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借りられるものは借りましょう

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 もうみんな気がついていると思うけれども、「コロナ不況」とでも言うべき状況が到来している。
 昨年の消費増税で予想通りに消費は落ち込み、春節〜オリンピック期間のインバウンドで稼ごうと考えていた業種の人たちや、イベント業を営んでいる人たちはまるっきり計画が狂って大変なことになっているのではないでしょうか。
 出版業界にも当然影響はあると思いますが(なにせみんな外に出ない)、どのくらいの数字になるのかはまとまってみないとわからない。
 とはいえ、国も当然無策ではなく、緊急融資のために予算を組んでいる。昨日ツイートしたこれとかがそうである。

  「そうは言っても借金でしょ?」と思う人もいるかもしれないので、今日はちょっとその辺について書いてみようと思う。

借金からはじめよう

 いったい、日本における与信能力というのは、借金をして、それをちゃんと返すことでしかアップしない。
 不動産業を営んでいる人たちがよく「借金玉を転がして大きくする」とか、「もっと借金できるようになりたい」と言っているのはこれのことである。
 めちゃくちゃ簡単に説明すると、①300万円借ります、②毎月頑張ってそれを返します、③完済が見えてきたら「次は500どうですか?」みたいな話になります──ということである。
 もちろん、①をやるためにも最低限の条件というものがあって、「登記」「事業計画書の作成」「法人口座開設」なんかが必要になるが、合同会社であれば、本を2、3冊読んで印紙代(6万円)払えば簡単にできる。そんなわけで、僕でも借金はできたし、なんとか毎月返しているので、終わりが見えてきたら多重債務力はアップするはずである。
 そういえば、某インフルエンサー氏が「法人口座が開設できなかった!」とか言っていたことが思い出される。また、別のインフルエンサー氏も「地銀から融資が下りなかった!」と憤慨していた記憶がある。
 こういうのは、金融機関から見て充分な書類が用意できていなかったり、怪しく見えたり、あとは地場の人の紹介を経なかったりしたために起きた事故だと思われる。おそらくですが、金融機関は悪くない。
 超低金利なので、金融機関も貸せるなら貸したいはずで、とはいえ自社の基準や監督官庁からのお達しに則って案件ごとに精査しているだけだろう。
 

無借金経営は怖いよ

 よく、「うちは無借金経営です!」と胸を張っている企業さんと出くわす。
 もちろん、内部留保やすぐに取り崩せるような資産を大量に持っているのであれば、事業が傾いたときに即時対応できるので、借金をしないという選択肢も出てくるだろう。いやもうご立派で羨ましい。
 ただ、僕のような零細で内部留保も資産もないような会社を回していると、金融機関とのお付き合いというのはとても大切になってくる。いま、弊社の売り上げの多くは僕に依存しているわけだけれども、たとえば突然怪我をして数ヶ月働けなくなるようなことは現実的にありうる(なお、去年骨折した)。
 あるいは、現在のコロナのように、立つはずだった売り上げがまるっと消し飛んで、少なくとも数ヶ月は固定費が垂れ流しになる……というようなことも起こりうるわけである。
 そういうとき、大切になってくるのが「これまでにちゃんと返済してきたかどうか」という実績である。少しくらい傾いていても、これまでにちゃんと返済してきた実績があれば、金融機関は緊急融資も検討してくれるだろうし、返済プランの見直しにも応じてくれるはずだ。
 これが、「ずっと無借金でやってきたんですが、傾いてきたんで融資ください」だと無理なのは当たり前。金融機関側に、その会社が借りた金をちゃんと返すかどうかのデータがないのである。


我々の存在は有限である

 ここまで書いても、やっぱり借金は怖いという人もいるだろう。
 それも当然のことで、たとえば会社で借り入れをするとなったら、やはり代表取締役が個人で連帯保証をすることになる。だからもちろんリスクはあるわけだ。ノーリスクな借金ができるのは、実家が太い人が親から借りるときくらいだろう。
 よく起業家クラスタが、「会社の借り入れを個人で連帯保証してやっと一人前」と言っているのにはこういう含意がある。
 連帯保証をするということは、たとえ有限責任の合同会社を畳んだとしても、個人としてはその債務を肩代わりしないといけないというわけで、実質的に無限責任と言えなくもないのだ。
 ただ、無限責任という言葉は一見怖いようにも思えるが、考えてみれば人間個人という存在は有限である。だいたい、リスクリスクと言い出したら、住宅ローンだってノーリスクではない。
 そんなわけで、きちんと事業計画を立ててまっとうな商売をやろうというのなら、金融機関からまともな金利で借り入れて必要資金を調達するのがいいと思うのである。
 なお、弊社は借りられるだけ借りてしまっていますが、今のところ返済は滞っていないので、ここから頑張って多重債務力をアップさせていく予定である。

(これより下に文章はありません)

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