資本主義の暗部を描くハリウッド映画たち
映画館定額見放題サービスの話:その後
観ました…観ましたよ、あのドキュメンタリーを。
HBOで公開された映画『MoviePass, MovieCrash(原題)』です。
アメリカで2016年から2019年までのあいだ話題を呼んだ「1日1本、月額10ドルで映画が見放題」という、映画ファンにとっては夢のようなサービス。超低価格での「うますぎる話」がいかにして急成長し、そしてものの3年あまりで雲散霧消したかを追いかけたドキュメンタリーです。
なんのことやら、という方ばかりだと思うので。お暇があれば、前回掲載した、以下の記事を覗いてみてください。この記事を読み通したあとにでも。
ドキュメンタリー映画観賞リポート
まずは観賞レポートを、ここに語らせてください。以下、ネタバレはしていくのですが…日本では展開されなかったサービスの話なので、結末を知っても大丈夫だと思います。それよりも「こんな事件があったのか…」というお話を知っていただいた方が得な気がしますし。
『MoviePass, MovieCrash(原題)』(2024)ー。
HBOにて放送・配信された、長編ドキュメンタリー。
観る人の正義感を奮い立たせてくれるような、胸クソの悪い「本当にあったかわいそうな起業家たちの話」を正面から語ってくれる、わかりやすいドキュメンタリー映画でした。
予告や各紙のレビューを見てもわかるのですが、この映画、縦軸には破格の「月額10ドル」という超低価格の提供で、アメリカ中の映画ファンの誰もが知ることになったMoviePassの話題性から入り、アメリカ大抵の映画人なら見届けたであろう凋落のイベントをひとつひとつ追いかけます。
一方、開始20分ほどで横軸も紹介されるのがポイント。それは「本当の創業者たちを舵取りの座から引き摺り下ろし、無責任な白人詐欺師たちが経営を乗っ取った」ことが、MoviePass倒産の原因になった、という仰天の裏話でした。
本当の創業者と共同経営者は、アフリカ系アメリカ人の二人組。2011年に創業し、システムの構築から大手映画会社との提携までをジワジワと交渉してきたステイシー・スパイクスは今年で御年58歳。彼は、最初の投資家兼共同経営者ハメット・ワットとともに、ジリジリとサービスを拡張していました。しかし成長は遅く、創業から5年間で会員数わずか2万超えという規模。事業を大きくしきれず、苦しい数年が続きます。
そんな中、スパイクスとワットは資金繰りに困っていた2016年から「Netflixの元共同設立者」という肩書きの白人投資家ミッチ・ロウと、ロウの紹介によりMoviePassに資金を提供しはじめるベンチャー・キャピタル「ヘリオス&マティソン・アナリティクス」の代表、テッド・ファーンズワースを経営に引き込みます。
これが実際に、思わぬ成長を呼び込むわけですね。
MoviePassは「破格の月額10ドルプラン」を展開して会員数が激増。なんと数ヶ月で2万から500万アカウントまで急成長を果たします。その無理矢理なキャンペーン施策の片棒を担いだことで勢いをつけたロウとファーンズワースは事業参画の2年後の2018年、スパイクスとワットを文字通りクビにします。理由は「加速する経営スピードのブレーキになりはじめていたから」。
老年の白人投資家が「0→1(ゼロ・イチ」)」の立役者たちをすんなりと追い出し、「C-Suite(=経営権を持つ役職)」を丸ごと乗っ取ったわけです。
その後の展開は、実にわかりすい転落劇が展開していきます。
創業者を追い出して箍が外れたロウとファーンズワースは、どこの馬の骨とも知らないマーケティング畑の右腕を雇い入れ、トントン拍子に昇進させます。効果の疑わしい大々的な宣伝施策に数億円をつぎ込み、サービスセンターに寄せられるアプリの不具合には目もくれずパーティー三昧。株主や経済界が気づいた頃には百数十億円(概算)の負債を抱えていることが税申告書の開示で明らかになり、業界は騒然となる。それでも「6ヶ月後には黒字化する」「顧客データの提供で収入を得ていく」と嘯いていたロウとファーンズワースでしたが…。
