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音楽レーベルをやってみて分かった、音楽が広まるだけじゃ成立しない理由


どうも。マットです。

前回の記事でDIYアーティストのWEB広告運用代行とメディア露出の為の広報などのプロモーションサポートを始めると書きましたが

今日は、音楽が認知され広まった後にアーティストはどのようにしてマネタイズしていけばいいのか?音楽活動をビジネスとして成立させるとはどういうことなのかについて書いていこうと思います。



▼はじめに

音楽レーベルを始めて13年。地方で細々とやってますが、長くやってれば僕の周りでもメジャーデビューする人、日本で最大級のロックフェスに出る人、オーディションを勝ち抜く人、SNSでちょっとバズる人などいます。

全国区のタイアップ主題歌になったり、ラジオでヘビロテされたり、フェスの大観衆の前でライブ出来たり、バズってフォロワー・チャンネル登録者が増えたりしてるにもかかわらず、活動規模が広がっていかず活動を辞めてしまうアーテストもいます。

また逆に、スポットライトを浴びれないながらも音楽で全国周りながら生活しているアーテストもいます。


何が言いたいのかというと、広く多くの人に認知される事が必ずしも音楽活動の成立につながるわけではないと言うことです。


実際僕もレーベルとしてCDが売れなくなって、アーティストのライブ集客率を上げなければと思い、何年もかけてトライ&エラーを繰り返してきました。

メジャーの真似して色んな広告に手を出しました。しかし、フォロワーは増えていくのに全くライブ集客出来ず、何をやっても効果が得られない。(予期してなかった仕事依頼は増えましたが)

それでもずっと続けていくうちに、フォロワーには階層があり、アーティストの音楽・ビジュアル・パフォーマンス・価値観・アティテュード・ビジョン等のどの情報をリスナーに伝えるかでマネタイズ出来る部分が変わっていくという事に気付いたんです。

というわけで、フォロワーの階層別で出来る音楽のマネタイズ方法を書いていきます。


▼音楽ライトファン獲得で出来るマネタイズ

まずは、タイアップでもバズるでもフェスでも広告宣伝でも、とにかく音楽が多くの人に認知され音楽を好きになって貰う事で、音楽のライトファンが生まれます。


音楽ライトファンとは

〇音楽を聴いて貰える(YOUTUBE・サブスク・違法サイト)

〇カラオケで歌って貰える

以上です。


では音楽ライトファン獲得で出来るマネタイズを説明していきます。


1、音楽を聴いて貰える(YOUTUBE・サブスク・違法サイト)

音楽が広がり認知されれば当然YOUTUBE・サブスクの再生数が増えるのでマネタイズ出来ます。

例えば1曲新曲をリリースする時に、MV製作も合わせて15万円掛かるとします。

これをサブスク・YOUTUBEで回収しようとすると1再生1円の計算で15万回再生されればいいので、

15万人に1回聴いて貰うか

1万人に15回聴いて貰うか

1000人に150回聴いて貰えれば

製作費の元が取れ、それ以上聴かれればアーティストの収入になります。


ちなみに、サポートしているアーティストがYOUTUBEで登録者1000人獲得した時のデータで、チャンネル登録者が新曲を再生した再生数は約18000回でした。


つまり一人が18回は聴いてくれた計算です。150回には遠く及ばずでした。1か月のデータを取りましたが、2週間以降はあまり伸びてないという結果に。


勿論一例なので、アーティスト力や楽曲力で変わりますが、毎日毎日新たなコンテンツが生まれて消費されていく時代で、1か月も経てば、また違う音楽に興味を持たれるのも不思議ではありませんし、数か月後に新曲をリリースしてもフォロワーの興味が移っていれば新曲が再生されない事もあると言えます。


ということで、音楽ライトファンを増やして音楽配信だけでマネタイズする場合、DIYアーティストとしてはバズを狙ったり、タイアップなどで再生を増やさない限りマネタイズするのは難しいと考えてます。

※2021年6月10日追記

現在サブスクのアルゴリズムを攻略する事で、常に新しい人に楽曲がおススメとして発見され、自動的に再生が増えていく仕組みを作るために動いてます。


2、カラオケで歌って貰える

カラオケによく行く層がファンになってくれている場合は、歌って貰う事でマネタイズ出来ます。印税は1回歌われれば1~3円ほど入るようです。


▼音楽一般ファン獲得で出来るマネタイズ

次に、音楽ライトファンの中から楽曲以外のビジュアル、ビジュアルアート、パフォーマンス、世界観など音楽以外の要素を好きになってもらうことで音楽ライトファンから音楽一般ファンが生まれます。


音楽一般ファンとは

〇楽曲への評価、ビジュアル(ビジュアルアート)、パフォーマンスのファンであるということ。


〇情報収集や鑑賞を行う(YOUTUBE、サブスク、違法音楽サイト、CD)
※音楽自体が売れていた時代ならよかったのですが、現在はマネタイズしにくい。


〇人とのコミュニケーションの手段としての消費(カラオケ、フェス参加、所属欲・居場所を作りたい・自己アイデンティティの主張)
※昨今、フェスの動員数が伸びているのはYOUTUBE等で無料で気軽に音楽に触れることが出来るようになり、この一般ファンが増えている事が関係しています。


