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京アニ放火殺人事件から1年

◉京都アニメーション放火殺人事件から早一年、改めて亡くなられた方々へのご冥福と、事件に巻き込まれた皆様の一刻も早い回復をお祈りします。遺族の心の傷が、癒やされますように。併せて、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』劇場公開版を鑑賞する日を、いちファンとして楽しみにしたいと思います。
そして、このような悲劇を繰り返さないためにも、創作者を目指す投稿者へのアドバイスを以下に書き記させていただきます。現実と向き合いたくない人間には、ちょっと……いや、かなり苦いアドバイスでしょうけれど。文章の稚拙さが、予めご了承ください。なお、内容は随時、加筆修正しますm(_ _)m

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■犯人の証言■

この件に関して昨日、犯人の証言が報道されました。読んだ今は、暗澹たる気持ちです。こんな狂人のために社員36人が死亡し、33人もの重軽傷が出て、今も後遺症やトラウマに苦しむ人がいる理不尽に。ただ、このような悲劇を繰り返さないためにも、自分に言えることを、いくつかまとめてみたいと思います。

京アニ事件で“動機”新証言「相手にされなかった」
[2020/07/17 12:10]
 京都アニメーションの放火殺人事件から18日で1年です。青葉真司容疑者(42)が「生活保護から抜け出すために小説を書いたが、京アニにパクられた」と動機につながる話をしていたことがANNの取材で明らかになりました。
(中略)その後の関係者への取材で、青葉容疑者が「生活保護から抜け出したいと思い、2年かけて小説を書いたが落とされた。京ア二に小説の場面や人物の設定をパクられ、話を聞こうとアプローチしたけど相手にすらされなかった」と動機とも思える話をしていたことが新たに分かりました。https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/amp/000188685.html?__twitter_impression=true

その後のダイヤモンド社の報道 『京アニ放火殺人1年、青葉容疑者の「盗用された」は妄想なのか』 によれば、容疑者の投稿作品は《しかし形式的な不備があったため、審査どころか京アニ関係者が目にすることなく落選していた。》とのこと。応募の形式さえ守れない、つまり基本的な文章の読解力さえない人間に、まともな作話能力は無いだろう……という推測は可能です。

歌が上手い人はおおむね耳が良く、一般人が聞き分けられない微妙な音の違いを認識するように、作家というのはだいたいにおいて、小説の見巧者でもあります(全聾でもプロのマリンバ演奏者もいますので、一般論ですが)。容疑者のこの読解力のなさが、《捜査関係者は「一方的な思い込みで、ほとんど言い掛かりに近い」と見ているもようだ。》という、犯人の発想の飛躍に繋がるわけです。

■列の最後尾に並ばない人たち■

多少なりとも創作に関わってきた人間──編集者・原作者・講師として──からすると、やれパクリだ盗作だと騒ぐアマチュアの99%が、自意識過剰の妄想です。投稿者のアイデアをパクるクソ編集者がゼロではないので、保留はつけて99%にしていますが。でも、この事件の犯人は残り1%の方ではなく、99%の方でしょうね。こういうタイプは数多く見てきましたし、言ってる内容が恐ろしくステレオタイプですから。引く手数多で、既に実績もあるプロの脚本家の売り込みも膨大であろう京都アニメーションには、無名の投稿者の作品を盗作する理由も状況もありませんし、バレたときのリスクが大きすぎて、やりませんから。

そもそも世評の高い京アニに、作品を送って人生一発逆転!──という発想が、すでにダメです。ボクシングの世界チャンピオンに「俺のほうが強いと思うから、今すぐ戦え!」と素人が言って、相手にしてくれるでしょうか? 相手にされなくて当然ですよね。世界チャンピオンと戦おうとするのなら、まずはプロテストを受けてライセンスを取得し、4回戦から試合を組んでもらって、勝ち続けて挑戦者たる実力を証明するしかありません。要するに、戦ってあげてもいいけど列の最後尾に並びなさい、ということです。

もちろん、他の格闘技で実績があれば違いますし、オープン・トーナメントであれば誰でも参加できます。小説や漫画の応募は特に資格もなく、誰でも応募できます。でも、誰でも応募できるということは、誰でも評価されるとイコールではありません。格闘技の大会ならば、相手との実力差が大きければ大怪我をしたり、場合によっては死亡することさえあります。大きな出版社や組織の賞に応募するということは、同じぐらい自分が傷つく危険性もあるんだよという、自覚は欲しいです。それでもなお挑む価値があるのか、趣味として楽しむか、投稿者は選択する必要があります。

第11回京都アニメーション大賞の中止につきまして
 2019年11月20日
先般8月14日に第11回京都アニメーション大賞の運営の一時休止を告知致しておりました。
その後、検討を重ねてまいりましたが、今の運営体制では選考を継続していくことが困難であると判断致しまして、第11回京都アニメーション大賞は中止とさせていただきます。
なお、ご応募いただきました原稿、その取り扱いにつきましては、ご応募いただいた方に11月末日までにメールにてご連絡させていただきます。

■試し酒をしよう■

自分の好きな落語の演目に『試し酒』があります。大酒呑みの久蔵、五升の酒が呑めるかと賭けを煽られ、ちょっと考えがあると席を外し、戻ってきてから見事に五升を可杯で呑み干すという内容。なぜ席を外したのかと問われた久蔵、「五升なんて呑めるかわからなかったので、表の酒屋で試しに呑んでみた」というオチ。合計で十升、つまり一斗も呑んでいたんですね。どれだけ大酒呑みなんだという笑い話。自分は桂文字助師匠の高座が大好きでした。下にYouTubeのリンクを貼っておきますね。