スパイクスとワットをクビにしてからわずか1年もしないうちに、負債まみれな経営から浮上できるわけもなく、MoviePassは破産宣告することになった、というわけでした。結局、ロウとファーンズワースは詐欺まがいのあの手この手で株価を無用に引き上げることだけを目的に動く犯罪者だった、と結論付けられ、二人とも国の査察を受けて罪に問われています。ファーンズワースは別件でも似たような活動をしており、そちらで実刑判決を受け23年8月から服役しているのだとか。
本当に、絵に描いたようなスタートアップ崩壊物語なのでした。
見ての教訓
アメリカ在住の日本人という特殊な視点になってしまいますが、そんな私にとって特にこたえるレッスンとして挙げておきたいのは、何よりも以下の2点です:
アメリカの投資の世界にも人種差別は根深く、スマートで若さのある有色人種よりも、年配の白人投資家の方が見た目とプロファイル的に信用度が概ね高く、資本へのアクセスが容易だという現実。
お金への執着が強く、儲けへの逆算で行動する資本家は、事業の内容そのものを軽視しては道を見失い、目的そのものを放棄する可能性があること。
資本主義の暗部が、本当によくわかります。
ただ…。
あえて有り体に言うと、このドキュメンタリーよりも資本主義の暗部を深く、克明に描いた作品はたくさんあるな、とは思うんですね。
「定額制の映画見放題サービス」という斬新で現代的な事業コンセプトについて取り上げた作品だったことを思うと、映画館の未来とか、それに絡んだ現代アメリカのエンターテイメント業界の趨勢とか、そもそもアートvsコマースという永遠の葛藤だとか、もっと踏み込んでもよかったんじゃないか、などとも思うわけです。それらマクロな視点で見た北米の映画界、映像業界全体とMoviePassとを絡めて語る作品として見られなかったのは、少し残念な点ではありました。
それもこれも、これらのテーマはすべて、前回お伝えした問題に行き着くべき話だから、なんです。すなわち「何かにかこつけて、市井の人々に圧政を敷く輩がいる」という話。特に大金が舞い込むと、まず間違いなくそうなるケースが多い。
そこで。
資本主義の暗部を描くハリウッド映画たち
せっかくなので、特集を組みました。
コーポレートの暴走、欲目にくらんだ者が重ねる嘘に次ぐ嘘。事業を大きくするスピード、他社との競争、そして株価の独り歩き。事業を存続させるために、自身の倫理観や人間らしさを天秤にかけていく人々。そんな現実が、世の中には溢れています。
そんなメッセージに切り込む作品が昨今、特に増えていることに、みなさんもきっとお気付きでしょうか。そう、多いんです。
もちろん、中軸をなすテーマにはそれぞれ差異があり、結末にも希望を持たせるものや、どこまでも落としていっては悲哀を押し出すものもあります。でも、共通しているのは「個人」と「コーポレート」の関係を描いているということ。
数十年遡って名作を取り上げるのもオツですが、近年はこういった企画が特に多いという状況から、ここ数年の目立った作品を追いかけます。そうすることで、現代社会、特に資本主義の格差が広がり続けている国・アメリカが直面している「個人と法人のひずみ」を考えられますから。
1. 成り上がりベンチャーの無計画転落劇
『ブラックベリー』(2023)
前オバマ大統領も愛用していた、初期スマートフォンの雄、ブラックベリー。技術者(=つくり手)としてのひらめきは革命的でも、いけすかないビジネスマンを招き入れての「売る」行為なしでは大成し得なかった一大携帯電話メーカー帝国の苦悩がよく描かれています。結果的にはiPhoneの登場ですべてがひっくり返ってしまうわけですが…。様々な外圧に押されて、つくり手としてのビジョンも哲学も曲げていってしまう、つくり手の悲劇を見届けるのに最適な一本です。
『WeCrashed 〜スタートアップ狂想曲〜』(2022)AppleTV+
『WeWork / 470億ドル企業を崩落させた男』(2021)U-Next
