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「事実婚 経験談」「事実婚 事例」があまりなかったので一例を公開しようと思った記事

久しぶりの投稿が結婚報告になるとは思いもしませんでした。笑
「結婚しました」と言うとそのあとについて回るのが

「名字は何になるの?」

「2人とも変わらないよ」が答えなんですが、「???」となる方も多いと思うので、知り合いに向けては補足記事として。
ググってここに行き着いた方はきっと同じような選択肢を検討している方だと思うので、経験談や事例として。
ご参考になればと思います。

※この記事内での法律的な解釈に関しては、ご相談させていただいた弁護士さんのご厚意で記載しています。詳細や個別対応案などは専門家へお問い合わせください。ご相談先が必要な方は紹介するのでDMください。
※一般人の体験談でもよければ、私宛にDMをいただければ可能な限り対応します。


なぜ事実婚を選んだの?

理由はただ1つ、
2人とも個人事業主として自分の名前で仕事をしており、結婚によって仕事への影響を出したくないと感じた
からです。これまで利用していた姓をそのまま使い続けることが重要でした(個人的には「川井」という姓は好きではないwので、変えること自体は良いのですが)

ご存知のとおり、今の日本の法律では片方が姓を変更し、夫婦で姓をそろえる必要があります。話し合った結果、

・片方だけが姓の変更を強いられるのは公平ではない
・両方姓を変えるか、両方今の姓を維持するか、負担はどちらも平等であるべきでは
→「現在の姓を維持すること」を前提に結婚できないか、を考えることになりました。
逆に言えば、選択的夫婦別姓制度などにより、この課題がクリア出来るなら法律婚への移行も検討しています。

個人的には双方の年収差が大きいので、法律婚により全て共同財産化されてしまうのは相手にとってどうなのかな・・・と疑問に思っての事実婚提案でもありましたが、この点はパートナーが気にならないということで一旦検討から外しました。特に経営者・個人事業主など、比較的個人年収額が高い方はこの点も配慮に入れると良いと思います。
※手続きが複雑だそうですが、法律婚でもできなくはないそうです

私個人としては大学時代くらいから事実婚を検討しはじめていました。
中学の授業で婚姻届を書いたことをきっかけに「私は子供を望まないな」と自覚し、それ以降「子供を望まない自分にとって法律婚をする意味は何か」と時折考えていました。
これまでは「事実婚希望だけど、相手がどうしても法律婚を望めばそれでも良いかな」くらいでしたが、パートナーも仕事柄様々な法律婚夫婦に接しており、事実婚を提案した時は「良いんじゃない?」という反応であっさり決まりました。

旅行に例えるならば、法律婚は旅行会社提案のパッケージプラン、事実婚は自分たちで0から行き先を決め宿泊先も予約する。
私のいるHR領域に例えるならば、法律婚は原則解雇不可の無期雇用(正社員)契約、事実婚は契約継続前提だが毎回更新のあるフルコミ業務委託契約。

0から考える手間はあるけど、自分たちにあうようにカスタマイズができる。
契約が更新されないリスクに備えて、結果が出るよう日々努力する。

という感じです。

事実婚のあれこれ

どういう手続きがいるの?

これは事実婚のメリットでもありますが、「お互いがお互いを配偶者と認めた」ら、その時点で夫婦にはなれます。

事実婚は夫婦によって定義が違いますが、私たちの場合は
・絶対に譲れないのは現姓の維持
・それ以外は法律婚と同等で問題ないため、法律婚に近づける努力をする
・社会的にも既婚者として振る舞い、必要に応じて事実婚の説明をする
なので、結果として以下2つの対応をし、社会的な証明としています。

1)住民票は「世帯主&夫or妻(未届)」という表記にする
同棲の場合は2名とも世帯主とすることが多いようですが、この表記とすることで、役所をはじめとした様々な場面で事実婚の証明にできます。
※私たちの場合は、私が正社員でもあるため2人に関わる契約は全て私の名前に、逆に世帯主はパートナーにしています

