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ジンベエザメのシミの味#なぜ私は書くのか

初めまして。モグラです。
小説の投稿を終えたので、書いていた時の所感とともに自己紹介をします。
6100文字程度。小説の大きなネタバレは含みません。


小説を書いたきっかけ

ジンベエザメと、もう一度バカ話をしたい。
そう思ったのがきっかけでした。

モグラは以前、土木工事の現場監督をしていたようで、そこでモグラの下請け業者の親方として職人たちを束ねていたのがジンベエザメだった

「戊辰鳥 後を濁さず」第6話 より

昨年の七月ごろ、ジンベエザメからLINEの返信がこなくなりました。
私とジンベエザメのそれまでのやり取りの内容は、主に仕事の相談です。
いつもなら絶対に返信をくれます。

ジンベエザメは、今どうしているんだろう。
今は違う職場となり、連絡手段はLINEしかありません。
いろんなことを想像しました。

きっと大変な状況に違いない。

そこで思いついたのが、

ジンベエザメとモグラが土木の知恵をフル活用して、
現場のトラブルをまぁるく収めるストーリーを作って、
そこには、昔一緒に現場で働いた時の思い出を散りばめて、
バカやってたな。俺たち。って、思えるような小説を作ろう!

という案でした。

これならば、仮に最悪、ジンベエザメが病院のベッドにいても読めるハズです。
既読スルーの状態でしたし、見てもらえる可能性が少しでもあるならば、それに賭けよう。そう思いました。

これがきっかけです。


まず、始めたこと

最初に書いた文章は、小説で言うところの第40話の文章でした。

内容は、現場の思い出をだいぶ脚色してますが、文量はサクッと読める程度を心がけました。
Macのメモに書きました。音声読み上げ機能があることを知り、リズム感が欲しくて何度も聞いては修正しました。
その度に、笑いました。
人生初めての執筆作業です。とても楽しかったです。


次に始めたこと

第40話のバカ話を読んでもらうためには、その話を含んだ一つの小説の形でないといけません。
なので、バカ話に繋がるようなネタを探しました。
しかし、モグラである私の考えることです。気づけば年が明けていました。

煮詰まってしまった時、私は決まって友人であるトキに相談します。
神奈川県カピバラ市イグアナ地区をトキと散歩しながらのことでした。

「イグアナ地区に石油でも出ればいいのにな。」
と、トキが呟きました。

私は「掘って出るなら温泉じゃない?」と返し、
トキは「それだ!」と食いつきました。

その日、練り出したネタのタイトルは、

1.「イグアナ地区 湯畑プロジェクトX」
2.「おゆとめ! 〜お湯を止めるな!〜」
3.「3日後に湯が沸いたトキ」

となりました。
頭の中でストーリーを動かす現場がなんとなく整備されて、ワクワクしました。


持病の特性

作中のモグラ同様、私は統合失調症です。
今は、体に合う薬が見つかり、寛解状態ですが、基本的に頭の中はヘドロのように重い感じがします。
温泉で例えると、たくさんの成分が混ざり合ってドス黒い色をしている粘り気のある泉質です。

病気になる前は、
適宜、過去の出来事を入浴剤として取り出して、その思い出に浸かれていました。

ですが現在は、
いろんな入浴剤が混ざり合ってしまっていて、その成分が陰イオンのマイナスエピソードと陽イオンのプラスエピソードに別れて、頭の中をふわふわ漂っています。

私の頭の中の浴槽は、決壊しては修復してを繰り返してきたので、だいぶ頑丈になりました。
なので、トキとの散歩の後、構想期間を設けました。
二週間くらい浴槽の中で大筋の構想を掻き回し続けましたが、浴槽はなんとか決壊せずにすみました。
頭をひたすら混乱させて、最後のほうはへとへとだったことを覚えています。


いざ、書いてみると

浴槽を掻き回し続けると陰と陽が思わぬ結合をします。
新たな入浴剤の完成です。
それがこの小説の各話を作っていきました。

なので、大筋の構想ができてから、第40話のバカ話までは二週間程度で書くことができました。

楽しかったです。
初めての経験でした。
書くのと同時に晴れやかな気持ちになっていきました。
頭の中のヘドロの成分が結晶となってどんどん抽出されることで、私の浴槽は、みるみる澄んでいきました。

しかし、調子に乗りました。
気づけば、入浴剤を足さなければならないほど、ヘドロは透明になってしまっていました。


ネタ切れ

もう続きを書けない。物語の結末が書けない。
一ヶ月くらい格闘しましたが、書けないものは書けない。
仕方ない。第1話から第40話のバカ話までで良いので、ジンベエザメにLINEしよう。
続きは後から書けばいい。
メモの内容をpdfにし、LINEで送りました。三月の中旬のことでした。

その三日後、ジンベエザメから返信がありました。
書き主は、ジンベエザメの奥さんでした。

せっかく連絡頂いたのですが、実は主人は病気の為、1月〇〇日に亡くなりました。
何度かモグラさんの話を聞いた事があります。
とても真面目な方で頑張り屋さんだと言ってました。
小説書いてるんですね。
頑張って下さい!
主人もきっと、応援してると思います。

