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花ざかりの日本IPたち | 今週の映画ニュース

2024年4月、第2週目。春来たるアメリカ西海岸から、目ぼしい映画ニュースをまとめてお届け。みなさん、お久しぶりです。(小原より)



【北米興収:4月2週】ゴジラ2冠、追随のインディ2作は明暗分かれる

『ゴジラ x コング:新たなる帝国』が2週連続首位をキープ。AppleTV+で配信中のゴジラの怪獣ドラマ『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』もシーズン2に青信号が灯ったと報じられたばかりなので、今後も日本原産の怪獣ユニバースは広がる見込み。

次に目立つのは初登場の2作で、デヴ・パテル監督・主演のサスペンス・アクション『モンキー・マン(原題)』とディズニー系列のホラー続編『オーメン:ザ・ファースト』。実はいずれも配信用に作られていたが、劇場公開に切り替えられた作品たちだ。前者はヒットの見込みだが、後者は数字的に厳しい。分かれた明暗が特徴的。

なお『デューン: 砂の惑星 PART 2』は根強く追随しており、ドル箱。一方で『ゴーストバスターズ:フローズン・サマー』はランキングには入っているがシリーズ継続に暗雲。大作の資金回収は難しい。(O)



【ビジネス】配信事業者、大撤退。東南アジア市場が大荒れの現状

これは日本でも要注目&要警鐘。近海の成長市場である東南アジアのコンテンツ開発に、鼻息を荒くして参入した配信事業者たちが軒並み撤退&コストカットに踏み切っている、という話。

22年から大幅投資をはじめたAmazonは、今年1月に80名近くいた東南アジアのチームを20名弱までレイオフ。ディズニープラスの東南アジア拠点でも上層部が早抜けしているそう。

降って湧いたような大規模投資をしておいて、根を張るよりも前に手を引いているのは「投資家たちが『登録者数を増やす』ことよりも『利益を上げるビジネス性』を重視するフェーズに切り替えた」から。

なおアジアで配信サービスからの投資が安定しているのは日本と韓国だけ。アニメと韓流コンテンツが根強い人気を獲得しているからだ。とはいえ、いつ方針が切り替わるかわかったものではない。株主ばかり見ているビジネスマンたちには要注意。それが教訓。(O)



【ビジネス】CinemaCon閉幕。映画館の重要性、みんなで合唱

全米劇場所有者協会(National Association of Theatre Owners、略してNATO)主催のコンベンション、CinemaCon。4月8日〜11日の4日間、シーザーズ パレス ラスベガスにて開催されたイベントでは、各社の新作映画にまつわるニュースが多数発表されているので注目。

リンクはビジネス面に特化したニュースで、昨年から「配信事業に対する冷たい目線」と「映画館の復権」のテーマは揺るがない。『ジョーカー』続編のティーザー予告などもデビュー。ただ、昨年の脚本家組合および俳優組合の余波でコンテンツ不足に悩むハリウッドに対して、冷たいリアクションも散見される。IndieWire誌の皮肉めいた総括記事で、乾いた笑いが出る。ハリウッドもなかなか荒れている。

蛇足だが主要2紙からの総括記事も貼っておく。各スタジオの良し悪しをカバーしているヴァラエティ誌がわかりやすい。(O)



【賞レース】第76回エミー賞予想、IndieWire誌にて開始(随時更新)

日本作品の活躍も目覚ましかったアカデミー賞の興奮も冷めやらぬうちに、今年のプライムタイム・エミー賞の発表も近づいてきた。23年6月〜24年5月までに放送されたドラマ作品が競うテレビの祭典は、7/17にノミネート作発表、8/26に受賞式の予定。

いまはドラマ作品部門の予想しか書かれていないが、MAXとWOWOWの共作『Tokyo Vice』もしっかり含まれている。『SHOGUN 将軍』も期間から見るに対象作品なので、全話放送されたら含まれるかも? 随時追いかけていくべし。(O)



【日本IP】『電波少年的懸賞生活』たどるドキュメンタリー:予告編公開

1990年代の名物バラエティー『進ぬ!電波少年』内のおそるべき人気コーナー「電波少年的懸賞生活」を世に紹介する英語圏発ドキュメンタリー映画「The Contestant / ザ・コンテスタント(原題)」の予告編が公開。

北米ではディズニー系列のhuluにて配信されることが決まった。昨年から複数の映画祭で反響を呼んでおり、渦中のなすびさんが答えているAERAの直撃インタビューもとても興味深い。

リアリティ/バラエティ人気に火がついて久しい欧米圏で「リアリティショー草創期の究極の番組のひとつ」と謳われるキワモノ・コンテンツがどんな切り口で語られるのか、鑑賞意欲をそそられる一本。(O)



【日本IP】信長に仕えた黒人サムライ「弥助」題材に映画化、WBが制作

昨年公開の『カラーパープル』でデビューした、ラッパー/パフォーマーでもある新鋭監督ブリッツ・バザウーレ(ブリッツ・ジ・アンバサダー)。彼が自ら執筆し監督する予定の次回作を、米ワーナーが制作・配給することに。織田信長に仕えた黒人サムライ「弥助」を題材にした大作の模様。

『カラー〜』の規模感とハリウッドでの昨今の日本IPブーム(『SHOGUN 将軍』『TOKYO VICE 』など)を鑑みるに、大スペクタクルを想像させる。声明にも『300』や『マッド・マックス』と肩を並べる意気込みという。となると…歴史的正確性には目を瞑るのが妥当か。

実は「弥助」を題材にした映画化企画は初めてではなく、マイケル・デ・ルカや故チャドウィック・ボウズマンの名が上がったこともある。本作がどこまで進行するかは未知数だが、バザウーレ自身が脚本も執筆するとなると、可能性はそこそこ高そうだ。(O)



【日本IP】『劇場版ハイキュー!!』北米で劇場公開、アニメの勢い加速

(CinemaCon 2024にて発表)ソニー傘下のアニメ専門配信事業者クランチロールが、『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』の配給権を獲得。全米で5月31日から公開の予定。クランチロールは4月19日にアメリカでの封切りを予定している『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』の配給も手掛けており、興行の行方に注目が集まる。

前述のCinemaConのリンクでも言及があった通り、アニメの北米配給の波は今後も拡大していく模様だ。クランチロールのSVPは「Anime is red hot right now(アニメはいま、超ホットなコンテンツだ)」と発言していて、熱がこもっている。

『劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編』『呪術廻戦0』にはじまり、『君たちはどう生きるか』『ゴジラ-1.0』でも、興行成績で強さを見せつける日本原産の作品たち。昨年に続き、今年のアメリカは日本IP隆盛の年になるのかもしれない。(O)



週1回(または2週に1回?)くらいの頻度で、ニュースの総括を行うつもりです。読みやすいよう、少し本数は減らすかも? 今後もよろしくお願いします。(O)

編纂/文責:


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