2)パートナーシップ契約書の作成
法律婚でいう婚姻届に近いものです。この記事も見ていただいている弁護士監修の元で作成し、公証役場で認証していただきました。
婚姻届は指定された欄に記入するだけだと思われがちですが、民法で定められている婚姻の項目への同意と同様です。パートナーシップ”契約”です。
私たちの場合は「別姓維持以外は法律婚と同じ状態に近づける」ため、民法を参考にしながら契約書を作成し、異なる条件や追加条件があれば2人の希望通りに記載をしていきました。あわせて遺言書も作成しています。

※事実婚は「事実上の状態」を法律が保護してくれている状況で、別居をすれば関係が終了します。今回私たちは契約書を結び、私たちの関係におけるルールを決めましたが、契約書という形式にしたため、賃貸借契約などと同様に契約を終了しないと契約そのものは継続します。
例えば別居をすると、事実婚は終了をしているものの、契約が継続している状態になるなどがあり得るため、必ずしも事実婚と契約継続はイコールにはならないことがあります。
・・・このあたりは私も難しいので弁護士さんにお尋ねください。

検討が必要なこと

  • 戸籍

戸籍上は「未婚」のままとなります。
同じ戸籍にならずとも、同じ本籍地に移しても良いかなと思いましたが、片方が他界した際に、残された方が相続手続きで本籍地履歴を追いかけるのは結構大変なようで、私たちはそのままにしました。
私もパートナーも親と同じ戸籍に入ったままです。

  • 結婚記念日

結婚記念日は法律婚だと入籍日にする方が多い気がするのですが、事実婚の場合は入籍がないので、
・住民票で夫or妻(未届)表記にした日
・契約書を作っていれば契約締結日
などになるのかなと思います。このあたりも自由に決められます。

私たちは
 動かない祝日を結婚記念日にしたい
→住民票は役所の空いている平日しか出せない
→住民票異動日じゃ無理じゃん!
→契約締結日にしよう
という流れで契約締結日を結婚記念日にすることにしました。
(結果、動かない祝日になりませんでしたがw)

通称名を使えば良いんじゃないの?

私は人の顔や名前を覚えることは全然苦ではないし、私が仕事で同様の対応するのは全然構わないんですが、
「私が通称名を使っていること」を周囲に覚えてもらわないといけません。
戸籍名と通称名が異なることにより、様々な方にご配慮いただいたり、負担を強いることを私自身がやってしまうのは自分に対して許せませんでした。
パートナーは国家資格がないと出来ない仕事をしており、併記はできるそうで「自分が変えようか?」と言ってくれたものの、同じような対応をパートナーの周囲の方にさせてしまうのも、私は嫌だと感じました。

これは聞いた話なので事実かはわからないですが、急遽海外出張が決まった通称名を使う方がいて、会社側の手続担当者が通称名で仕事をしていることを知らず、先方の海外企業に通称名で「A村B子さんがうかがいます」と言ったそうです。パスポートは「C藤B子」です。
企業の窓口で「A村B子です」と名乗る「C藤B子」のパスポートを持った人が現れたら警備員が出てきたとか。
海外で身分証明ができないのは結構つらいです。

親の反応は?

・パートナー家族
ご親族含め「あ、そうなんだ」「2人が良ければ良いのでは」という反応だったそうです。スムーズに受け入れてもらえて安心でした。

・私の父
「子供がいるならどうして親の名字が違うのか説明出来ないといけねーだろー?まぁ2人でいる間は好きにしろ」
だそうです。子供は生まれない予定なので問題なしと判定。

・私の母
「私はこれまでいろんな人と関わってきて思うけど、自分が生きたいように生きたらいい。今はいろんな恋愛もあって、いろんな性を持つ方もいるんだから」
令和最前線の知識を持ってここまで柔軟な考えができ、とっさにこの言葉が出る67歳って滅多にいないんじゃないですかね。同年代でも少ないと思います。今でも思い出したら泣けます。
親族・兄姉家族にも事実婚は聞かれるまで言わず、普通に既婚者として振る舞う約束です。
と同時に、周囲から今後について聞かれた時に「結婚するよ〜まあ事実婚なんだけどね」と、無意識に自分の中で事実婚であることをどこか「下げる」ような表現をしていたことに気づき、自分自身も反省しました。

法律婚との違いは?