前者はAppleTV+のリミテッド・シリーズ。後者は同じ題材をもとにしたドキュメンタリーです。正直なところ、前者には創業者(ジャレッド・レトが怪演)とそのパートナー(アン・ハサウェイ)への憤りと共感とが長時間、行ったり来たりするので観賞者を選ぶとは思います。後者のドキュメンタリーの方が、2時間で批判的に事実を追いかけられる点でお手頃かも。
しかしいずれも「浮かれたアントレプレナーによる、止まらない雪だるま式な膨張と転落」の実態を知るのに良い題材です。「成り上がり」による、市井の社員や、テナントとしてサービスを利用していた「つくり手たち(=スタートアップや中小企業の経営者)」への搾取が、深い傷跡を残しているのがよくわかります。
『FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティー』(2019)Netflix
『Fyre Fraud(ファイアフロード)』(2019)Hulu, Disney+
こちらもまた、同じ題材について異なる視点から語られる、ドキュメンタリー2本立て。鳴り物入りで宣伝された「パブロ・エスコバルの元所有地のリゾート島で開催されるパーティーイベント=FYRE FEST(ファイアフェスト)」が、フタを開けたら史上最低の無計画事業として決行されてしまい…ライフラインの水や食料ですら十分に手配されず、客は野宿を強要され、挙げ句の果てには島から出られない、という阿鼻叫喚の地獄絵図の顛末を辿ります。
後述する「詐欺師」の項目にもハマるお題なのですが、見た目と語り口が上手い連中のお金と口車に乗せられて、実直な従業員たちが信じられないような悪夢から抜け出せない悲劇を見られるのがポイント。資本主義の「成り上がり」たちの罪深さを体感するのにぴったりでは、と思います。NetflixとHulu(日本ではDisney+)でそれぞれ見られます。
『とんでもカオス!』(2022)Netflix
ほぼ「FYRE」の内容と被るといえば被るのですが、文字通り「歴史は繰り返す」ということで…。1960年代の反戦と文化への再認識を謳い、後世に語り継がれたアメリカのフェスの雛形「ウッドストック」の感動をもう一度!そんなテーマで企画・開催された、「ウッドストック1999」。
金に目がくらみ、人を顧みない企画者たちが、いかにして現場を軽視し「夢の祭典」を悪夢の数日間に変えたかを描いています。最後には参加者が暴徒化し、凄まじく退廃的な大惨事へと成り下がる様子がまた…むごい。Netflixで見られます。
2. 二時間まるごとプロダクト・プレイスメントですかムービー
『Air/エアー』(2023)
『テトリス』(2023)AppleTV+
少し話題を明るくします。上記2作はビジネスマンの成功譚。コーポレートの横暴や、会社のしがらみに引きずられながらも、「情熱」と(会社員が実現できる範囲の)「社会貢献」という大義に突き動かされる人々が、ビジネスで大成する様子を描いています。
『Air /エアー』の強みは、マイケル・ジョーダンの母・デロリス(ヴィオラ・デイヴィス)の存在に尽きます。実際のところ、新人NBA選手がスポーツ用品メーカーと何億の契約を結ぼうと一般人にはなんの関係もないわけですが、「黒人社会のお手本になるべき息子が、搾取されないことを約束する『誠意』を示せ」と要求するシーンこそ、この映画の心臓であり、この記事の中核を成すテーマでもあるからです。
『テトリス』は有り体に言ってしまうと、映画的にはテーマの軸が若干ブレていて、特に序盤の鑑賞には努力を要します。プロダクト・プレイスメント的な印象が強いですから…。ただ、ソ連に行ってからがお話の肝です。社会主義国家の妨害を潜り抜け、名もなきゲームデザイナー(=つくり手)との友情を築こうとする展開が、気持ちの良いサスペンスを生み出します。箸休め的な鑑賞に。
3. 詐欺師、嘘つき、ソシオパス物語
『ドロップアウト~シリコンバレーを騙した女』(2022)Disney+
