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春を迎える準備

毎日のように通っているスーパーに、少しずつイチゴの占める面積が増え始めると、春が来るんだなあと思う。

少し前に、お買い得になっていたイチゴを買って食後に食べたら、酸っぱいイチゴだった。

最近は甘〜いイチゴばかりになったけど、子供の頃は、かなりの確率で酸っぱいイチゴが食卓に出てきた気がする。

酸っぱいイチゴがあると、必ず”いちごみるく”にして食べる習慣があった。

“いちごみるく”と言っても、包装紙がかわいい三角のアメではない。
砂糖をドバッとかけて、専用のスプーンでイチゴをぎゅうぎゅう潰して、牛乳を好きなだけかけて作る“いちごみるく”のことである。

スプーンの底が平らでイチゴの種みたいにブツブツした、あのイチゴを潰すためだけのスプーンは今もまだあるのだろうか。

気になって調べてみると、やはりイチゴが甘くなって、その出番は減っているが、離乳食や介護職を作るために今もまだ使い続けられているらしい。

いちごみるくを作るためだけに作られたスプーン。

用途が限定されている道具ってなんだかキュンとする。

需要が減っても、今もまだどこかで活躍している健気なイチゴスプーン。
どこかで見つけたら、使い道がなくても買ってしまいそうだ。

もはやイチゴの甘さや酸っぱさがわからなくなるくらい、砂糖と牛乳に個性を消された“いちごみるく”。イチゴをそのまま食べるのとは違ったおいしさ、なつかしさがある。

甘いイチゴで試すのはもったいないような気がするが、“いちごみるく”のことを考えていたら無性に食べたくなっきたので、久しぶりに作ってみようと思う。

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気候やお花やイベントや、好きな所はたくさんあるけれど、春がちょっぴり苦手。
春の匂いをかぐと、新しい環境への不安や期待やワクワクや、いろんなものが入り混じった不安定な気持ちになる。

毎年春が近づくと、「ふわ〜、春の匂い!最高!早く春来ないかな〜」と口走る友達がいる。

そんな彼女は最近、「歳を重ねるごとに新しい環境がどんどん好きになっていく!」と言っていた。どんなことも前向きにまっすぐ捉えられる彼女はすばらしい。

ずっとそんな彼女に憧れていたわたしだが、今年の春は少しだけわくわくの方が強い。

いちごみるくをはじめとして、春にしかできないことをたくさんやりたいと、珍しく前向きな気分になっている。

まだまだ寒いけれど、チューリップやミモザなど春らしい花を買ったり、春色の淡いグリーンの靴を履いたり、財布を新調したり、春を楽しみに迎える準備は万端。

早く春来ないかな〜と、こっそり心の中でつぶやいてみる。

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