涙が止まりませんでした。
バカ話をして楽しく過ごせば、病気はよくなるはずでした。
間に合いませんでした。

絶対に書き上げて奥さんに見てもらおう。
一つの小説にして本を作り、現場のジンベエザメがどんだけ素晴らしい方だったか、そのことを伝えるんだ。
そう誓いました。


ジンベエザメのシミの味

私が以前、現場監督として勤めていた会社には、技術部という土木の工法研究を行う部署がありました。私は大学生の時、研究にのめり込んでいたので、いつか技術部に配属されたい。と、現場の休憩中に喫煙所でジンベエザメにボヤいたことがあります。

ジンベエザメは、タバコを揉み消しながら
「現場ができない人間に実験はできない。工事しながら実験しろ。」
と言い、電話ボックスくらいの大きさの喫煙所を出ていきました。

すぐさま次の順番の職人さんが喫煙所に入ってきました。
頭の中もぎゅうぎゅうでした。
とても苦い思い出です。

そこで私は実験計画を立てました。
工学的な専門知識も実験用の新たな工法概念も資金もありません。
ですので、
「楽しく現場を監督した時」と「厳しく現場を監督した時」どちらが出来高が上がるのかを実験することから始めました。
各ケースの実験期間は二週間としました。
現場は日々状況が変わります。そのため、現場環境を一定とするために、現場の段取りを更に練り、整理整頓をより一層心がけるようになりました。

結果は、最初の二、三日は厳しい現場の方が出来高が上がりますが、二週間ではバカ話をしながらの楽しい現場の方が上回ることがわかりました。

そうやって、楽しく色々と実験をし、ジンベエザメに報告をし、技術的な助言をもらいました。
気づけば、その現場は社内で一番利益が上がった現場となり、私は社長賞をもらっていました。

 モグラは言っていた。
「現場を優雅に泳ぐジンベエザメのシミ一つ一つは技術の結晶で、俺はついてまわってそれをパクパク食べるコバンザメだった。」と。

「戊辰鳥 後を濁さず」第6話 より

シミの味は、口にの中に放り込まれた時とても苦かったですが、ひたすら噛んだので味の出切ったガムみたいな味になっています。
それでもまだ噛んでいます。心を落ち着かせることができるからです。


編集者のトキさん

「どうだ?湯畑はできたか?」と、トキが聞いてきてくれました。
想定される泉質上、湯の花はできないことを伝えました。
そして、ジンベエザメが亡くなっていたことを話しました。

「モグラはカピバラ市をよくしたいと思ってるキャラクターなんだろ?悲しい話じゃなくて楽しい話なんだろ?」

トキのいいところは、まず寄り添ってくれるところです。

「そうだよな?それならそれを忘れないで書いてください。」

トキは、カピバラ市のために私が今までしてきたことを例に挙げながら、モグラなら、楽しい話が書けると言ってくれました。

モグラがカピバラ市のためにしてきたことの代表例はこれです。

「ただ、今考えるとこれは既存のゾウ山ってコンテンツを独自の角度で紹介したに過ぎない。モグラならやれる。カピバラ市でコンテンツを0から作って欲しい。紹介される側になるんだ。」

トキは、過去の話をよくしますが、それはこれからの話をするための例としてです。
トキと話をして前向きになっていました。とてもワクワクしていたことを覚えています。


ジンベエザメからの読書感想

こうして私は、第一部を完成させました。
結果として、悲しい結末となってしまいましたが、完結させました。

コンテンツの発表予定場所はInstagramにしました。
今流行りのリール動画として小説をオーディブル形式で掲載していくことをトキと決めていたため、書くのはこれまで通りの日記形式の行事進行もので良かったです。

第一部を書き上げたとき、ジンベエザメが語りかけてくれました。
「面白い。面白い。
 ただ、あの時は俺が変なこと言っちまった。
 モグラ、もういいんじゃないか。」

統合失調症特有の幻聴ですが、思い当たる節がありました。


フィリピンパブでの取っ組み合い

件の社長賞の現場を終え、慰労でジンベエザメらとフィリピンパブに行った時の出来事です。
「僕たち一つの現場を完成させましたね!やりましたね!」
と言うと
「あのな。俺たちは単なる作業員だ。誰がやっても同じものができる。だからそんなこと言うんじゃない。」

ジンベエザメは調子に乗った私をそう正してくれました。

「だったら、現場は誰が作ったって言えるんですか?」
と、酔っ払った勢いで投げかけました。

「それは、発注者だ。役所の人間は、計画から工事完成まで全部に携わる。発注者は偉いんだ。だから俺らは、こんなこと言っちゃいけない。」
「けど、実際に作ったのは、僕たちですよ?」
「違う。そんなに自分が作ったって言いたいなら、発注者になればいい。なれるか知らんがな。」
「やってやりますよ!発注者になってやります!」
「お?言ったな?また、思いつきか?」
「違います。発注者になって、俺がやった。って言ってやりますよ。」
「なんだと?」
「あ?」
「おい。表でろ。」
こうして取っ組み合いが始まり、私は完敗しました。


