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イワカムツカリノミコトと料理儀礼

 歴史雑記53
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 あらゆるものごとに歴史はあり、文字史料があればそれは歴史学の対象たりうる。
 いま僕は『半助喰物帖』という漫画の原作を手がけているのだが、その作業の関係で、このところ料理に関する資料をたくさん読んでいる。
 もちろん料理にも歴史があり、それはさまざまなアプローチで研究がなされているのだが、今日は少々「儀式」としての料理と包丁流、そして料理神について考えてみたい。

「四条流」の系譜

 わが国でもっとも古いと言われる料理法(包丁術などとも)の系譜が四条流である。ほかにも四条園流や四条家園部流、大草流などに分かれていくのだが、これらは元をたどれば四条流に行きつく。
 では四条流とはなんぞやという話になるといささかややこしく、歴史的事実としては四条家から包丁の名人が多く出たため、四条流を名乗り、遡ってその系譜を作成したというようなところになろう。
 光孝朝の大納言・藤原山蔭をさして「四条山蔭」などというのも、四条流の人びとが遡って系譜に付け加えたからにほかならない。四条流の系譜はさらに遡って、藤原魚名(藤原北家の祖・房前の五男)にまで至るが、これはある種の「歴史認識」であって歴史的事実ではなかろう。

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