【詩】ポーチドマーキュリー　(太陽系第一卵)

塩と酢を入れたお湯に
一番小さい星を入れ
はやる気持ちを抑えて
ゆっくりかき混ぜる
水流が生まれたならば
だんだんはやく
まわる
まわる
俊足のメルクリウスが
駆ける

卵が固まれば
お湯からすくいだし
日に照る
地表の衝突痕
この傷はモーツァルト
あの痕はダリとムンク
向こうに芭蕉と北斎も
どうしても先が知りたいのに
八十八の夜の後には
八十八の昼がつづく

艶を湛えて
世界を見ている
私が小さくて軽いのは
いつでも、すぐに
飛んでいけるように
星が光を反射するより先に
言葉が心に届くよりも先に
ひとり駆けるあなたのヘルメス
太陽の側に控えし狡知
いま、伝えよう
ナイフが触れたら
流れだす
機知で

－－－－－－－－－－－－－－

太陽系で一番小さな惑星である水星。
地表のクレーターは芸術家にちなんだ名前がつけられています。
直径は地球の約三分の一。
公転と自転の関係から
昼間が88日続きその後88日間夜が続く、
というのにも驚きでした。

ギリシャ神話　: ヘルメス
ローマ神話　　: メルクリウス(英:マーキュリー)

西洋占星術において水星の年齢域は
8〜15才と言われています。

(年齢域とは該当惑星の影響をより受ける期間であり、各惑星の担当分野が発達しやすい時期です)