もしあなたが東京大学に入学したいと思って、何の準備もせず、自分の実力を把握もせず、受験しますか? しませんよね。もちろんそんなことはせずとも合格してしまう、天才がいないわけではありませんが。普通は業者の全国模試を受け、自分の偏差値が東京大学に合格できるレベルか否かを見極め、受験するもの。自分の友人のように、どうせ別の大学に行くから記念受験のために東大を受験する人間もいましたが。偏差値40で東大受験とか、狂人の妄想です。もっとも実際それを公言し、上京した人物が、昔いました。松本智津夫という名前なんですけどね。オウム真理教の一連の事件の殺人数が29人ですから、京都アニメーション放火殺人事件の重大さが、ご理解いただけるでしょう。

本気で小説家になりたいのであれば、腕試しで応募できる小説の賞は、意外とあります。今は熊本の実家に帰った自分の相方なども、ちょっとした小説の賞で数十万の懸賞金をもらっていましたっけ。そういう公募の賞とは相性が悪い、特殊なジャンルの作品を書きたいのであれば、今ならば『小説家になろう』や『カクヨム』など、個人で作品を発表できる小説家用のサイトは、いくつかあります。そのようなサイトで、なぜ試し酒をしないのか? なぜ京都アニメーションのようなメジャーなところに、応募するのか?

■自意識過剰の14歳病■

理由はハッキリしています。京都アニメーション放火殺人事件の容疑者は小説家になりたいのではなく、〝自分には隠された素晴らしい才能があると信じたい症候群〟なだけだからです。要するに、自己承認欲求の発露。これは〝自分には何の才能もないという現実を見たくない症候群〟とセットですが。中島敦の名作『山月記』で描かれたテーマが、まさにこれ。教科書にもよく載っている名作ですが、意味するところを理解しない人間は、けっこう多いのではないでしょうか? まぁ、日本文学科近代文学専攻で卒論が中島敦だった自分も、完璧にできてるとは、言い難いですけれど……。

例えばこれがスポーツならば、100m何秒だとか、打率が何割何分何厘だとか、何メートル飛んだとか、数字ではっきりと出てしまいます。100m20秒の鈍足でオリンピックに出場したいとか、金メダルを取りたいとか、まさに狂人の戯言です。ところがこれが漫画や小説の世界だと、途端に自分には隠された素晴らしい才能があると根拠なく思い込む人たちがいます。レイク・ウォビゴン効果(下記のWikipediaの説明参照)の研究で、人類は数値化できないことは自己過大評価に走りがちというのはあります。商業小説家の総数は分かりませんが、これがプロの漫画家だと、デジタル漫画制作アプリ『CLIP STUDIO PAINT』の開発元セルシス社の推計で、全国に3000人から6000人ほどとされています。

すでに廃業した人や開店休業状態の人を加えたとしても、最大で1万2000人ぐらいでしょうか? つまり、日本全国を見回しても1〜2万人に1人ぐらいしかいない、希少な存在が漫画家なのです。ちなみに、東大生は毎年3000人ちょっとが合格します。戦前からの蓄積もありますから、漫画家の30倍から60倍は全国にいる計算。ちなみに京都大学・大阪大学も毎年3000人弱、北海道・東北・名古屋・九州大学は1800〜2100人ぐらいが合格し、この日本でトップエリートと目される旧帝国大学の合格者は毎年1万7000人ほど。地方でも就職に困らない国立大学の合格者は、合計で7万8000人ほどにもなります。繰り返しますが毎年ですよ、毎年。

難関とされる医師国家試験も、去年だけでも約9000人も合格しています。人口1万人規模の地方都市に、医者が1〜2人なんてことはありませんよね? 厚労省への届け出数で言えば、人口10万人当たりの医師の数は2018年末で平均258.5人だそうです。漫画家の約30倍ぐらいは全国にいる計算。2011年のラノベ作家のデビュー数は104人という数字があるそうなので、年間200〜400人がデビューするなら、小説家の総数も漫画家とだいたい似たような数かもしれません。自分が編集者になった頃、漫画家は毎年300人がデビューし300人が廃業し、総数は3000人はあんまり変わらないと、先輩言われました。セルシス社の推計と近いです。

レイク・ウォビゴン効果
レイク・ウォビゴン効果(英: The Lake Wobegon effect)とは、心理学で「自分は他の人と比べると、平均以上である」と自己評価を過大に捉えるという基本的な帰属の錯誤を生み出す認知バイアスのことである。また転じて、意識調査などで対象者のほぼ全員が「自分が平均以上」という意識を持つというような、事実と矛盾する状況あるいは空想上の桃源郷をも意味する。

■門の広さを認識しよう■

漫画家が不人気な商売で、稼ぎが少ないというのならともかく。コミケに何十万人も熱心な漫画ファンが集まり、初版が100万部を超える人気作も珍しくなく、『鬼滅の刃』の最終巻の初版は現時点の情報で300万部超だとか。統計上の戯れ言に過ぎませんが、漫画家になるより医者になる方が30倍は簡単ということになります。ちなみにこういう例え話を以前、Twitter 上でしたら「東大生より漫画家の方が偉いというのか!?」とトンチンカンなことを言ってきて、しばらく自分に粘着してきた御仁がいましたが。東大生は偉く漫画家は下賤と思い込んでる、ご自身の差別心にはまったく無自覚なようでした。小説家や美術関係者にも多いですけどね、漫画への無自覚な見下しは。閑話休題