基本的には「法律面」では法律婚とほぼ変わらない状態にできます。予想以上に事実婚にも優しい社会でした。

<できること>
以下は手続きをしなくても「夫婦・配偶者」とみなされるとのこと。
「不倫されたけど事実婚だから慰謝料が取れない・・・」などは基本ないと思って良いそうです。

・不貞などによる慰謝料請求ができる
・事実婚解消時、事実婚中の財産は原則共同財産と認定される
・生活保持義務(お互いの生活に責任を持つこと)がある

以下は手続きや書面・条件が法律婚と比べると複雑になる傾向はありますが、事実婚でも法律婚同様の状態にできます。

・保険や携帯、クレジットカードなど民間サービス
→家族割や家族カードの発行ができるところも増加中
保険は「住民票異動日から3/5年」など、年数指定があるところが多そうです。クレジットカードはエポスは年数指定がなく、すぐ発行してもらえました!

・社会保険関係
→扶養控除も手続き書面を出せばOKだそうです。

・相続
→遺言書により受取人指定されていれば、遺産を受け取ること自体は可能(ただし相続税の配偶者優遇はなし)
※余談ですが、遺言書は作り方を間違えると効力がないそうなので、弁護士に相談の上作成した方が良いです

<できないこと>
税金関係は基本NGと思った方が良さそうです。あとは老後に出てきそうな問題が多い印象でした。

・税金関係全般は配偶者としてみなされない
税金の扶養控除NG
相続税も配偶者優遇なし、「遺贈」扱いとなり普通に相続税がかかる
医療費控除も合算不可

・介護施設入居の際の家族指定不可
・住宅ローンでの配偶者指定不可

<ケースバイケース>
・病院での面会、サインなど
そもそも「患者本人が意思決定をすること」が前提だそうで、緊急時や意識不明時に家族がサインをすることでさえ特別対応で、本来はNGだそうです。
知り合いの医者曰く「緊急時に事実婚かどうかなんて判断してる時間はないよ、患者様のことを1番知ってる人にお願いするし、名字だけでその判断はできないから大丈夫だと思うけど」とは言っていましたが、「最終的には病院各自の判断になる」とのこと。こればかりは運任せです。

この時思ったのは、仮に「患者と姓が違う人は緊急時であっても家族とみなされない・面会ができない」としたら、結婚により姓が変わっている私の姉は両親の緊急時には会えないことになるなと。でも姉は家族なんですよね。
と考えると、緊急時にすぐ戸籍謄本を持ってこられる人はあまりいないと考えられるので、周囲が「家族です」と言えることが大切なのかなと。

調べた結果、
・仲が良い時は大きな問題は起こらなさそう
・離婚時(仲が悪くなった時)、死別時(寿命には逆らえない・・・)に問題が起こりそう
という印象でした。
法律上の家族でないと出来ないことは、お互いの家族に協力いただきながら進めていくしかないかなと思っています。

名字が違うけど、本当に家族になれるの?

例えば国際結婚をすると別姓のままとなり、家族間で姓が異なる状態となります。
私の先輩(中国籍)は日本人の旦那様と結婚し、子供は旦那様の名字と一緒でした。先輩は中国籍なので、生まれた時の中国名だそうです。
先輩は旦那様・お子様と姓が違いますが、家族ではないと言い切れますか?
私は「家族」は形として姓に現れるものではなく、情動的な見えないものによるつながりだと考えています。

名字が変わらないなら結婚の意味なくない?同棲と同じじゃないの?

