『芝居の面白さ、教えます 井上ひさしの戯曲講座 海外編』(作品社)

2001年12月から2005年12月に、仙台文学館で井上ひさしが行った「井上ひさしの戯曲講座」(全7回)の中から、海外編を収録している。
シェイクスピア、イプセン、チェーホフ、ニール・サイモンの順に並べられており、最初のシェイクスピアこそシェイクスピア音痴の僕にはあまりピンと来なかったものの、他の三人について語った部分は、語り口は飄々として軽いが、内容は深い。
特に、チェーホフ「三人姉妹」の分析は見事で、まさに目から鱗の分析だ。
また、ニール・サイモンの章を読んで、どうしても『おかしな二人』と『思い出のブライトン・ビーチ』が読みたくなって、たまらず図書館で『ニール・サイモン戯曲全集』の1と3を予約してしまった。
当然のことながら、井上ひさしご本人の作品も何か読んでみたくなった。/


【戯曲を読むときには、読み手がまずプロデューサーにならないといけません。本屋へ行くと、棚に戯曲の本が並んでいます。それを見て何を読もうかなと思うのは、今度何を上演しようかなということと同じなんですよ。(略)読み始めたら演出家にならないといけない。この芝居を頭の中の劇場でどういうふうに上演しようか、と読みながら決めていく。】/


【この大自然と、そこにひょっこり存在している人間との関係には、実は笑えることは何ひとつないんです。すべて悲しいことばかり、辛いことばかりです。

ー中略ー

実は、この世の自然にないのが“笑い”なんです。“笑い”は、人間がつくりだすしかないんです。

ー中略ー

つまり、“笑い”そのものは、自然には存在していないわけで、それをつくり出すのがわたしたち喜劇作者、あるいは喜劇自体の使命なんです。】/


【芝居は、小説みたいに筆の任すままに書くということができない。結末からすべて逆算して書いていかなければいけないんです。】

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