スポーツに目を向ければ、100m10秒台と言えば間違いなく俊足でしょうが、うちの田舎でも100m10秒台の人間は、高校の友人や中学の友人の親父さんとか身近にいましたから(10.99秒でも10秒台ですから)。ところが、これが10.50秒以下になると激減します。例えるなら、漫画家になるのは人口100万人前後の富山県や秋田県で、県大会の100mの決勝に残るぐらいの才能の世界。そんな希少な才能が自分にある確率を、真剣に考えましょうよって話です。プロ野球選手の場合は、ドラフトで指名される人数は毎年100人ちょっと。育成契約制度などもありますから、プロと認められる支配下選手数だと1球団最大70人。つまり、最大でもプロ野球選手は840人しかいませんから、こちらはもっと狭き門。

これがオリンピックだと四年に一度、夏冬あわせて400人前後。出場をするだけでもスポーツエリートの証明です。しかも世界レベルの。オリンピックにマイナー競技はありません。野球より五大陸での普及度合や競技人口が多いメジャースポーツか、伝統競技です。大相撲は給金が出る十両以上の力士が70人前後と、もっと少ないです。将棋のプロ棋士に至っては春と秋の昇段試験で2人だけ、年に4人しかプロになれません。特例でプロになる例もありますが、めったにない。将棋のプロ棋士の総数も160人前後。こういう狭き門のジャンルに比べれば、漫画家も小説家もだいぶ広き門ですが、それも程度の差です。本質は才能の世界だということが、ご理解いただけるでしょう。これは、全国にだいたい4500人から6000人とされるアニメーターも、同じです。

将棋YouTuber折田翔吾はプロになれるか――編入試験“初代棋士”の忘れられないひと言 2020/01/27

 1月27日、将棋ユーチューバーとして知られるアマチュアの折田翔吾さんが棋士編入試験第3局を戦う。
 折田さんは現在1勝1敗。あと2勝すれば合格となり、正式に棋士として認められる。逆にあと2敗した時点で試験は終了となる。

■難易度を考える■

ちなみに『小説家になろう』は2019年時点で、《作品数68万以上、登録者数164万人以上、小説閲覧数月間20億PV以上を誇る日本最大級の小説投稿サイト》とのこと。今だと184万人を超えていますね。ここからプロになった人間も多いですし、すでにプロの人間でも投稿しています。では京都アニメーションのような評価が高い制作プロダクションの小説賞と、『小説家になろう』で頭角を現すのと、どちらが難しいか? ライバルも多いですが、それよりも多くの人間が自由に閲覧でき、書けるジャンルも自由なぶん、まずは後者で〝試し酒〟をすべきでしょうね。

これまたプロ小説家の登竜門になっている『カクヨム』は、《2016年2月のオープンから若年層を中心に支持を伸ばし、サービス開始から4年と3ヶ月で50万人もの方々に会員登録をしていただくまでに成長》とのこと。素人が小説を発表するための選択肢は、いくつもあります。この記事を書いてるSNSのnote自体にも、小説や漫画を発表している人は多数います。そういう段階や手順を踏まず、いきなり一発逆転を狙う時点で、京都アニメーション放火殺人事件の容疑者が、作品を読まずとも大したことない才能の持ち主であると、推測できる証拠です。

作家とか芸術家は、なにかと浮世離れした天才、悪く言えば奇人変人のイメージがあります。しかし神戸大学の宮下規久朗教授に言わせるとそういうのは〝天才発見物語〟と呼ばれる、ステレオタイプの芸術家観らしいです。実際の漫画家はおしゃべり上手で、社交的な人が多いです。あるいは人見知りだけど、仲間内では饒舌だとか。芸術家も同じでしょう。岡本太郎画伯やサルバドール・ダリなどは、そういうステレオタイプの天才芸術家像をあえて演じていましたが。ダリなどは、アメリカのパトロンなどには実に上手く取り入っていたと宮下教授。作家は作品で他者とコミュニケーションするのですから、コミュ力が高い、あるいは深くて当然です。

■情報収集と論理的思考■

そもそも、試し酒ではないですが、一升酒を飲んでみたら意外といけた、なら二升にチャレンジしてみようか……とか、段階を踏むのが人生での定石。最初から五升飲める天才もいますが、天才でもスタートは五升からでも六升、七升と段階的に刻むのは同じ。現在はTwitterやFacebookといったSNSが多くのユーザーを抱えています。じっくり読ませる小説はともかくとして、イラストや漫画はTwitterと相性が良いですから。作品をアップしてみて、自分の実力を測る方法は、いくらでもあります。そこで全く評価されない作品が、商業誌では評価されるかどうか、冷静に考えてみましょうよ。

【「編集長をめった刺し」講談社に殺害予告の男を逮捕…文学賞落選に恨み】読売新聞
 
 出版大手「講談社」(東京都文京区)社員の殺害予告をしたとして、警視庁大塚署は17日、沖縄県読谷村、無職の男(44)を威力業務妨害容疑で逮捕したと発表した。逮捕は16日。男は同社主催の文学賞に小説を応募したが落選しており、同署は一方的な恨みとみて調べている。
 大塚署幹部によると、男は5月14日、自身のツイッターで、講談社の本社ビルで「編集長を牛刀でめった刺しにする」などと複数回書き込み、同社に警備を強化させるなどした疑い。調べに容疑を認め、「小説の1次審査で落ちて納得できなかった」と供述している。

