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《土木文学》「戊辰鳥 後を濁さず」第45話

四月二十九日(祝)

 条例 法律 行政法 検索

 今は便利な時代で、私はまだ「条例 ほうr」までしか打っていない。

 サジェストのまま検索すれば、トップにサマリーも出るし、その根拠となるエビデンスも出るし、法律、条例、規則、施行令、違いはよくわからないがたくさんの決め事が出てくる。こんなに決め事がある世界に生きていたとは知らなかった。

 とあるpdfデータを開く。
 読み解くと「条例が法律の目的と効果をなんら阻害することがないのかどうか」が肝心らしい。

 私にはそんなことはわからない。

 ただ、法律。つまり、「水濁法」は特例で民泊を除いたのに、「神奈川県生活環境の保全等に関する条例」はどういうわけかその特例を踏まえた改正をしていない。これは間違いなかった。

「役所の人間は、目先のことに精一杯で、条例がどの法律に基づくか把握していないから、元となる法律が改正されても、気づいてないでそのままにしてるんだ。それか、その改正する手間がだるいとかで。」と、あれだけ綺麗に絞められたというのに、その後もゴホゴホ言いながら、ぐちぐちモグラは言っていた。

「国と役所が連携してねぇからその軋轢あつれきで苦しむ奴が出るんだ。」それはバイソンも言っていた。

「ゾウ山が日本遺産に認定された時だって、あれは地元カピバラ市の衆議院議員であるマンチカン議員が、文部科学副大臣としてカピバラ市をピックアップしてくれたから始まったようなもので、カピバラ市役所はそんな取り組みは寝耳に水だから、その補助金の使い道も後手後手で、周りを巻き込んだはいいものの、結局何が変わったんだか、今となっちゃあ、わからない。」なんてことを言っていたのも思い出した。

 結局、ゾウ山は良くなったのか。
 カピバラ市は良くなったのか。

 そんなどうでもいいことを連想しないと、なんだか押しつぶされそうな気分だった。

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