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「粋」なこころが、今を生きやすくする

私を広げてくれる、相反するふたつの視点

「斬る剣」と「魅せる剣」。
居合道と刀キャラのコスプレ。

刀を使う点でふたつはよく似ている。
だけど、それぞれの身体と刀の使い方はかなり違う。
なぜなら辿り着きたいゴールが違うから。
刀を通して見ている世界が違うから。

私はどちらも好きだ。
身をもって体験してみると、どちらにもそれぞれの素晴らしさ、
そして難しさがあることに気がつく。
それぞれの世界に身を置く人の、様々な悩みや葛藤も。

似て非なるふたつの視点を体験するからこそ、
「自分」というものの枠が広がり、深まっていくようにも感じる。

撮影:cos.CAFE


白黒よりも、「人間性の美」が見たい

ホンモノか、ニセモノか。
どっちが正しいか、間違いか。
そんなふうな言葉の争いを時々目にする。

白か黒かとめくじら立てすぎると、ちょっと疲れる。
私は目先の白か黒かには興味がない。
なんというか、もっと根っこのほうにある、
「人間性の美」に興味がある。

相反する何かが目の前にあったとき。
どちらかを下に見たり、
よく知りもせずに知ったかぶりで間違いだと決めつけたり。
そういうのは「なんだか無粋だなぁ」と、苦い気持ちになる。
自分がしても、相手にされても。

武士の心根には「粋(すい)」があると思っている。

「粋」とは「心根のかっこよさ」のこと。
「無粋」とは粋を忘れること。
私は無粋ではなく、粋に生きたい。

どんなに正しさを主張しようとも、相手の背景を無視した無粋な言葉は、
人の心に届かない。

心に届く言葉には愛がある。
相手の尊厳、そして自分自身の尊厳の、両方を重んじる愛が。
最近そう感じている。

もちろん、気づかぬ間に無粋なことをしてしまう時もあるだろう。
そんな時は「だって」と開き直らず、素直に反省したい。
間違いを完全に無くすことは難しいかもしれないが、
人に苦い思いをさせていないか、自分を注意深く観察していたい。

「粋」を表現しようとする気持ちは、居合でもコスプレでも、
人生そのものでも、きっと役に立つと直感している。


「愚痴」の活用術

感情が揺さぶられ、つい愚痴をこぼすこともある。
だけどそれは、悪い事じゃないと思っている。
役立て方が重要なのだ。

愚痴は自分を立て直すため、次に進むための燃料だ。
誰かを「殺す」ものじゃなくて、自分を「活かす」もの。
決して、他者を攻撃するための武器にしないよう気をつけたい。

信頼しあえる長い付き合いの人がいるなら、その人に話す。
愚痴を吐いても関係が変わらないような、そんな人に。
なんなら冗談にして笑い飛ばす。
「言ったら忘れるただの愚痴」として。

様々に揺れ動く自分の感情と、朗らかに付き合う術。
私なりの「愚痴の活用術」だ。


私を成長させる「和のこころ」

粋にかっこよく。
威張らずひけらかさず。
間違いも含め、愛する心を。
私が思う「人間性の美」。

そう生きたいと願う。
しかし、理想を語るだけなら簡単だ。
実践するには、己の無粋を見つめる勇気と、広い世界を知ろうとし続ける根気がいると感じる。

かつて日本人が脈々と受け継いでいた道徳規範に、「武士道」というものがある。
「武士道」には明確な経典や教科書があったわけじゃないそうだ。
武士道は武士の生活に非常に密接で、自然と心身に染み込み、守られ、引き継がれていた。
反対に、海外には「聖書」という明確な教科書があった。
だから当時、日本人の道徳心がなぜ育まれるのか、外国人は不思議がったそうだ。

武士道についてもっと深く知りたい方は、新渡戸稲造著「武士道」を読んでみると良いかもしれない。

武士の言う「忠義」「誠」とは、誰かを真っ直ぐに「信じる心」だったのではないだろうか。

また江戸の町人たちは、どんな状況でも「楽しむ」ことが得意だったようだ。
あっけらかんとして、風通しが良い。
これも「粋」だ。


目の前の相手の表面的な言動よりも、その奥にある心根を信じ、愛す。
「しょうがねえなぁ」とお互いを諌めあい、フォローし合う。
そんな大らかな気質が、江戸時代の日本にはあったような気がするのだ。

江戸時代は「和のこころ」に支えられ、
想像以上に生きやすかったのかもしれない。

私は「和のこころ」を引き継いでいけるだろうか。
自戒をこめて。


「粋」ってどんな手触り?

身体とこころは密接に関係している。
日本に約千年前から伝わる古武術の智慧にふれ、なおさらそう感じるようになった。

身体からこころは創れる。

「粋」とはどういうことなのか?
どんな色をしていて、どんな音で、どんな手触りなのだろうか。
どんな香りで、どんな味がするのだろう。
体感してみたい方は、是非古武術式トレーニングを体験しにいらしてください。
「粋」の輪郭を、一緒に探してみましょう。


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