京都アニメーション放火殺人事件の容疑者が42歳で、この講談社脅迫容疑者が44歳。左派は就職氷河期世代が〜と、すぐ政治に結びつけてようとするでしょうけれど。関係ありません、本人たちが身の程知らずの狂人なだけです(キッパリ)。就職氷河期で実力があっても就職できないのは、時代のせいですが、バブル景気で売り手市場でも目的の会社に就職できないヤツはできない、コレは自己責任の範疇のように。ゴッチャにすべきではありません。Twitter上で脅迫する文章を書いて、逮捕されてしまったような人間は過去にも膨大な数います。Twitter以外にも、芸人のスマイリーキクチ氏をネット上で誹謗中傷して、刑事事件に問われた人間もいるのですから。

こんな書き込みをすればどうなるか、推測できない時点で情報弱者、物書きとしてアウトでしょうに。そして、同じような自意識過剰の狂人によって、すでに実績を残したアニメ関係者の命が36人も奪われた悔しさ。批判覚悟で言いますが、自分の才能のなさに絶望してひっそり自殺してくれ、他人を──才能も前途もある人間を──巻き込まないでくれと、本当にそう思います。とはいえ、容疑者を批判だけしていても事態は改善しませんので、こういう狂人にならないために、投稿者や作家という言葉に憧れている人たちのために、少しは建設的なアドバイスを以下にします。繰り返しますが、苦いアドバイスですが、承認欲求で作家を目指している人間でなければ、多少は有用でしょう。

■自分の才能を確認する方法■

あなたが〝自分には何の才能もないという現実を見たくない症候群〟でないなら、以下のことを試してみる価値はあるでしょう。その上での選択は、さらに多様にありますから。辛口ですが、そこに流れる愛を感じていただければ、幸いですm(_ _)m

①SNS作品をアップしてみる

→4コマ漫画や、4ページ以内のショート漫画なら、Twitterと相性がいいです。近年は30ページぐらいの読み切り作品を、連投機能を利用してアップする漫画家も多いですから、ある程度の長さのストーリー作品でも、Twitterは相性がいいです。それよりも長めの作品や連作ならば、pixivやnote、あるいはFacebookがより適しているでしょう。拡散力はFacebookやpixiv、使い勝手はnoteでしょうか。

特にnoteやpixivの場合は、じっくりと読んでもらいたいエッセイや小説などにも向いています。有料での課金や投げ銭やサポート制度もあり、一部は無料公開して後半は有料とか、柔軟に設定できますから。他のSNSへの宣伝もやりやすい、よくできたシステムだと思います。 ※ときどき、データが飛ぶという大問題もありますが、復活させる方法もないこともないです。このnoteも、一度は90%の文章が飛びましたが、こうやって復活です。

②物書きでもTwitterで試し酒

→小説にはあまり向かないTwitterであっても、使い方次第です。140文字の短文で読者を獲得できない人間が、長編小説なら才能を発揮なんてことありません。140文字でも面白いつぶやきは書けますし、Twitter なら複数のツイートを連続させる機能もありますから、ショートショートぐらいの文字量は十分にアップできます。個人的には、100文字小説には、やや懐疑的です。小説には200文字から500文字は必要と思うので。

エッセイやコラムを書いてみたい人、小説を書いてみたい人、どちらにしても文章力は必須ですから。SNSで文章修行はありだと思いますよ? もちろん変なことを書けば、批判や炎上もありますが……。小説は単行本1冊で10万文字前後。毎週2000文字を年間52週アップできれば、単行本になるぐらいの分量になりますから。それぐらいなら、サラリーマンや自営業続けながらでも、できる分量ですよね? 1日300文字程度ですから。

③慌てる乞食は貰いが少ない

→すぐに結果を求める人がいますが、これが一番ダメ。例えば教え子のカメントツ先生。彼は漫画onWeb のネーム大賞で2位を獲得しましたが、どこの出版社も声をかけてくれませんでした。自分や鍋島雅治先生、佐藤秀峰先生が才能を認めても、です。ただ、彼にはレポート漫画にも才能を感じたので勧めたところ、オモコロで突撃取材レポート系の仕事を得て、それがゲッサンの連載に繋がりました。

ゲッサンでの連載は、残念ながらサクッと打ち切られましたが。事情は知りません。でも、高橋留美子先生に、内容は褒められましたから。才能は疑いないです。才能は相互承認制だと、自分が力説する理由。しかし『こぐまのケーキ屋さん』でブレイクするまで、実に3年を要しています。そもそも彼はデビューする前の時点でも、10000RTを超える文章ネタを、いくつも投稿しています。栴檀は双葉より芳し、ですね。でも、売れるかどうかは別。

④石の上にも三年

→逆説的になりますが、Twitterで100万インプレッションを一発もらうことよりも、プロになることはハードルが高いということです。いわんや売れっ子のプロになるなんて、もっとハードルが高いです。意識的に創作のためにTwitterを3年やって、フォロワー引くフォローの数値が500人を超えないのであれば、魅力がある文章や作品がまだ書けていないという指標です。また作品をアップしても、それが数千RTの単発評価で終わってしまっては、意味がありません。