そうかもしれないです。
私の本音は「名字を変えてまで結婚をする理由はない」です。

パートナーが言っていたことが良いなと思ったので記載しておきます。

「結婚ってカツカレーみたいだと思うんだよね。カツ単品でも、カレー単品でも美味しい。でも、カツカレーだったらもっと美味しい。
お互いに経済的にも精神的にも自立していて1人で生きていけるし、親・兄弟姉妹という家族もいる。結婚しなくても十分幸せだけど、結婚したらもっと人生楽しくなりそうじゃない?」

私は↑の言葉を聞いてその通りだなと思ったので、現姓維持を条件に結婚を考えました。同棲と違って、相手の人生への責任も伴います。

事実婚ってすぐ別れそう。無責任では?

別れやすいのは事実あると思いますし、法律婚の方が手続き上大変なので離婚しづらいとも思います。加えて事実婚では「相手を配偶者とみなすこと」が重要で、「相手を配偶者と思いたくない」とどちらか一方が思えばその時点で関係は終了です。
だからこそ日々関係維持のために努力し続けないといけないし、私たちは仮に関係が冷え切っても「婚姻届出して夫婦になっちゃったしな・・・」と嫌々関係を続けるという事実と反することはしたくないし、「事実婚状態維持=相手が自分を配偶者と認めている」と日々明確な方が良いと感じてこの手段を取りました。
法律婚でも3割以上の夫婦が離婚する今、入籍したら将来安泰というわけでもないように感じています。将来的に関係が続くかどうかは、結婚の手段を問わず、双方の努力が大切だなと。

そして、契約書作成や個別事項の相談は時間も労力もかかりますし、何よりもお互いに相手に向き合う姿勢が必要です。
「離別・死別時の対応を、幸せ絶頂期な結婚時に考えるのはシビアだよね・・・」などの意見もあると思いますが、法律の内容も知らずになんとなく婚姻届を書いてしまうのではなく、1つずつ話し合い、誠実に向き合った姿勢という面では、現時点ではもしかしたら逆説的に結婚に対する覚悟は強いのかもしれません。

子供ができたらどうなるの?

私たちの場合は子を持たないことが前提なので詳細までは決めていないのですが、弁護士さんに聞いた、必要になりそうな対応策を記載しておきます。

・父親が認知をする
・親権は母親のみ(父親が持つことはできない)
 ー親権者欄には父親の名前でサインができない
 ーただ、現実では2人で相談をして子育てをすると思うので、仲が良い間は大きな影響はないのでは、とのこと

参考までに:事実婚夫婦の子である友人がおり、お母様の名字を名乗っているためお父様とは名字が違うそうです。
以前「何か不都合なことってあるの?」と聞いたところ、「ない。名字は違うけど父親は父親。逆にこうやって聞かれたり、変に可哀想って思われるのがめんどくさいくらい。別に可哀想でもなんでもない」と言っていました。

結婚イベントは?

事実婚だからというより「結婚するけどどうする?」という観点で考えました。私たちは以下の通りです。

・結納:なし
・両家顔合わせ:実施済
・結婚式:なし(フォトウェディングに変更)
・前撮り:あり

結婚式はコロナ影響+2人とも「人前はちょっと・・・」という理由です笑
事実婚は法律婚以上に「社会的に夫婦であると周囲から認められること」が重要になるので、本来であれば結婚式はやった方が良いのかな?とも思いましたが、ここは2人の意思重視にしました。

とはいえやってみないとわからない

というのが現時点での感想なので、あまりにも不都合があれば選択的夫婦別姓制度が成立する前でも法律婚へ切り替えるかもしれません。
もしかしたら数年後には別れているかもしれません笑
でもまずはやってみます。

最後に。
「結婚したんだ、名字は何になるの?」
ではなくて
「結婚したんだ、名字はどうするの?」
と聞かれる未来になると嬉しいなと、当事者としては感じています。

#これからの家族のかたち

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