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とある平和記念館に行った感想

 ちょっと前にとある平和記念館に行ってきた。十五年戦争の体験を語り継ぎ、戦争の悲惨さや平和の尊さを学び、平和を願う心を育むための拠点となる施設とのことだ。戦争で亡くなられた御霊の冥福を祈るため、そして当時の人々がどのように生き抜き、また死んでいったのかを知るために記念館に赴いた。

 僕は小さい時から歴史に好きで、日本の歴史シリーズはよく読んだ。その中でも第二次世界大戦や太平洋戦争に強い関心を持っていて、自由帳には戦闘機や戦車を描いていた。

 某動画配信サイトで『決断』や『ザ・コックピット』などの太平洋戦争が舞台のアニメを視聴した時期もあった。『ザ・コックピット』は松本零士原作もあって、高品質のセル画で戦争の悲惨さ、虚しさが描かれているので、興味を持たれた方は是非ご視聴していただきたい。

 話が逸れてしまったので、記念館の話に戻そう。今回訪れた記念館は基本展示の他に、企画展示が設けられていて、テーマは沖縄戦だった。企画展示では、当時の人々を映した写真とともに、日用品、武器や軍服といった貴重な資料が展示されていた。運が良いことに、記念館に来た直後に学芸員による企画展示の説明会が始まったので、僕も聞きに行った。

 学芸員は臨場感のある語りで沖縄戦の悲惨なエピソードを話した。12、13歳の少年兵3人を守るため自ら犠牲になった兵士、生きる希望を失い、貴重なトマトやさとうきびを戦場から逃げてきた人たちに分け与える女性。

 特に印象に残っていたのが、決死の覚悟で井戸の水を汲み取りに行った兵士のエピソードだ。水を汲み取りに来た日本軍を狙うためアメリカ軍は井戸周辺をマークしていた。だからといって、水が無ければ飢え死にするので、一兵士が危険な状況の中、井戸に向かった。案の定、アメリカ軍に囲まれてしまい、ガソリンを掛けられ、焼き殺される寸前になったが、何とか九死に一生を得て、現在もご存命とのことである。

 平和記念館を通して、改めて戦争がいかに恐ろしいか学んだ。やはり、このような悲劇は二度と繰り返してはいけないと思う。

 しかし、今の社会は不穏な空気が流れていて、70年以上続いた平和は今後も続くんだろうかって不安に感じている。日本経済ではますます格差が広がり、SNS上では日々喧嘩が繰り広げられている。さらに、世界情勢も悪くなる一方だ。一昔前に比べて、皆余裕が無くなってきている。

 社会の歯車から外れ、再び這い上がることができなかった人は次第に孤独になり、精神が蝕まれ続けた末に死んでいく。平和なはずなのに、このような最期を迎える人が増えつつあることにやりきれない虚しさを感じる。

 戦争で亡くなられた方々は今の日本を見て、どう感じているのだろうか。

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