それよりは100RTや200RTの、地道な評価を受けるツイートを、長期にわたって継続することが大事です。継続は力なり、です。勢いで何かをババッとやれても、地道に積み上げ継続するのは難しいですから。商業プロに求められるのは、そういう地道な継続力です。一発当ててさっさと引退して、後は税金の安いシンガポールに移住しますとか、できると思う人はこんなnote読む必要はないです。

⑤継続よりも大事なこと

→それは、投稿時間を一定させること。短文を毎日、複数個投稿するならともかく、ある程度内容のある作品は週一回が限度だという人も多いでしょう。そういう時に大事なのは、決まった曜日のだいたい決まった時間にアップするということ。なんだぁと思うかもしれませんが、人間はいつアップされるか分からない投稿を、ちょくちょく確認するほど、ヒマでも勤勉ではありませんから。

しかし日曜日の15時に、必ず作品がアップされていると習慣づければ、それほど不満を持たないもの。ゲリラ的な週3回アップより定期的な週1回アップです。それを1年間続けてみましょう。それが以下に大変か。でも、それができないのに、商業プロになれると、思いますか? 追記として、GoogleのChromeブラウザを使用すると、ツイートの予約投稿が可能です。これなら、事前に書きためて定期的にアップが可能でしょう。

⑥アンチは出現すると割り切る

→SNSで発信すれば、必ずアンチが出現します。それで心が折れる人もいるでしょう。でも、YouTubeの人気動画を見てください。ピコ太郎氏の手洗いを推奨するPPAPの第二弾動画とか、1137万回再生され22万のサムアップ👍を得ていますが、同時に1.2万ものサムダウン👎をもらっています。比率的にはファンの5.45%のアンチがわいた計算になります。SNSも同じで、最低でも5%ぐらいのアンチはわくものと、割り切りが必要です。

ただし、京都アニメーション放火殺人事件のような例もあるので、個人情報が漏れるような不用意な投稿は、できるだけ避けるべきです。本名ではなくペンネーム推奨、自宅周辺の写真は絶対にあげない。自宅周辺の出来事は言及しない。それだけでも、かなぁ〜り違います。Twitterとか見てると、そこら辺の情報管理が甘すぎる人が多くて、ちょっと驚きますけれど。自分も気を付けないと。

⑦捨てる神あれば拾う神あり

→がも…大場つぐみ原作・小畑健作画のヒット作『バクマン。』の中でも、読者の2割に支持されればヒット作になると書かれていましたが。愛の反義語は憎しみではなく無関心、これはマザー・テレサの言葉。彼女自身も生前はもちろん、没後も毀誉褒貶はある人ですが、そこは置いておいて。この言葉の意味するところは大きいです。憎しみは愛の別の形。「アンチ巨人も巨人ファン」という言葉が、昭和の時代にはありましたが。これも真理。一番辛いのは無関心です。8割に嫌われてもいい、ぐらいの意識は必要。

自分も、Twitterの連投の幾つかを抜いてTogetterにまとめられて炎上した(正確にはさせられた。抜いたツイートは炎上後にコッソリ入れ直し)ことがありましたが、その後の講座は受講生もグンと増え、フォロワーも増え、よく言ってくれたと褒めてくれる同業者、著書の執筆で協力をしてくださるベテラン作家との縁も広がりました。まさに、捨てる神あれば拾う神あり、です。嫌いな相手の悪口を言うのは宣伝と同じ。嫌いなら話題にもしないのが、もっとも効果的。もちろんだからといって、奇をてらったり炎上商法は論外ですけどね。賛否は分かれて80%に嫌われても、2割に支持される内容があってこその炎上です。

⑧数より質を重視すべき

→最近よく「作家として売れたかったらTwitterのフォロワー数〇人は必要」云々の言説を見かけます。自分はコレには賛同しません。数を増やすことが自己目的化しますし、それでは本末転倒。だいたい、作家はアイドルじゃありませんので。テレビなどで顔を売ってる人には数万のフォロワーがすぐにつきますが。漫画家だと、ゆうきまさみ先生や藤島康介先生クラスで十数万。貞本義行先生でも9万人台、二ノ宮知子先生でも8万人台です。

多くの中堅どころの作家は3000人から3万人の間に収まっており、そもそもフォロワーが売上と必ずしも一致しません。InstagramやYouTubeの漫画動画の、気軽にフォローし交流もライトなユーザーとも、Twitterのユーザーは質が違います。それはテレビの視聴者とラジオのリスナーとの差。テレビの視聴者は多いけれど薄い、ラジオのリスナーは少ないけれど濃い。その意味では、noteのユーザーも200人いないのに、お金を払うユーザーが多いので、自分も驚いています。

⑨フォロワー増加を自己目的化しない・させない

→そもそも、フォローしまくれば、自然にフォロワー数は増えますから、フォロワー数マイナスフォロー数が、その人の実力です。別noteで疑義を呈したフォロワー数が自慢だった人物のように、フォロワー数を増やすために工作をしていた疑いの人物もいます。逆に言えば、フォロー数は10人なのにフォロワー数が200人とか大きく差がある人の方が、フォロワー1万4200だけどフォロー1万鋭い意見を書いていたりします。

