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#01 ゴーストライターとしてベストセラーを叩き出した時のお金の話について書く

しがないエロライターだった俺が、ベストセラーのゴーストライターに成り上がるも、やがて朽ち果てるまでの軌跡を振り返るとともに、それを戒めとしてライターとして大成するための極意について書く。

作家や漫画家を生業にしているものであれば、誰もが夢見る印税生活。
今から十数年前の話になるが、俺はそれを2年だけ経験したことがある。
俺がゴーストライターを務めたハウツーセックス本が売れに売れて、増刷に次ぐ増刷。
単刀直入にお金の話をすれば、サラリーマンの平均月収を超えるような金額が、出版社から月に何度も振り込まれる。そんな日々が2年近く続いた、ということだ。
最初の1年は、年収が2000万円を超えた。
2年目はやや落ちたが、それでも1500万円くらい。

もちろん他の仕事と合わせての収入ではあるが、7割近くは印税収入だ。
シリーズ累計部数が数億冊なんていう超売れっ子の漫画家さんたちに比べれば、ささやかな金額だろう。
しかし、しがないエロライターとして、せっせせっせと働いても年収500万円がやっとだった俺にとって、何もしていないのに貯金通帳の残高がゴリゴリと増えていく様子は、色んなものを狂わせていくのに十分な出来事だった

ども、多最上もがじです。

その日は突然やってきた。

「増刷が決まりました!」

携帯の向こういる担当編集者の声はうわずっていた。
俺がフリーのライターになって4、5年目。
ある週刊誌の取材で知り合ったセックスセラピストなる肩書の著者(仮にA氏とする)からゴーストライターの依頼を受けて、すでに2冊のハウツーセックス本を出していた。
その日、俺に電話をしてきたのは、A氏とタッグを組んで3冊目になるハウツー本の担当者だった。
ちなみに先の2冊は、率直にいって鳴かず飛ばず
当然、増刷はかかっていない。
なので正直、この3冊目もそれほど期待はしていなかった。
そうした経緯もあり、俺にとって人生初となる「増刷のお知らせ」は、本当にうれしいものだった。
確か発売日から3ヶ月ほど経っていただろうか。

さて、増刷の知らせを聞いて、次に気になるのは「刷り部数」だ。
これはもう単純な数学の話で、新たに刷られる本の数が1000冊なのか1万冊なのかでは、実入りは10倍違ってくる。
計算しやすいように1冊の値段が1000円だったとしよう。
著者印税は、基本的に「10%」。1000円の本であれば、1冊売れるごとに100円が入ってくる。つまり、1000部なら10万円、1万部なら100万円の収入になるというわけだ。
計算式にすれば、

「本の値段×印税率×刷り部数=印税収入」

となる。
俺はゴーストライターなので、著者と10%の印税を分けることになる。
これはもう最初の取り決めの問題なのでケースバイケースだが、俺の場合は「著者6%:俺4%」の割合だった。

そして気になる1回目の増刷の部数だが、確か3000部だったと記憶する。
その本は、1冊800円(税別)だった。
では先の計算式に当てはめてみよう。
800円(税別)×4%×3000部=9万6000円。
不労所得と考えれば美味しいが、はっきり言って大人が飛び上がって喜ぶ金額ではない。
しかし、ここからがすごかった。

「また増刷が決まりました。今度は5000部です」
「また決まりました。1万部です」
「またまた決まりました。1万2000部です」

ずっと、こんな調子。
そして、その後もこの本は売れ続けた。
なんでいきなりセックスの本が売れはじめたのか、その理由はわからないが、売れ続けたのには理由がある。
出版社が広告費にお金をかけてくれるようになったからだ。
自社の雑誌にはもちろん、スポーツ紙ではない新聞の朝刊にも広告が載った。
山手線の吊り広告で見たときは、さすがに驚いた。
電車で「セックス」の活字はドキっとするって。
お笑い芸人やタレントが、テレビやラジオでこの本の「タイトル」を話題にしてくれたのも大きかったと思う。

