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我利我利くん

我利我利くん

我利我利くん2


※我利我利亡者
仏教用語。他人を顧みず、自身の利益ばかり考えること。または、他人を顧みずある物事に執着すること。やせ細った人に対する形容はここから由来。

***

オレは我利我利くん。いつも飢えている。
髪の毛は五分刈り。いつも何かを欲している。
オレは我利我利くん。欲しいものは何がなんでも手に入れたい。
そんなオレはソーダ味の某棒アイスをむしゃぶりながら、まれに棒切れに刻まれる当たり印を欲したが、しかしながらそこには何も無く、虚無。
オレはむしゃくしゃして勢いのまま某棒アイスをあるだけ購入し、またむしゃぶりついた。
腹を下して胃袋がひもじいが、オレはなんとしても、オレは、オレは当たり棒が欲しいんだオレは。
やわっこい、小さい童が某棒アイスを欲しがったが、全ての某棒アイスはオレのものであるからして、お前の都合など知らん。
青い、青い氷菓は舌先を固め、手足を震わせるがオレは、オレは遂に、遂に当たり印を目にしたのだけれど、その瞬間にオレ、オレはまた、満たされなさに満たされた。
腹の底から飢えたオレは当たり付きの棒を我利我利。


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