例えば講座のある教え子は、フォロワー数がまだ数百人の段階で、弓月光先生や山本貴嗣先生にリツイートされました。はたして数ヶ月後にはフォロワー数は8000人を超え、自分が10年間かけて積み重ねたフォロワー数をさっさと抜いていきました。才能の差ですね。トホホ(←これも昭和的表現だなぁ)。才能というのは相互承認制だと、自分は思っています。全国にたった3000-6000人しかいないプロの100人に認められるのは、1万人のフォロワーより価値があります。

SNSを活用した試し酒の、アドバイスとしてはこんなところですが、さらに幾つか心構え的なことも書いておきます。多少は参考になればいいのですが……。

■同業者の評価を重視■

実は作家って、良いモノは実績や肩書きに関係なく、誉めるモノです。嫉妬から批判することはあっても、ダメな作品は関心がないのでスルーします。フォロワー数よりも誰が評価したか、です。繰り返しますが、カメントツ先生はデビュー前からTwitterではバズり、自分も鍋島雅治先生も佐藤秀峰先生も評価した逸材。売れた後で擦り寄ってくる編集者より、見巧者の大衆の支持や識者の支持って大事です。編集者は編集者というだけで優秀とは限らないですし、むしろ大衆の感覚と乖離していたり、識者のような知識もない人間も、ゴロゴロいるわけで。

自分に対しても、「売れてないくせに」と言い放ってくる人がたまにいます。売上とか知ってるわけでもないのに、超能力者かな? それに尾田栄一郎先生や吾峠呼世晴先生に比べたら、99.997%の作家は売れていないでしょうね。でも、作家は肩書きではなく内容を見ますので。自分もフォロワー数500もない頃に、万単位のフォロワー数の作家にフォローされたり、一回も絡んだことがないH先生にブロックされ、某先生にリプライであなた嫌いと言われ、拙著を尊敬するベテラン作家に誉められましたが。無視されなかったので、自信になりました。繰り返しますが、カメントツ先生もゲッサンでの連載開始直後、高橋留美子先生から忘年パーティで直接誉められました。そんなもんです。作家には作家にしか解らない、評価軸があります。

だからといって、評価されたくてプロ作家にしつこくリプライするのも、逆効果です。空気が読めないのはコミュニケーション能力の欠如。もちろんプロに評価されても、それが才能を保障するわけでも、プロになれる切符でもないです。才能あってもプロになれるかは、運の要素が大きいですから。ちなみに、自分が作家からフォローされたのは、作家性よりも編集者としての経験値や知識が有用と思われた部分が大きいでしょうね。作品の評価ではないです。そもそも喜多野土竜名義以外の作品はほとんど触れませんし、この名義での著作はほぼ、技術書ですから当然ですね。物語を紡ぐ人としての評価ではないです。

■編集者より読者の方を見る■

大手出版社の担当がついて、それで舞い上がってしまい、延々とネームを直し続けて数年、という投稿者に多く出会います。具体的な編集部の名前は差し控えますが、自分の経験ではいくつかの編集部に偏っています。最近もそういう新人作家に出会ったので、もうその担当者には期待せず、別の編集部に持ち込むようにアドバイスしました。はたして半年もせず、その新人はジャンプ+での掲載が決まりました。石の上にも三年と言いますが、何年もネーム直しだけをさせる編集者はほぼ、無能か不誠実です。

あなたに才能がなかったとしても、引導を渡して逆恨みされるのが怖くて、作家の側から自然消滅してくれるのを期待してる小心者である可能性が高いです。あなたに才能があるのならば、作品の善し悪しを判断できる才能がないか、あるいは具体的にどう修正するかの理論や技術がないか、どちらか。そんな担当に出会って振り回されたときのためにも、SNSでの評価を得ておくというのは、留意すべきでしょう。自分がSNSの活用を勧める理由も、ここにあります。昔は作家への道は編集者・編集部・出版社という壁を越えねば難しかったのですが、今はインターネットでブレイクすれば、ほっといても出版社が頭を下げてきます。

カメントツくんの才能を見抜けなかった編集よりも、よほど嗅覚が鋭い読者は(比率は少なくとも全体としては)多数います。一人の無能な編集者に届く作品より、1000人の読者に届くことを優先すべきです。もちろん、その編集者のハートに届けば1万人や10万人に届くのと同義の、有能な編集者に出会えるに越したことはないのですが……。これも確率論ですね。登録者190万人に迫りユニークユーザー400万人のるなろう登録者の1%でも、ちょっとした市町村の人口より上。見つけてくれる可能性は大きいです。

■島津斉彬公の教え■

『薩摩に馬鹿殿なし』という言葉がありますが、それはすぐ寝首を掻くような連中が薩摩藩にあいっぱいいて、有能でないと務まらない修羅の国というだけの話。その中にあって、ひときわ英名を謳われた名君中の名君が島津斉彬公。かの勝海舟がその斉彬公について、こんな思い出を語っています。さすがです。西郷南洲翁が訃報を聞き殉死しようとしたほどの偉人。傑物は、寿司屋の修行を10年やるなんてバカバカしい、なんてことは言わない。絶対に。

「ある時おれは公と藩邸の園を散歩していたら、公は二つの事を教えて下すったよ。それは人を用いるには、急ぐものではないという事と、一つの事業は、十年経たねば取りとめの付かぬものだという事と、この二つだったっけ」

