パキスタンがイラン攻撃
◉正確にはイランが先にパキスタンのバロチスターン州を弾道ミサイルとドローンで空爆し、その報復という形ですね。イランは、国教がイスラム教シーア派の国で、パキスタンのスンニ派過激派組織に対する、攻撃だったようですが……なにやら、状況はイスラエルとはマースの問題に似ていますね。パキスタンという国は東にインド、西にアフガニスタン、南西にイラン、北東に中華人民共和国と、国境を接している国です。なんか、名前を上げるだけで、紛争の火種がある地域だと、解ってしまいますね。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、シェイク ロトフ オッラー モスクの写真ですね。
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■核保有国パキスタン■
インドとパキスタンの仲の悪さを考えると、インドがイラン側に付き、パキスタンを挟撃する可能性があります。外交というのは遠交近攻、遠くの国と交流し、国教を接する近い国を挟み撃ちにするのが、2500年前から変わらぬ基本です。一方、パキスタンはアメリカと中国の両方と友好関係を維持するという、コウモリ外交というか両天秤外交なんですよね。インドがイランに付くなら、中国はパキスタンに加勢して、これまたインドの背後を付く、遠交近攻の策に出る可能性が。
さらにパキスタンは核不拡散条約(NPT)体制の枠外で、核兵器保有を続ける国のひとつです。一方のイランは、1970年にはNPTに加入、1974年には国際原子力機関(IAEA)との間で包括的保障措置協定を締結しています。しかし核兵器開発疑惑はずっとありますが、この両国の戦いがエスカレートすると、核兵器の使用まで踏み切りかねない、危うさがあります。長崎以来、封印されていた核兵器の使用が解禁され、使用のハードルが下がると。プーチン大統領が戦術核の使用に、踏み切る危険性も高まります。
■歴史的な背景の復習■
ここで、西アジアや中東の事情についての、簡単なおさらいを。そもそもパキスタンはムガール帝国の昔から、インドの一部だったのですが。マハトマ・ガンジーのインド独立運動が高まる中で、イスラム教徒とヒンドゥー教徒との宗教的な対立が深まります。けっきょく、イスラム教徒の多く住まう中東よりの西の地域をパキスタンとして、独立させる形になりました。ですが、インドとパキスタンの対立は続き、北東部のカシミール地方の所属を巡って勃発した印パ戦争は、その後3度にもわたり、ずっと緊張しています。
インドは東側にもイスラム教徒が多く、こちらはバングラデシュ人民共和国として独立しました。中国は直接手をくださなくても、一帯一路構想で、積極的に援助するなど関係は深いですし。そもそも、中印国境紛争で、争っている間柄ですから。台湾有事以前に、中印有事、あるいは印パ有事、そして第三次世界大戦が始まりかねない部分も。ロシア・ウクライナ、イスラエル・ハマス、イラン・パキスタンの局地戦で、世界大戦にはならないという味方も可能ですが。
■イランは自制的だが■
この件に関して、日本のマスコミはあまり騒いでいない感じですね。一応報じてはいますが。あまり深く突っ込むと、中東とインドと中国の、複雑な歴史や関係を語らねばならないので。元朝日新聞編集委員で上智大教授が「速やかに第1空挺団(千葉県)や中央即応連隊(宇都宮市)をヘリコプターで珠洲市や輪島市に投入するべき。」と言っちゃう程度には、軍事音痴ですし。イランは現時点では、パキスタンと良好な隣人関係を保つと確約する声明を発表していますが。
イランは、イラン革命防衛隊が大きな力を持ちます。これは、アヤトラ・ホメイニ師のイラン革命によって、1979年に設立されています。イランの最高指導部に直結する軍事組織で、国軍とは別の親衛隊的な性格を持ちます。これが、対米強硬派であり、国内では石油利権などを握っていますので、かなり厄介な存在。安倍晋三元総理が出向いたときも、最高指導者のハーメネイ師もここの意向を気にして、大きく進展はしませんでしたが。なので、公式発表とは別に、イラン革命防衛隊が戦前の関東軍と同じように、暴走する可能性も頭に入れ、推移を見守りたいです。
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