発注者としての私

それから私は発注者となるべく、公務員試験の勉強を始めました。
想定問題集を作り、その解答に手応えを得られるようになったため、土木会社を退職しました。最後の方はへとへとでした。
そして、神奈川県のとある市にトライし、採用されることとなりました。

ジンベエザメに伝えたら、怒るのかと思いきや、とても喜んでくれました。

しかし、発注者の仕事は私には難しく、職場内の人間関係も拗れ、私は突然トラのようになってしまいました。
私はメンタルクリニックで、統合失調症と診断されました。

統合失調症となったことは、ジンベエザメには伝えませんでした。
けれどなんとなく気づいてくれました。

その後、復職し、変わらず発注者の立場ですが、やはり困難です。

あの時は俺が変なこと言っちまった。
モグラ、もういいんじゃないか。

発注者になればいい。と言ったことをジンベエザメは謝り、頑張ってきた私を許してくれました。
涙が止まりませんでした。


発注者としての経験の棚卸し

実際問題、現状、発注者の次に何をするのか決まっていません。
障害者としてできる仕事を探しています。

なので、少しでも頭を軽くしたく、発注者としての経験も結晶化させることにしました。
第一部は土木の現場と日常の楽しいことをテーマにしていたので
第二部は土木の設計計画と日常の辛いことをテーマにして書くことにしました。

一週間くらいで書き上げました。
新たな自分に変わるんだぞ。と言う決意ができました。


投稿を開始して

GW明けにInstagramで投稿を開始しました。
https://www.instagram.com/tsuchinoe_tatsutori/

しかし、全く再生されません。
Instagramは読むと言うより、見ると言う感覚に近いのかな。と思いました。
そこで、読んでいただけるような媒体を探し、noteと出会いました。

noteを始めてから楽しいです。その楽しさは皆さんの方がお分かりだと思うので割愛します。
最初は、Instagramのサブ的位置付けでしたが、いつしかnoteを使用している時間の方が多くなっていました。

そして、#創作大賞2024 を知りました。応募要件を満たしていたため応募しました。


#なぜ私は書くのか

常に思考が混乱しているため、文章で整理する必要があるからです。
なので、#創作大賞2024 の応募記事は第二部で完成ですが、
これから第三部も書いていきます。

第一部は、自伝を
第二部は、空想を書きました。
第三部は、随筆です。

カピバラ市の実際の出来事を紹介するエッセイに挑戦したいです。
しかし、エッセイもよくわかりません。

なので、藤原華さんが主催されている

↑このコンテストに応募することにしました。

賞品:グランプリ受賞者には、大手web媒体の編集長を務めあげた私が怒涛の感想をお送りします。

藤原華さんの記事「noteコンテスト「なぜ、私は書くのか」を開催します!」 より

賞品が素敵すぎます。


#なぜ私は投稿するのか

投稿を始めた理由は、カピバラ市に新たなコンテンツを作り、盛り上げたいという気持ちが芽生えたからです。
街おこしです。
街から文学が生まれるのではなく、文学によって街ができるという試みをしたかったからです。

そのためには、バズらないといけません。
#創作大賞2024 に応募を始めたところハッシュタグの効果で以前よりビュワー数は増えました。

しかし、責任も発生しました。

私の素性も、カピバラ市と言われてピンとこない人も読んでくださっているハズです。
そんな方々に記事を読んでいただいて私は何を伝えたいのか。読み終えた時に何か得るものがあったと思ってもらえるのか。
私の記事を読むと言うことは、無料かもしれませんが、その人の時間と体力を奪います。時間は命です。果たしてその責任を果たすことができるのか。
それはまだ整理されていません。

なので、これから小説を0から作る作業を学び、そのフローに基づいて小説を見直します。
それは今後の記事で整理していきます。


終わりに

この記事を書き終え読み返し、また思考が整理されました。

今後、気をつけること
一 人の死をネタにしないこと。
一 自虐をしないこと。
一 自慢をしないこと。

難しいです。がんばっていきます。

モグラのように黙々と書き、
トキのように高い視点と広い視野で推敲し、
ジンベイザメのように優雅に泳いでいきます。

以上、自己紹介でした。
読んでくださりありがとうございました。


あ、思い出しました。
僕は小説の第1ページにこの文章を入れたかったのですが、なんだか恥ずかしくって、できなかったんです。
けれど、無事投稿も終わりましたので、
この小説の献辞けんじをここに記したいと思います。

  ジンベエザメ、ぼくの僚友よ、
       きみにこの書をささげる。

ここまで読んでくださりありがとうございました。

モグラでした。

#自己紹介 #なぜ私は書くのか #創作大賞2024

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