売れたもん勝ちとはこういうことを言うのだと思うが、第2弾、第3弾の話が簡単にまとまっていった。
他社からも「うちでもぜひ!」という話が頻繁に舞い込んでくる。
連載が始まる。
連載をまとめた本が出る。
これがまた売れる。
笑いが止まらない。

増刷の勢いが止まらなかった頃、今でもたまに思い出すのだが、印象的だった出来事がある。
ほんの少し前までは、100万円にも満たなかった貯金残高が、あれよあれよと1500万円を超えた頃だったろうか。
こんな時でもないと親孝行は出来ないなと思いたった俺は、田舎の両親を呼んで、家族と一緒に2泊3日の箱根旅行を楽しんでいた。
奮発して泊まった宿は最初で最後の『強羅花壇』。
芸能人もお忍びで利用するという結構なお値段の宿だ。
露天風呂付きの広いバルコニーで新緑を愛でながらくつろいでいると、担当編集者から電話がかかってきた。
例によって増刷決定のお知らせだったのだが、全員の宿代を支払ってもお釣りの来る刷り部数だった。

なんともいい気分。
調子にも乗るさ。
勝ったなと。
人生イージーモードだなと。

ご想像の通り、それはとんだ勘違いだったわけだが、そのときはそう思い込んでいた。
お金って人を変えるね。
ただ、本が売れてなければ経験できなかった様々なことや、その後の失敗から学んだいくつものことが、これからライターを志す人にとって何かの参考になればと思い、恥を忍んで筆を執ることにした。

みなさんの時間を無駄にしないために最初に断っておくが、俺は「成功者」ではない。
だから、ビジネスで成功して大富豪になりたいという人は、スティーブ・ジョブズとかホリエモンの「伝説のスピーチ」の動画でも観てくれたらほうがいいと思う。

俺が書けるのはせいぜい、読書感想文の宿題が大嫌いだった俺がベストセラー本を出せた話と、20代の頃に出会ったライター仲間たちが次々と転職していく中、50歳を過ぎた今もペン1本で生き残っている理由を、なるべく客観的に自己分析することくらいだ。

ざっくりとだけど、執筆を予定している見出しは以下の通り(順不同、随時変更あり)。
興味があれば、また覗きに来てやってください。

〈本編の見出し一覧〉
・夢の印税生活は2年で終わった、そんな俺を反面教師にしてくれ
・ライター養成学校に行くより、出版社や編プロで経験を積んだほうがプロの近道(自分の経験から)
・プロとアマの決定的な違い、それは“この道で食ってく”という覚悟
・売れるか売れないかなんて、誰も予測できない
・俺は4人目のライターだった(チャンスはどこに転がってるかわからない)
・来た仕事は断るな
・クリエーター気取りは敗者の道と心得よ
・人脈がすべて、だと思って人付き合いを大切にしろ
・大切なのは文章力よりも、「何を書くか」(当時の流行作家に言われたこの一言が、俺に勇気をくれた)
・「何でもやります」は、何も出来ないのと同じ
・誰にも負けない得意分野を作れ
・「書く力」よりも大切な「聞く力」の磨き方
・納得がいくまで何時間でも取材を続けられる関係性を作る
・いい文章を見つけて、マネまくれ
・アイデアも大事だが、なにより大切なのは最後まで書ききること
・ギャラの交渉は仕事の前に
・「目次作り」ができれば、仕事の半分は終ったも同然
・担当編集者は漫才のコンビだと思え
・色んな人から色んなことを学べる、ライターという職業の限りない魅力

【プロフィール】
50代のライター。
出版業界でエロ仕事を任されたことが転機となり、ヤリチンロードを爆走。
浮気がバレて30代前半でバツイチになるも、返す刀で当時の愛人の一人と結婚。
子宝にも恵まれ、ささやかな幸せを漫喫しつつ、ヤリチン癖は健在。
現在、20代のOLと絶賛不倫中。

ツイッター https://twitter.com/mogajichan

【著書】
『セックスにコミットする一生モノの口説きの極意18』https://amzn.to/2CvK8id
『不倫のすすめ 愛は妻に、セックスは他の女に』
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