三元総理が、役職のない立場でやるべきことだったんですが、麻生副総裁が代わりに発言しているという感じですかね。岸田政権も丸2年、いろいろとマスコミは文句をつけますが、ある意味で安倍・菅内閣よりも、難しいことをどんどん実行している感じですね。特に外交と軍事は、台湾有事に関する、かなり確度の高い情報をアメリカと共有しているのか、剛腕を見せています。
【自民・麻生太郎副総裁、敵基地攻撃「岸田首相がみなを納得させた」】朝日新聞
(前略)
きちんと準備をしておくのは当然であって、我々は防衛費を今までの倍にします、ということを岸田(文雄)総理のもとで決めさせていただいて、法案をとおし、確実に対応を行っています。北朝鮮に「やったらやり返すよ」ということに関しては、専守防衛に反するから反対だと言われた公明党という政党もありました。防衛費を上げる、ということに関しても、安倍内閣では出来なかったが、岸田(内閣に)になったら1年でできた。確実に仕事をしている。岸田(首相)の持っている、あの雰囲気が良い。みなを納得させた。そういう意味では今の時代にあったリーダーだ。今の時代にあった憲法の改正とか、色々なものを確実にやっていってもらう意味で、政権の安定は極めて大切だ。(千葉市内での講演で)
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、海上自衛隊の艦艇4隻、です。
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■岸田総理の剛腕■
こと台湾有事に関しては、アメリカの動きはかなり。そもそも、ロシア連邦軍のウクライナ侵攻に関しても、自称専門家たちが予想もしていなかった中、アメリカは確実な情報を掴んでいて、やはりその情報力は並外れています。なにしろ検索すると中央情報局(CIA)は、人員は2万1575人で海上自衛隊の4万3000人と比較しても、かなりの大組織。しかも、外部のエージェントはもっと多く、自衛隊の総数に匹敵するとも。予算は150億ドル(本日のレートで2兆2350億4500万円)と、2022年に初めて6兆円を突破した日本の防衛予算と比較しても、とんでもない額です。岸田総理も頑張っているのですが。
【岸田内閣しれっと政策実現シリーズ】23年6月版
— あまおちりん (@amaochi) June 1, 2023
・経済安保法成立
・次世代型原発での建て替えを推進
・原発60年超の運転を可能に
・半導体メーカー国内誘致
・G7広島サミット開催
・G7首脳が揃って原爆慰霊碑に献花
・G7首脳が揃って原爆資料館を視察
・資料館本館の資料をしれっと東館に pic.twitter.com/3AQNevdNDm
備忘録も兼ねて、画像も転載しておきますね。
![](https://assets.st-note.com/img/1696583959603-KgVVOYG0QN.png?width=800)
岸田総理は2027年度の防衛費を、9兆円程度にまで増額する意向を示しているんですが。それでも、8770億ドルのアメリカや、推定2920億ドルの中国の軍事費とは、本日のレート1ドル149円では9兆円=603.9億ドルで、中国の5分の1ほどと、比較にならないのですが……。ただし、2027年のレートが1ドル100円なら、推定864億ドルのロシアを抜いて、世界3位の軍事費になる可能性があるんですけどね。ロシアはその頃は、ウクライナ戦で疲弊して、ボロボロになっている可能性があるのですが。
■トマホークの導入■
また、日本が導入を予定でった米国製巡航ミサイル『トマホーク』を、1年前倒しして調達し、2025年度からとする方針で国防総省と一致下とのこと。しかも、最新鋭のブロック5タイプではなく、古い型であるブロック4とのこと。このことで、また左派が米軍のお下がりや中古品を押し付けられたとか、X(旧Twitter)などで騒いでいます。左寄りの論調の地方紙として知られる琉球新報は、相変わらず見出しに『敵基地攻撃能力』と入れて、日本が先制攻撃するかのような印象を、煽っていますが。そういう話ではないんですよね。
【「敵基地攻撃能力」運用が1年前倒しへ 日米防衛相会談で巡航ミサイル「トマホーク」の調達早まる】東京新聞
【ワシントン=浅井俊典】木原稔防衛相は4日(日本時間5日未明)、米ワシントン郊外の国防総省でオースティン国防長官と会談した。両氏は、日本が導入を予定する米国製巡航ミサイル「トマホーク」について、調達を1年前倒しし、2025年度からとする方針で一致。他国領域のミサイル基地などを破壊する敵基地攻撃能力(反撃能力)の効果的な運用について議論を加速させることも確認した。両氏の対面協議は初めて。
(中略)