『ザ・インベンター(原題)』(2019)HBO
再び、暗部へ斬り込みます。
ハーバードを中退し、医療ベンチャー企業「セラノス」を立ち上げたエリザベス・ホームズの物語は、HBOで『The Inventor: Out for Blood in Silicon Valley』と題したドキュメンタリーになっています。実地の経験もなく、名を成すことにのみ執着する若者が投資家を騙し、あとには退けなくなるという悪循環。これは、事情を理解するには手っ取り早い2時間です。
一方、アマンダ・セイフライド主演でドラマ化した『ドロップアウト』も、よく描けています。なにせ主演の声色の調整を含む不安症ぶりが、真に迫っている。騙す方も騙す方なのですが、「先乗り=儲ける」ことにこだわる投資家たちの浅はかさにも警鐘を鳴らしているのがポイント。
『令嬢アンナの真実』(2022)Netflix
Netflixが独占契約を結んだテレビ界の名プロデューサー、ションダ・ライムスが手がけた鳴り物入りのドラマ。ドイツの大富豪の子息だと偽り、ニューヨークの資産家という資産家を騙しては投資を勝ち取る女、アンナ・ソローキン改めアンナ・デルヴィーの実際の手口を語ります。
言ってしまうと、詐欺師を一見応援する語り口なのが、このドラマのポイントです。要は「騙される方が悪い」をプレミス(=前提)にすることで、一般人に金を盗まれる資産家の失態を笑っているわけです。そんな視点に賛同するか否かは視聴者次第ですが。行き過ぎた資本主義が、抜け道を探す「成り上がり者」を生み出している、という意味ではわかりやすい事件の一例。
『ルラ・リッチ ~LuLaRoeの光と影~』(2021)Amazonプライム
『The Rise and Fall of LuLaRoe(原題)』(2021)HBO / ディスカバリー
ネズミ講ですね。あるいはマルチ商法。似ているけれど前者は違法で、後者は合法。2010年代後半、ママさんファッション・ブランド「LuLaRoe(ルー・ラ・ロウ)」が在宅の白人女性たちをカモにした商売の成長と崩壊を追いかけます。こちらも、同じ題材をもとに2本のドキュメンタリーが制作されており、見るなら4話構成の『ルラ・リッチ ~LuLaRoeの光と影~』かと。長いですが創始者夫婦の直接のインタビューが含まれているからです。
ほぼ白人にしか影響のなかったビジネスなので、トピック的には蚊帳の外だと感じるでしょうが…。これ、ポイントは宗教的側面があることです。「在宅でママをしながら儲けよう」という「夢」を売りモノにしていく行為には、草の根運動のネットワーキングが実によく合う。LuLaRoeの場合はモルモン教徒の手口だったわけで、その共通項を見るだけでも学びがあります。信仰心の強い白人コミュニティは、社会奉仕と大家族のコミュニティに対する意識が特に強い反面、組織的に動いた時の暗部が深まる嫌いがあるわけですね。
『バッド・ヴィーガン: サルマ・メルンガイリスの栄光と転落』(2021)Netflix
こちらは、ちょうどいま流行り(?)のロマンス詐欺。ただ、むしろ醜男(と言ったら差別的ですが)が「美人」女性を騙す構図がポイントです。高い人気を誇り、大成功をおさめる人気レストランの経営に没頭していくうちに、私生活では世の中から取り残されていく女性の孤独感を逆手に取って手籠にしていく詐欺師の手口が、生々しい。
終盤にも少しだけ語られていますが、詐欺師にまつわる物語で一番面白い部分は「ミイラ取りがミイラになる」こと。「こいつは詐欺師だが、俺は(私は)騙されない。逆に騙し返して利用してやる」という感覚で、手口に「乗ってあげる」ところから物事がはじまるケースが多い。君子危うきに近寄らず。自分を過信すると必ず深手を負うから、くれぐれも気をつけないといけません。
4. ウォール街に向けた反撃のシュプレヒコール
『ダム・マネー ウォール街を狙え!』(2023)
『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(2015)