十年かけろとは言いませんが、作家になりたいなら上記でもアドバイスしたように、1年間毎週1ネタをアップするぐらいの粘りがあるか、試し酒をすべきでしょう。多少の才能よりも、継続は力なり。本当は3年は必要です。古今亭志ん朝師匠も実父の古今亭志ん生から、3年間は脇目もふらず落語に打ち込めと諭され、林家正蔵師匠の元に一日おきに3年間通ったとか。カメントツくんもブレイクに3年かかりました。福本伸行先生は、長い人生の三年ぐらい好きなことに費やしたっていいと言ってましたっけ。それでダメなら諦めもつく。

斉彬公は、誰もが誉めるような人間は八方美人で重要な決断が出来ないので要職に就けてはいけない、とも言行録で語っておられます。先に書いた、8割に嫌われても2割に支持されれば……とも通底しますが。作品作りも同じです。読者に届くというのは、誰もが支持することではありません。万人に受けることは、1万人のファンと4万人の無関心層と500人のアンチを生み出すこと。そういう割り切りは必要でしょう。500人のアンチを気にしても無意味ですし、消耗するだけです。

んなことを書いていたら、鳥山仁先生からも、ありがたいご声援をいただきました。売れる=才能ではないのは、自分も全面賛成です。というか、売れてる作家さんはだいたい、自分より才能ある人が売れていない現実を知ってるので、自分が売れたのは運に過ぎないと、自覚しています。鳥山先生も自分と同じで誤解されやすいタイプですが、ツイート内容は深いです。深すぎて、広くは届きづらいですが。

上の追記した⑧にもつながりますが。いずれにしろ、戦いに参加すれば向こう傷も受けるし、嫉妬や勘違いからの恨みを持たれたり。作家の華やかな面だけでなく、恐ろしい面もデビュー前に体験できるという意味で、SNSは有効だと思います。
……ということで、駄文終わり。お付き合いありがとうございました。投稿者や新人作家の皆さんの、何かのお役に立てば幸いですm(_ _)m
以下、宣伝。

■典型的な誤解について■

内容を誤読されてる人がいたので、追記として。本文でアンチの出現は割り切れと書いてるように、こういう人が出現するのは仕方がないし、発言は自由です。……自由ですが、典型的な誤読や主観の一般化など、興味深い事例なので、良きテキストとして転載しますね。

んなこと言ってませんよね? そもそも波津先生の名前を出す理由、ありますか?

本当にこういう曲解で良いんだろうか?

あなたの主観ですね。宇崎ちゃんのポスターなどに難癖付けたツイフェミを思い出しました。

有料部分で批判した論法だ……。あ、有料部分を読ませるためのステマではないですよ。

そうしてください。コッソリ削除されても困りますので、コチラに残しておきます。削除されても、noteにはツイート内容が残りますので(筋を通して撤回されるなら、コチラも削除します)。
あなたにではなく、こういう誤解をする人のために、解説&追記しますね。

それはアナタの思い込みの、投影ですね。心理学で言うところの。
自己責任という言葉に、独自の思い入れや定義がおありなんでしょう、こっちは知らんがな、です。

解ってる人は解ってくれてます。これが普通の読み方だとは言いませんけどね。では、以下に追記を。まぁ、Twitterを長くフォローしてくれてる方には、繰り返し言ってることで、周知のことですが。

誤解①落ち穂拾い

自分は編集者時代から一貫して、才能があるのにないと思われてる人や、ないと思い込んでる人を拾いあげるって部分に心を砕いてきました。「あんな売れないベテラン作家(新人・投稿者)を推して」とか、同僚にさんざん陰口叩かれて、でも何人かはマンションや家を建てられるぐらいまで、結果を出しましたよ。無理解な編集長の妨害にも負けずにね。

カメントツくんだって、デビュー前から才能は明らかだったので、イロイロと講座でアドバイスはしました。結果、漫画onWebで2位。でも、どこの編集部も声をかけなかった。自分が戦ってきたのは、そういう同業者です。ついでに言えば、彼が売れてからノコノコ声をかける同業者です。念のために言っておきますが、自分に作家を育てる力はありません。スポーツほどではないけれど、それでも才能の世界なんだから当然です。

育てるんじゃない、育つ。でも、せっかく才能があるのに目詰まりを起こしてる人間に、その場所を指摘し、詰まりを改善することはできます。でもそれを育てるとは言わない。目詰まりは修理できても、修理するのも作家自身。まさに自己責任。そもそもパイプの太さは作家自身の才能。多少、広げることは可能でも。広げた結果、プロのレベルに届くレベルになれる人もいれば、ギリギリ届かない人もいます。

誤解②プロが価値に非ず

じゃあ、プロになれない人間に価値はないとか、そんなことは言ってないのに。この人は勝手に脳内で自分の言葉を継ぎ足し、作文しちゃってます。剣道も柔道も骨法もブラジリアン柔術もパワーリフティングもイラスト……も、自分は一流にもプロにもなれなかったけど、人生はとても豊かにしてくれました。それはそれで充分に価値があるよねって話は、Twitterなどでもさんざんしていますから。

いちおう段をもらったり、某実戦空手の有段者をKOできたり、プロの格闘家とスパーリングできたり、ブラジリアン柔術は道場を開く資格まで持てたり、人並みの絵は描けたり。もちろんそれは五輪や世界大会とか、プロで食ってる人間のレベルには遠く及ばないけれど、だから無意味なんて話はしていません。

