弥生時代の文字使用について
歴史雑記101
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ヘッダ画像は2016年3月2日付の朝日新聞紙面より
はじめに
今回は、Twitterでそれなりの反響のあったツリーを元にした記事をお送りする。
國學院の柳田康雄先生による、弥生時代中期から日本列島で文字使用がそれなりの規模で始まっていた、という説について思うところを述べたものである。
その後に調べたことも多少加え、かなりの分量になっている。Twitterで一連のツリーを読んだ方も、購入いただいて損はない内容になっていると思う次第である。
弥生時代中期の石硯
さて、柳田先生の説の概要は、上にも述べたように「弥生時代中期前半(前180~前150年頃)から日本列島で文字使用が始まっていた」というものである。
この柳田説の論拠となっているのが、弥生遺跡から出土している石製品の大がかりな再検討である。
この再検討は、摩滅等の形状や色(黒や赤)の付着状況から「硯」とみなされうるものを拾い上げていくという非常に地道なもので、従来は砥石とされていたものや、単に石製品(用途不明)だったものも含め、現時点で150点以上が石硯であるとされている。
また、糸島付近での出土例が多いことから、渡来人によって貿易の際などに文字が用いられる需要があった、という想定もなされている。
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