見出し画像

《土木文学》「戊辰鳥 後を濁さず」第62話

六月四日(火)

 処理するだと!
 処理するとは、なんだ!
 お前たちは知らないだろうが、
 このことに責任を感じて、人が一人死んだんだ!
 残された人の気持ちもわからないで!
 それを処理するだと!

 といった気迫で、

「今日はお引き取りください。
 トキさんも最近友人を亡くしまして、今はちょっと。
 そのことも考えてあげてください。」

 ジンベエザメは、冷静にそう言った。

 市役所の職員たちは、そうとは知りませんでした。突然来て申し訳ありません。出直します。と言って、帰っていった。

 市役所の職員の方々も人間だ。楽な仕事とは言われているが、こういった折衝も含めて仕事は多岐に及ぶ。私も嫌な関係にはなりたくない。

 なんにせよ。ジンベエザメには感謝しかない。

前話へ / 全話一覧へ / 次話へ

#創作大賞2024
#お仕事小説部門

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?