ヴィクトリアサンドイッチ風のケーキが好きなんですけど 〜わが家のおやつの雑記帳〜
「好きなケーキは?」
と聞かれたら「ショートケーキ」と答える。
ふわふわのスポンジケーキに生クリームと苺の組み合わせ、こんなおいしいもの、嫌いな人いるのかしら。ずっとそう思っていたのだけど、ケーキや生クリームが苦手という人は案外いると知って驚いた。
ケーキは誕生日とかクリスマスにしか食べられない “特別なもの” だから “みんなが好きなもの” と、子供の頃から疑う余地もなかった。
そのまま大人になった私は、高校時代の友人が結婚すると聞き、お祝いにケーキ作りの一式、ホイッパーやらケーキ型やらレシピ本やら詰め込んで贈ったのだが、何年かたって「あのケーキ型で仕方なくミートローフ焼いた」と飲みの席の笑い話に聞かされた。友人はスイーツには興味のない左党となっていた。ってか、そもそも高校時代にはまだ「スイーツ」なんて言葉はなかったし、学校帰りに寄り道して食べるのはたこ焼きかアイスクリーム、マクドナルドかロッテリアだったし、友人とは部活も帰り道も違ったから、一緒に帰ったことはほぼない。一緒に食べたのはお弁当くらいかな、と思うがその記憶もない。
「え?ケーキ食べへんの?!」
「食べへんし作るわけがない(笑)」
うそー!!ほんとにびっくりした私。
自分が好きなものはみんなも好きとは限らない、プレゼントするときは気をつけようと肝に銘じた。
ついでに言うと。ずっと甘党で下戸だと思っていた私が、その友人に誘われてお酒を飲んだその日から、実は上戸ですっかり飲み仲間となったのもまたおきまりの笑い話。酔うとよく同じ話をし、毎回初めて聞いたようによく笑い、次の日には忘れている。それもまた楽しい。
そしてお酒の味を覚えても私は変わらず、〆には何か甘いものが食べたくなる。
ケーキ食べたいなぁと思うときも、ケーキ作ろっかなぁと思うときも、私の頭にまず浮かぶのは苺のショートケーキ。みんなとは言わないけど大抵の日本人はそうだよね、きっと。
ショートケーキは日本発祥なんだそうで。白いクリームに真っ赤な苺、そういや日の丸カラーだなぁ。そう、ショートケーキにはやっぱり苺がいい。
わが家の家庭菜園の一画、一見草むらの中に苺が育っている。母の畑からもらってきた何株かの苺が、毎年ランナーを出し、子株、孫株と増えて春になると花が咲き、実をつけてくれる。ほったらかしなので「野放し苺」と呼んでいる。昨今のあまーい苺と違い、甘酸っぱい苺。子供の頃に食べた苺はこんなだったような気がする。家庭菜園のある人は皆そうだと思うが、自分の畑のはとにかくなんでもおいしい。あんまり甘くないのとすっごく甘いのと、正直いろいろあるけど、それもまたお楽しみ。この春の苺をありがたくおいしく食べたいがために、クリスマスの頃から店先に並ぶ冬の苺を自分が食べる用には買わないと決めている。(でも、思いがけずいただいたりするととてもうれしい!)
ショートケーキの作り方はざっとこんな感じ。
卵と砂糖をふんわり泡立てて、粉、溶かしバターを混ぜていく。練らないように、切るように。型に流してオーブンに入れたら、上手に膨らんでくれるか、何度も覗き込む。ぷーっと型いっぱいになったらひと安心。きつね色に焼き上がったスポンジケーキが冷めるのを待ってスライスし、生クリームを塗って苺をのせ、生クリームで覆ったらスポンジケーキをかぶせ生クリームを塗り、残ったクリームと苺でデコレーション。
スポンジケーキに生クリームを塗る前にシロップを染み込ませる、というレシピも多いけど、生クリームの水分が自然にスポンジに移っただけでも十分おいしいと思うから、そのシロップの分の砂糖と手間は省いて、かわりに冷蔵庫に入れて“待つ時間”をレシピに加えておきたい。
ケーキにクリームを塗ってから慌てて冷蔵庫の中を整理する、ということも多々ある。せっかくきれいに塗ったクリームに指を突っ込んでしまったりするのは大抵そういう時。焦らず慌てず、心に余裕がないとおいしいお菓子は出来ないものだ。
かくして、ショートケーキの完成!
今でも大好きなショートケーキ、それもホールのデコレーションケーキは、だれかの誕生日くらいしか作らない。特別な日の “特別なもの” として気合いを入れて作って、大切に食べたいもの。
普段のおやつとして食べるなら、デコレーションを簡単にしてヴィクトリアサンドイッチケーキ風に。
ケーキの上とまわりにはクリームを塗らず、食べる時に苺、生クリーム、ミントがあればのせる。これならホールのままお皿にのせてラップしておけるし、カットして一切れずつラップで包んでタッパーに入れるのもクリームを気にせず簡単にできる。
生クリームやフルーツが無くても、スポンジケーキにジャムだけはさんだのも結構好きだ。なんか物足りないような素朴なケーキ。
「物足りなさ」って家で作って食べるときには案外必要だと思っている。いつもいつも「おいしいもの」ばっかり食べてたら、ほんとにおいしいと思えるものがわからなくなってしまうような気がするんだよね。
さてさて、ヴィクトリアサンドイッチケーキはイギリス発祥、傷心のヴィクトリア女王を癒したといわれるお菓子。以来イギリスのティータイムには欠かせないお菓子で、日本のショートケーキみたいないわゆる “みんなが好きなお菓子” らしい。
基本のレシピはバター、砂糖、卵、粉が同量で、順番にひとつのボウルで混ぜていき、薄めの型2つに分けて焼き上げ、ラズベリージャムをはさむ、というシンプルなもの。ふわふわではなく、どっしりと重い食感が好まれる、らしい。
また、海外のレシピにはよく「セルフライジングフラワー」という粉が使われる。粒子の粗い粉にベーキングパウダーと塩が入っているそうだから、地粉や中力粉にそれらを入れるといい、はず。
なんだけど。
最近はパウンドケーキより軽めのマフィンの方が好きなんだなー。じゃあマフィン生地を大きく焼いてジャムをはさめばいいじゃん、と言うとそういうものでもないんだな、これが。
かと言ってスポンジケーキだと物足りないし。
ふんわりしっとり、それでいてバターの風味を感じるケーキを作りたい。「バター多めのスポンジケーキ」というところかな。
そうなるとヴィクトリアサンドイッチケーキではないのかもしれないけど、いいのよ、ヴィクトリア風で。自分の食べたいものを目指しましょ。
そんな訳で、配合、作り方を変えながら時々焼いている
「ヴィクトリアサンドイッチ風ケーキ」
ふわふわのスポンジにはふわっと泡立てた生クリームがいいけれど、バター多めのスポンジケーキにはかために泡立てた生クリームが合う。これはケーキ生地にも生クリームを入れたもの。
卵多め、バターとオリーブオイルも入れた生地。ふくらんだけど思ったほどふんわりせず…。
ヴィクトリア風のミモザ風、って(笑)
アーモンド入りのスポンジケーキにチョコバタークリーム。紅茶でも合うけどね。
ヨーグルト、蜂蜜入りの生地に畑のボイセンベリーのジャムをサンド。ふんわり、しっとり、はいい感じ!もう少しバター増やしてもいいかな。
これぞ!というレシピはまだできていない。
余談だけど、英国つながりで最近見た夢を…
なんでバナナ???
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