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#044:他人の幸せを喜ぶことは、自分の幸せを感じるのと同じだと思う件

老いた母親のひと言「お父さんはズルい!」に驚く

転倒による尾骨骨折で老健(介護老人保健施設)に入所した80代後半の父。
高齢からの一人暮らしに「寂しい」と嘆く母。
超高齢化社会になった今、このようなシチュエーションはどこにでもあることだと思います。
両親が新しい暮らし方を初めて約半年が経ちます。
有難いことに、父は老健での生活を大変気に入っていて、面会に行くたびに楽しそうにしているのでホッとするのですが…。一方の母は、寂しさと老いた自分の受容が追いつかず老人性うつの治療中。
このコントラストがあまりにも鮮明?激しすぎて、彼らの間を行ったり来たりする私は、非常に多くのことを学ばせてもらっているところです。

父の健康に対するモチベーションは昔から大したもので、尾骨骨折で「もう、これからはほぼ寝たきりか…」と思われた中、今では杖をついて歩くリハビリを始めています。
…ということで、奇跡の自宅への帰宅!になるかもしれなかったのですが、母のメンタルの具合が悪くて受け入れ態勢が整わず、結局、今後もしばらくは(もしかしてずっと?!)それぞれ暮らしが続きます。

先日、父の入っている老健の施設長の計らいで、今後について父とじっくり話す機会をもらいました。(本来は面会時間はたった5分です)
すると、父の本音が見えてきました。「ここがいい。帰りたくない」と。
おぉ~。そう来たか。お父さん、マジでここが気に入ってるのね。(そりゃ、それでよかった!)と私としては安心なのですが、この話を母に伝えるのがひと苦労で…。
いろいろ言葉を選んで母に説明したのですが、母がぽつり
「お父さんはズルい!」と。
施設のスタッフに優しくしてもらって、楽しく暮らしていて、身の回りをお世話してもらっていてズルい!
私は一人寂しく、家のことを自分でやりながらがんばってるのに…。
・・・まぁ、そんないいぶんでしょう。

今まで、あんなに「お父さん、お父さん」
「お父さんのために」
「家族のために」
と言ってきた母が、
父が心地よく楽しそうに生活できていることを
「あぁ、それならよかった」ではなく、
「ズルい!」
と思ったのは、彼女の本来の性格から納得なのですが、私はそんな母に「残念だなぁ…」と感じました。

あぁ、人間ってやっぱり他人の幸せを心から喜ぶのは難しい生き物なのかもしれないなぁ…。

50歳になって気づいた自身の変化

私も、昔はそんな風に考える強欲な子供でした。今でも鮮明に覚えているエピソードがあります。
私には姉がいて、子どもの頃、箱に入ったクッキーを半分ずつ分けて食べていたところで、私がトイレに行った隙に、私のところから姉が1枚クッキーを抜き取って食べてしまいました。トイレから戻った私は、クッキーの入っている様子がちょっと違うと気づいて、
「お姉ちゃん、1枚食べたでしょ!!!」
と怒ったのです。
それを見ていた母は、よくそんな些細な変化に気づいたと感心しながらも「欲深いんだから!」と私を叱りました。
このこと以来、あぁ、自分の利を求めることは悪いことなんだなぁ…という考えが刻まれた気がします(なんてったって今も鮮明に覚えているのですから…)

長い時を経てここまで生きてきて、あんなに欲深い子だった私がいつのまにか、その欲がほとんどないことに気づいた出来事があります。

先月、友達とご飯を食べていたときのことです。
彼女は、会社の同僚から引っ越しの報告をされたそうです。旦那さんの両親が施設に入ったのを機に実家を相続し、今まで住んでいた家を売って家を建て替えて暮らすことになったそう。しかも、都内に立派な一戸建て。
そこで、友達が
「ズルいよねー。あんないい所の土地を買うなんてできないのにさー」
と。そこで私が
「いいじゃん。そういうご縁があったってことでしょ?」
と話すと、
「えー。だってズルいじゃん」
私は、なんでズルいって思うんだろう…と不思議に思いました。

そこで考えました。
人はなぜ、「他人の幸せ」に心から「いいね!」ができないのだろう…と。
そんな中でSNSの機能に「いいね」ボタンがあるのも皮肉なものですよねぇ…(笑。

できれば周りは幸せでいて欲しい!!

いいじゃないですか。別に。幸せなほうがいいでしょう!
私は、本当にそう思うんです。
心が広いからとか、そういうのではなくて、
私は、幸せは幸せな人から循環するものだと思っているからなんです。
つまり、他者の幸せを共に喜ぶことで自分にも流れてくるものだ…という、実はさらに欲深な考え方をしているのかもしれませんね…(-_-;)

でも、これは本当に心から思うのです。
誰でもいいから幸せで喜んでいてくれたほうが嬉しいんです。
しかも、自分に近いマインドを持っている人と一緒にいると、何倍も楽しくて幸せな気分になれるから不思議です。

この経験から、自分が幸せでいたいなら、周りの幸せを喜べる人間でいたいと考えに確信を持つようになりました。
そして、「ズルい!」と言う母を前に、こういう気持ちになる原因を考えると…満たされない何かを抱えていることに気づきました。それは一人一人違うと思います。自分の健康だったり、お金だったり、仕事だったり…恋愛だったり…。
全てに満たされるなんてことはありませんが、全てを受け入れるということはできると思うんですよね。
ラッキーもアンラッキーも、幸・不幸も、そんなことを気にして他人と比較したりいちいち考えたりしないで単純に「ありがたきしあわせ」だと受け入れてしまえば、周りの人にはハッピーでいてもらいたいし、そのハッピーに「いいね!」したくなります。

他人の幸せやラッキーを心から喜べないと思ったら…
自分の中に在る「喜べない心」にアクセスしてみたらどうでしょう?
「喜べない心」の声を聞いてあげたら、きっと、
自分も周りもできるだけ幸せでいて欲しい!
と心から思えるはずです。

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