『ダム・マネー!』も『マネー・ショート』も、ウォール街の横暴に反旗を翻そうと立ち上がる人々を描いた映画たち。ただし、「市井の人々の反撃の狼煙」をハリウッド調に謳い上げても、現実はこれからも「持てる者たち」が上手を取る世の中であり続けます。両作品ともそのことをわかった上で、映像化されていることは予め理解しておくべきでしょう。
前者で一矢報いた個人投資家たちも、アメリカ・フェレラ演じるナース役のように損をしている者も。後者では罪悪感に苛まれながらも大金をせしめて早期退職し、余生を悠々自適に過ごしている者がいるわけです。その横で、踏みにじられた人々は死屍累々と倒れ、横たわっている。そのことを考えながら、両作でカラッと笑わせてもらうのがオツ、というところです。
おまけ:むしろキャラクター・スタディな映画
『ソーシャルネットワーク』(2010)
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013)
『スティーブ・ジョブズ』(2015)
友達とつながるSNSサイトを成功させるために、友達を失う男の話。
ハイリスク株を売り捌く手口に染まり、落ちるところまで落ちる男の話。
理想の製品の構築のために、あらゆる人間関係を犠牲にしていく男の話。
社会の暗部というより「人間の暗部を掘り下げる作品たち」と言った方が正しいので「おまけ」としました。どの作品も、特異な人間像に寄り添い、そのキャラクターを浮き彫りにしていくところが共通項です。
でも、やはりここ10〜15年でこうした映画のトレンドを作り出したのは、フィンチャー監督作『ソーシャル・ネットワーク』だったことは確か。コミュ障が人と繋がる人気サイトを編み出すというプレミスの皮肉と、法的手段を使って儲けを掠め取ろうとする者、実直だが実力の足りない友人、そして勝ち馬に乗る金持ちなど、明確なキャラクター配置はこの手の映画の、絶好のテンプレート。
『ウルフ〜』はマーティン・スコセッシ監督印の、人生の転落劇をとことん描き切るアプローチ。システムを欺き、成り上がった者が「人」を顧みなかった結果を描いていますが…はっちゃけている部分の尺が長い分、教訓よりも娯楽性の方が印象強い映画にはなってますね…。
最後に『スティーブ・ジョブズ』は脚本家がアーロン・ソーキンですので、『ソーシャル〜』の亜種と言って良いでしょう。舞台をそれぞれ3つの時代の『キーノート当日の模様』に絞り、この世代を代表するアントレプレナーの人生を、実に舞台劇的に濃縮還元したドラマです。はっきり言って、一緒には仕事をしたくないと思わせる男を見事に描いていて「成功すればどんなクズ人間でも許される」ことを反面教師的に認める、逆説的に「勉強になる映画」です。
と、いうことで。
総括:アプローチの種類
コーポレートに呑み込まれる個人を描くもの
コーポレートを出し抜く個人を描くもの
その両方
資本主義の暗部を描く作品は、こうして「個人とコーポレート」の関係を描いているわけですね。騙し、騙される資本主義の原理。「Fake it till you make it(=うまくいくまでは、うまくいってるフリをしろ)」という慣用句を文字通り体現したようなケースばかりで、多少、食傷気味になっても不思議はありませんが…。どの作品も、その壮絶さにのめり込み、学ぶこともたくさんあること請け合いです。
やはり個人的に、改めて強調したいのは『ブラックベリー』『WeWork』などに見られる「アーティストやエンジニアなどへの搾取」の有り様を知ることです。これは本当に気をつけたい。
近年おAIの台頭の動きを見ても顕著な世情です。安くすむなら、あるいは手早く解決するならみんな、近道を選びたがる。だからこそ、いま表現者や特殊技能の持ち主たちが、一番軽視される傾向にある。
そんな危機意識に磨きをかけるべく、上記作品の鑑賞に時間を割くのも、きっと一興です。そう思う昨今なのでありました。
文責:
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?