見出し画像

240219_ツンドラの記憶 / 八木清

アラスカのエスキモー文化圏に残る伝承が編み込まれた良書。編訳と写真、そして造本にも丁寧な気配りが感じられ、ページを繰るごとに不可思議な物語世界にすっとと引き込まれてゆく。物語が不思議に感じられるのは、きっと自らの目線や思考法に近代教育のバイアスがかかっているからだろう。世界の不思議を自分たちの立場に引きつけて謎解いててゆこうとするのが近代なら、世界の不思議の一部に自分たちの生命を結びつけてゆこうとするのが彼らの世界なのかもしれない。遠い昔のお話なのに、どこか懐かしく感じられるところが不思議なものだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?