オースティン氏は会談で「反撃能力の保有や防衛費の増額など日本政府の大胆な決断を支持する」と強調。ロシアとの連携を加速させる中国の軍事活動の活発化を受け、日米の連携をこれまで以上に強化していくことで一致した。
台湾有事を念頭に南西地域における日米の共同プレゼンス(存在感)を拡大する重要性でも一致。日米韓、日米豪での防衛協力を進めることを確認した。
確かに最新鋭のブロック5の導入が理想ですが、ブロック4も目標の識別能力がやや劣るものの、射程や速度などの性能はほぼ同等なんですよね。安定して生産されているので信頼度も高いですし、性能的にはそこまで大きな差があるわけではないです。というか、トマホークは巡航ミサイルとしては元々、高性能ですから。1972年から研究が始まり、1980年には試験発射され、もう40年以上の実績がある巡航ミサイルですから。ブロック5は2021年にアメリカ軍に納入された、アメリカでもまだ数が少ないモノですから。それだけ、台湾有事が切迫していると考えることも可能です。
■総統選と大統領選■
この動き、2024年のアメリカ大統領選挙で、民主党のバイデン大統領が敗北する可能性も含んでいます。実際、事前の調査では、共和党が優勢。トランプ大統領復活なるかはわかりませんが、共和党候補が当選した場合、伝統のモンロー主義に従って、ウクライナ支援からさえも手を引く可能性があります。アメリカの歴史を見ると、ブッシュ親子を例外として、民主党政権が始めた戦争を、共和党政権が終わらせるのが基本パターン。アメリカは4年もあると、厭戦気分が広がって、戦争を終結させる機運が高まるんですよね。加えて、2024年は1月に台湾総統選挙もあります。
【台湾副総統 “「台湾有事」防ぐため団結して中国抑止を”】NHKニュース
台湾の頼清徳副総統が5日、台北でNHKのインタビューに応じ、いわゆる「台湾有事」を防ぐため国際社会に対し団結して中国を抑止するよう求めるとともに、日本が安全保障分野で台湾との協力を一層深めることに期待を示しました。
(中略)
いわゆる「台湾有事」がどのくらい切迫しているか、見解を聞いたところ「中国がいつ戦争を起こすかを推測するよりも、ふだんから準備をしっかりするほうがよい」と述べたうえで「国際社会が団結し、準備すればするほど、中国が戦争を起こす可能性は小さくなる。しかし、国際社会が中国の市場だけを見て、その危険性を見なければ、団結はばらばらになり、台湾有事の可能性が大きくなる」と述べ、国際社会に対し団結して中国を抑止するよう求めました。
中国が動くとしたら、2024年か2025年というのは、かなり可能性が高いでしょうね。台湾総統選挙の結果を見て、揺さぶりをかけ。アメリカ大統領選挙のドサクサや、結果を見て共和党政権が成立したら、ウクライナの動きを見て台湾侵攻。自分が習近平主席ならば、その時は北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)に南進の動きや、日本海側の海岸で工作船を動かして、韓国の在韓米軍や日本の自衛隊に揺さぶりをかけるように指示し、陽動作戦を展開した上で、台湾侵攻でしょうね。アメリカもその動きを見越しての前倒しでの、現物納品でしょうね。
■皇帝の正統と台湾■
前から書いていますが、中国には『正統』という概念があり、最初の帝王である黄帝から歴代の皇帝に、天下を支配する正統性が継承されてきたという考え方です。でもこれっておかしくて、三国時代も南北朝時代も、五胡十六国時代や五代十国時代もあったわけで。でも、この建前は崩していません。でも例えば、明王朝は元王朝を滅ぼして、正統を受け継いだことになっていますが。元朝はモンゴル帝国の大元ウルスでしかなく、明王朝に破れましたが、本来の本拠地のモンゴル高原に帰っただけ。恵宗ことトゴン・テムル皇帝も死んでいません。
でも、これを滅ぼしたことにして、以降の元朝を北元と呼び、別の王朝として扱っています。ところが、この元朝の皇帝の玉璽と皇帝位は、清朝の二代皇帝ホンタイジに継承されます。こうなると、皇帝の正統は元朝から清朝へ継承され、明朝の歴代皇帝は三国時代の呉や蜀の皇帝と同じで、皇帝を僭称していた偽皇帝ということになります。そう、台湾の正式名称は中華民国で、中華人民共和国にとっての北元王朝なんです。ここを滅ぼし、ついでに故宮博物院のさないと、正統が完全には移らないわけです。だって、中華人民共和国は清朝の版図を受け継いでいるので、なおさら。
現代の皇帝たる習近平主席が、建国の初代皇帝毛沢東と、中興の祖たる鄧小平を超えるには、台湾統一しかないんですよね。2024年と2025年は、ロシア連邦・中華人民共和国・北朝鮮にとって、乾坤一擲の勝負に出る可能性が……。
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