【開発ストーリー】”自然と健康のサウナ”が生まれるまで|日帰り温泉×サウナの新業態に挑戦
「おふろcafé あげき温泉」では、日帰り温泉×サウナラウンジという、温浴業界でも珍しい業態に挑戦しました。
男女混浴、外気浴ブース、インクルーシブな料金体系など目新しいポイントも多々あるものの、このサウナラウンジを一言で表すなら
サウナ好きが、”好きじゃなさそうなサウナ”。
になるかもしれません。というのも、僕自身が最近のサウナブームにあまり沿うことなく、もっとゆるくて、自由で、のんびり楽しめるような場所を作りたい思いがありました。
会社の、そして僕自身の命運がかかった一大プロジェクトで、なぜあえてこのようなスタイルを選んだのか?
どのように店舗のコンセプトを決めたのか?
コンセプトを施設のデザインやルールにどのように落とし込んでいったのか?
本日のnoteでは、そんな店舗開発の裏話をお話します。
日帰り温泉×サウナ×食堂×ホテルの新業態に挑戦
2024年4月。三重県いなべ市で15年続いていた「阿下喜温泉あじさいの里」が、温泉・サウナ・食事・ホテルからなる街の温泉複合施設『いなべ阿下喜ベース』として生まれ変わりました。
「おふろcafé あげき温泉」はそこにあります。
全面リニューアルされ、内装もコンセプトも一新されたあげき温泉では、【日帰り温泉】と【サウナ】を両立させた、業界でも珍しい新たなスタイルに挑戦しています。
スーパー銭湯に行くと、岩盤浴ブースが別料金になっている料金体系を見かけることがあると思います。
今回僕たちが新しくオープンした「あげき温泉」では、そのオプションの岩盤浴の立ち位置として、サウナがあります。お風呂とは別にサウナラウンジがあり、そちらは別料金で使用できます。(※お風呂のほうにも、小さなサウナはあります)
サウナラウンジは男女共用(水着と専用着を着用)で、3種類のサウナを用意しています。また、各サウナはデッキに繋がっており、サウナで温まった後は外気浴で心地よく涼むことができるのも特徴です。
他にも紹介したいポイントはたくさんあるのですが、本日のnoteの主題は、あげき温泉のサウナのおススメではなく、「なぜ、このようなデザイン、設計、ルールにしたのか」という点。
さっそく、その裏側をお話していきたいと思います。
このお店にとっての「中心軸」を探す
「あげき温泉って他のおふろcaféのお店とイメージ違いますよね?」ー
先日、知人からそんな質問を受けました。
もちろん、あげき温泉も僕たちONDOグループが運営している「おふろcafé」ブランドの店舗の1つです。しかし実はそもそも、おふろcaféには全店舗に共通する、統一のコンセプトのようなものは存在しません。
あげき温泉の店舗の話をする前に、少しおふろcafé全体の考え方を紹介させてください。
僕たちは、赤字の温浴施設の再生を事業モデルとしています。地元で長く愛されてきたスーパー銭湯や健康ランドを引き継いだり、運営を委託されたりして、コンセプト設計・リニューアルをしながら、おふろcaféとしてリブランディングすることで、経営改善を目指します。
つまり、大前提として、僕たちが手がけるのは「おふろだけでは、経営が立ち行かなくなってしまった施設」なのです。
そこで、おふろ以外の機能を持たせ、おふろ以外のニーズを取り込むことで収益をあげながら、地元の人にお風呂屋さんを提供しつづけよう、という考え方をもっています。
色々なことをやりながら、長い時間ゆったり過ごせる場所の代表格と言えば、やっぱりカフェ。そこで【おふろ】×【カフェ】で、おふろcaféというブランドが生まれました。1号店のおふろcafé utatane(埼玉県さいたま市)を開業して10年になります。
おふろcaféの全店舗に共通しているのは「お風呂に入ったり入らなかったりしながら長い時間過ごせる温浴施設」というくらいで、デザインの方向性やコンセプトというのは、実は店舗ごとに全く違います。
その場所、そのお店にとっての中心軸を毎回ゼロベースで考えています。
例えば、三重県にはもう一店舗、僕たちが運営する「おふろcafé 湯守座」(四日市市)という店舗があるのですが、今回のあげき温泉と湯守座では同じ県内にあっても、お店に入った瞬間のオペレーションから全く異なります。
湯守座は大衆演劇を上演するステージを備えた店舗です。「浮世デイトリップ」というコンセプトで非日常空間を楽しんでいただきたいため、受付で靴箱のカギをお預かりして、館内着をお渡しして、スタッフが受付対応しています。
一方であげき温泉は、
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