昔ある人に「才能無い人に技術を教えるのは無駄では?」と言われたことがありますが、そういうアナタだってゴルフクラブや会員権に何十万や何百万もかけてるけどはプロを目指してる訳じゃないですよねと、反論しておきました。楽しいからやってる。それの何が悪いのか? 悪くありません。漫画やイラストも同じで、楽しくやれればそれで充分意味がある。そこを否定したことなどないです。むしろ積極的に肯定しています。

誤解③裾野と頂点

というか、むしろプロになった側に、趣味でやってる人を見下したり馬鹿にする人がいて、たしなめる側だったりします。アマチュアの広い裾野が、プロの頂点の高さを支えるって考えですから、自分。京都アニメーション放火殺人事件の犯人を批判するのは、彼が小説が好きだとかではなく、自分の人生の一発逆転として小説ならなんとかなると、それこそ小説を簡単だとか自分にも才能があるはずと、実際は無自覚に馬鹿にしているからです。

挙げ句に京都アニメーションを逆恨みして、才能も志しもあった人間を、36人も死に追いやった訳で。たとえ芸術至上主義と批判されても、才能のない自分は子嚢のある人間の死を、自分は惜しみます。同時に犯人の狂った行動が、小説に投稿してる人間に、要らぬ偏見を生みかねない部分を、危惧します。自分が大学に入学した1989年、東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件───宮崎勤の事件が発覚します。

若い人にはピンとこないでしょうけれど、同人誌を作ってコミケに参加する人間への偏見は当時、厳しいモノがありました。別の記事『原始、オタクは蔑称だった』にも書きましたが、犯罪者予備軍扱いされたのは事実。こういう事件で、せっかく花開こうという才能が偏見に晒されたり、趣味で楽しむ人が萎縮するのを、自分は、危惧します。上でも書いていますが、京都アニメーション放火殺人事件の犯人が狂人なだけで、社会のせいに転嫁してはいけない。

誤解⑤自己責任論

たぶん上記の方、ここに引っ掛かった可能性が、ありそうですが……。だったら、京アニ事件の犯人も、京アニが彼の小説を無碍にしたから犯罪を招いたって、転嫁できちゃいますよね? それでいいんですか? これは就職氷河期世代は時代や社会の問題という一般論や世代論とは別物。混同しちゃダメ。絶対に。氷河期世代が殺人を起こしたからと、社会に責任転嫁や免罪はできない。むしろ、犯罪も犯さず真っ当に生きてる氷河期世代の大多数に対し、失礼な理論です。

話を戻すと、最初はそういう気持ち──承認欲求で小説や漫画を始めたけれど、その楽しさに目覚めた人間を、動機から否定もしないです。好きになって、才能があるならプロを目指せばいいし、プロレベルの才能があっても趣味の範囲に留めるのも、これまた本人の選択です。まさに自己責任。清少納言も紫式部も、職業作家ではなかったのですから。そもそも、完全な職業作家というのが曲亭馬琴以降、200年も歴史がないです。

万葉集以来、1300年近い歴史の中で。好きだけどプロになるほどの才能はない、けど楽しいから続ける……そういう姿勢を馬鹿にしたことはないですから。繰り返しますが、積極的に肯定しています。だって自分も、他の分野ではそういう人間だから。誰が上から目線でここまで来いと、煽っていますか? プロになることが自己目的化してる人間への批判を、混同されたらたまらないです。

誤解⑥図星を突いちゃった?

ひょっとしたら単に、フォロワー数の割に伸びないフォロー数について、あまりに図星だったので過剰反応したとか? 筋違いな自己責任論を持ち出し、トンチンカンな否定に走っちゃったのかもしれませんが……。ハッキリ言って、知らんがなです。それこそ、現実に向き合ってください、自己責任で。コチラの意見を否定するにしても、コチラが言ってることと真逆の内容を創作しての批判では、敵を利するばかりですよ? 

ちゃんと目的があって多数をフォローしまくるのなら、激昂する必要もない。むしろ喜多野は解ってないと苦笑や冷笑して終わり。無視できないからこそ感情的になったり、わざわざTogetterにまとめるなんて労力をかける人がいる。見る人が見れば、底意はダダ漏れです。波津先生の名前をわざわざ出してる部分からも、これが図星っぽいですが。上のオープントーナメントの例えではないですが、自分のように陰湿で粘着質な人間に突っかかると、こういう形で反撃されるってことで。

同時に、喜多野土竜だけを見て反論しても、多くの作家の琴線に触れてリツイートされたぶん、今後ますます作家に相手にされなくなりますよ、と。アンチ喜多野にはフォローされるかもしれませんが、それでいいのかな、と。落合信彦氏が留学時代のディベートの講義で、教授からダメ出しされた理由ですけどね。落合氏の著作は誇張が多いけれど、留学時代の実体験は割と信憑性が高いです。
以上で追記終わりです。m(_ _)m
どっとはらい

※ここからは、興味がない人は読まなくていい、有料記事。上記の、投稿者のアドバイスとは関係ない内容です。自分に何年も粘着していた、自称脚本家の御仁 @realiser 氏と @taka_antifa 氏についての、最近気づいた重大な部分について。そういう意味では、京都アニメーション放火殺人事件とちょっとだけ関わりがありますが……。なお、返金にはいっさい応じませんので、購入は自己責任でお願いしますm(_ _)m 警告はしましたよ?

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