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アップサイクルジュエリー ”Neo Vintage”

今年の秋も、季節を感じられる天然石を集めた個展を横浜にて開催いたします。今回の noteではブランド初のアップサイクルの試みとなる Neo Vintage Collection についてご紹介してみたいと思います。

「Neo」とはギリシャ語で新しいという意味の言葉ですが、単に新しいだけでなく復活という意味合いが含まれています。そして「Vintage」は皆さんもご存知の通り年月が経って価値が増したモノです。そう、この Neo Vintage Collection はまさにその言葉が示す通り、”古いもの” を ”新しいアイディア” で復活させたコレクション。ジュエリー業界でのアップサイクルという言葉の使われ方にも疑問を感じていた私が自分なりに解釈したご提案です。

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実はこのコレクションに使われている枠は全て昭和に作られたものたち。当時流行していた「千本透かし」や「王冠透かし」といったデザインを中心としています。まだCADやワックスモデリングの無い時代、職人の手によって手間暇かけて作られた手の込んだ装飾です。

でも最近はこれらをご家族から引き継いだ世代が、そのままでは今っぽくなくて身につけられないという理由でリモデルに出したり、または質屋に買い取りに出す状況です。そしてほとんどの場合付いていた石は外され、この装飾的な枠はリサイクルゴールドとして潰して再生されます。

勿体無いなあ、、、時代に合わないというだけで潰されることが。

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上の写真は石を外す前のリングたち。今は時代的に削ぎ落としたデザインが好まれますが、これを今の職人さんに加工してもらおうと思ったらシンプルなリングを作るよりよっぽど工数が多くて加工賃も高くなります。昭和の遺産を活かせないものだろうか?そこからこのプロジェクトは始まりました。

私の答えは至って簡単、石の方をアジャストさせてみよう。

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というのも、こういったジュエリーについている石のほとんどが合成石だったり、ガラス、染めた瑪瑙やオニキス、クォーツ、ネフライトなどのカボション。要は石を外したところで、その石自体には改めて指輪を仕立てるほどの魅力がなかったり、市場価値としてもゼロのものばかりなんです。

もちろんご家族から引き継いだものならば他には変えられない価値がありますが、身につけたいと思えるジュエリーに変身させるとなった時、そこも大きなネックとなります。

そこで私が得意とする石のセレクトで、それぞれのリングのデザインにあったルースを選び直し、必要ならばリカットをかけて、枠を潰さずに蘇らせるということを試みてみました。最初はデザイン自体もアレンジを加えるべきだと考えていましたが、実際やってみるとその掛け算だけで十分でした。

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リカットを依頼した研磨師さんは今回も大城かん奈さん。カンナシリーズでご存知の方も多いと思いますが、古いデザインに新しい息吹を吹き込むのにはやはり若く尖った感覚が必須で、結果今まで誰も見たことのないようなコレクションに仕立て上げることができました。ジュエリーの枠は古いままなのに組み合わせだけでこんなに変わるんだ!という感覚を是非経験していただきたいです。

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下の写真はリカット前の状態。枠も古びたままですが、それぞれがどう生まれ変わったのかを是非照らし合わせて見ていただけたら面白いと思います。お客様にお見せするのはこれからですが、職人さん達の反応は上々。すごく印象が変わったと褒めていただいています。

何より、あまりに見慣れすぎてなんとも思っていなかった、ひたすらスクラップに回していたデザインに新鮮な印象を与えられ、新しいアイディアを提供できたのだから、それだけでも”モノを大切にするという意識をより強くしていく” という意味でやってよかったと感じています。

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このプロジェクトの発端はお客様からのリモデルのご依頼でした。数年前から公にはしていませんがご依頼があればリモデルをお受けしています。持ち込まれるデザインの中で一番多いのがこの「千本透かし」そこでお客様のご了承を得てお預かりした枠を地金代として相殺しつつも、保管させていただいていおりました。提携している工場さんもご協力くださっていて、工場に持ち込まれた古い枠を今も継続的に貯めていただいているんです。

一度に何本もご依頼くださる方もいて数が20本ほど貯まっていた矢先、3月の春の個展で、同世代のお客様の口から「千本透かし」という言葉が出たことにびっくり!きっと取り掛かるべきタイミングは今なんだろうと思い、背中を押される気持ちで準備をしてきました。

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結果的にタイミングはバッチリだったようで、世の中的にもアップサイクルを盛んに打ち出している真っ只中のリリースとなりました。ちょっと早かったらまだピンとこない方もいらっしゃったかもしれないけれど、今ならSDG'sの観点でも共感してくださる方が多いはずです。

そしてこのコレクションに関して私はあくまでアイディア出しとディレクションをしたまでで、デザインを一から起こしていないし、実際に製作してくださったであろう、会ったことのない昭和の職人さんに敬意を表したいので、あえてMOEMI SUGIMURA のブランド刻印は入れておりません。

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このコレクションはそのままご購入いただくだけでなく、うちにも千本透かし眠ってるなあという方にとっても、リメイクの一案になれば良いなと思っています。展示会でも、お持ち込みいただければその場ですぐに石はご提案できないかもしれませんが、後からいくつか候補をご紹介することも可能です。

個展ではその他にもお客様と共に創るパールジュエリーの新作、そしてこれまで通りのオーダーも可能です。また今回よりエコパッケージの取り組みとしてジュエリーボックスの買い取りと回収を始めます。そちらの詳細はstand.fm にて先に御案内しております⬇︎

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今回の展示会は「Noe Vintage」そのイメージに相応しい場所として、会場には築90年の時代を感じさせる横浜市の歴史的建造物、インペリアルビルを選びました。山下公園、横浜中華街のすぐそばですので、横浜の散策がてらがオススメです。皆様のご来場心よりお待ちしております!


動画でのご案内はこちらからどうぞ ⬇︎

音声でのご案内はこちらからどうぞ ⬇︎

お客様のリメイク例はこちらから⬇︎

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《 UP COMING EVENT 》

秋の個展
at 横浜山下町 インペリアルビル 1F
2021.8.28(火)~10.4(月)

drama H.P.FRAMCE 新宿伊勢丹
2021.10.20 (水) ~ 11.7 (水)

drama H.P.FRAMCE 日本橋高島屋
2021.12.1 (水) ~ 12.31 (金)

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