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はじめてのバスク、はじまりの秋

「バスクチーズケーキのバスクってなんですか」
 
「スペインのバスク地方のチーズケーキのことですよ」
 
「なるほど…!ふつうのケーキと何が違うんですか」
 
「高温でがっと焼くんです。あとは粉っぽさが普通のケーキより少ないかな」

✳︎
 
はじめて「バスクチーズケーキ」を食べたのはついこの間のこと。
 
がらりと秋の空気に変わり、そよ風をあびながら向かった先の「喫茶ストーブ」さんで、バスクチーズケーキに出会った。
 
いつもは絶対そんなことしないのに、つい質問攻めしたくなってしまうほど、はじめて食べたそれは感動的においしかった。
 
チーズケーキというよりプリンのような。
焦げ目の香ばしさがカラメルみたいで、ひとくち頬張るとすっとなくなってしまう食感も似ている。

たまごとチーズのおいしさがぎゅっと詰め込まれていて、「これは固めプリン、そしてチーズケーキの最高峰では…」と感嘆しながら、バスク地方へ思いをはせてしまった。

お店に来るほとんどの人がこのチーズケーキを頼む時があったほど、人気のメニューだそう。

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そういえば前におじゃました時は、ぶるぶると震えるほど寒い日だった。

プリンとコーヒーを頼んで、カチコチ鳴る時計の音に耳を澄ませながらストーブの近くでただぼうっとする時間が、とても心地良かったのを覚えている。

そんなことを思い出しながら、キッチンに並ぶいろとりどりのマグカップや、「これわたしも好きだ!」と共感してしまう本棚を眺めながら、コーヒーのいい匂いをめいっぱい吸う。

好きが詰まった個人経営のお店は、お家におじゃましているような心地よさがあって、やっぱり好きだなあと思う。

山と田んぼ以外なんにもないド田舎で生まれ育ったわたしにとって、休みの日に連れて行ってもらえるカフェや喫茶店は、遊園地に行くのと同じくらいわくわくすることだった。

おもわずスキップしたくなるような、そんな気持ちを思い出したりした。

✳︎

なんだか足踏みしていたら終わってしまった夏。

気付けば関西に引っ越してきて2年がたつ。

お手本のない毎日に戸惑うことも多いけれど、こうやってまたひとつ好きな場所を見つけられたら、こんなに心強いことはないなあと思う秋の始まりです。


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