〇グッズを買ってくれる※音楽一般ファンのグッズ購入の位置づけは、記念品としての消費、所属欲・自己主張に基づいた消費(私はこのアーティスト好きだから同じ属性の人は仲良くなりたいという主張)。ライブが出来ないコロナ禍においては通販では売れない。


〇時間とお金に余裕があり、タイミングが合えばライブに行きたいと思っている。


〇音楽性が変われば離れやすい。他のアーティストに興味が移りやすい。



では、音楽一般ファン獲得で出来るマネタイズを説明していきます。


1、ライブ集客率をやり方次第で上げる事が出来る

この一般ファンのパイが増えていけば、視聴・カラオケ消費に加えてライブ集客率が上がってきます。

ただ、一般ファンの場合のライブの位置付けは、ライブで好きなアーティストを見たいという消費の他に、仲間と楽しんだりコミュニケーションの手段、新たな共通の趣味を持つ仲間と出会うためのコミニケーションツールとしての側面が強いです。


感覚的に言うと遊園地に遊びに行くのと同じだと考えてください。個人で足を運ぶ人は少ないでしょうし、あくまでも仲間達とのコミニケーションツールの1つという位置付けになります。


そうなると次のような事が起こります。

でも、やっぱり夏フェスに行くと、毎回感じるんですよ。「 こんなにロックファンいるんだ 」って。
レーベルの宣伝担当がフェスから帰ってきて、フェスのレポートをする時に、◯◯バンドが◯◯ステージで二千何百人入って入場規制でした!とか言うんです。でも、CD やダウンロードの数字は 2 日経っても動きがないわけですよね。ちょっと待てよ!と。僕は、やっぱりそれはおかしいと思っていて。ミュージシャンが 2,000 人以上の人の足を動かして音が届いたのに、見て聴いた人が配信で聴くとか CD を買うとかの行動にスライドしないマーケットはおかしいと思うんですよ。


フェスで入場規制がかかるくらい人気で、音楽ファンを熱狂させたとしても、その後CDが売れることもダウンロードされることもアーティストのワンマンライブに集客誘導する事にも繋がりにくいという事なんです。


音楽一般ファンはあなたの音楽以外にも好きなアーティストがいる為、限られた時間、お金、労力の中で最大限に楽しむ為にフェスを選んでいます。

音楽一般ファンをアーティストのワンマンライブに集客誘導する事が難しいのは、時間、お金、労力という制約がある中でジェットコースターしかない遊園地(ワンマンライブ)より色んな遊具(アーティスト)が集まる遊園地(フェス)の方が選ばれる為です。


大規模フェスに出演したのにアーティストの活動が広がっていかない、ライブ集客が伸びない理由は、この音楽一般ファンしか掴めてないことが原因です。


アーティストが自身のライブ動員を増やしマネタイズしていくには

コアなファンになってもらうか(次の記事で詳しく書きます)、フェスに勝るだけの総合的なエンターテインメント性の強化。


自分を中心としたコミュニティーを構築する。ファンの居場所を作る。

ファンと1対1の関係性を作ることでライブに来てもらいやすくなる為、ファンを認知しコミュニケーションを取っていく事が重要です。

例えば、BARのマスターや営業マンのような、個人のお店とお客さんのような距離感で関係性を深める。

ファン同士が横の繋がりを持てて、ライブに来てもらいやすい環境を作る(会場で出会ったファン同士を繋げてあげる事で、一人でライブに行ってもライブ仲間がいる、ライブ仲間と会えるという環境を作る)等の戦略が必要です。


2、ミュージックスクールを自分で運営出来る。

チャンネル登録者(フォロワー)が増える事で、演奏や技術を教えて欲しいという人も現れるので、オンラインや実際に教室を開きマネタイズ出来ます。また、認知度が上がりブランディングが出来る事で音楽教室講師としてどこかに所属する場合も指名が取れやすくなります。


3、イベント出演のオファーが増えたり、営業がやりやすくなる。

フォロワーが増えたり、認知度が上がる事で音楽イベントをはじめ、イベンターからの出演依頼オファーが増えます。

音楽のジャンルやシーンによって求められることを提供する対応力にもよりますが、結婚式・企業イベント・お祭り出演・各種パーティー・ショッピングセンターでのパフォーマンス等々、演奏の依頼も多岐にわたる為マネタイズ出来ます。

また、認知度を上げブランディングすることで、クライアントに営業しやすくなります。


4、企業CM制作・タイアップが取れやすくなる。

音楽のジャンルや求められるものを作れるという対応力にもよりますが、企業CM制作を受注出来たり、タイアップが取れやすくなります。

例えばあなたのフォロワーに30代の働く女性が多い場合、企業のサービスがそのあたりの人をターゲットにしている場合は提案や営業がしやすくなりタイアップの確立が上がります。


以上です。


▼まとめ


という事で、今回は音楽が広がり音楽ライトファン、音楽一般ファンが生まれる事で出来るマネタイズについて書いてみました。

この時点ではDIYアーティストが自己表現の為の作品を制作し、アーティストファーストの活動だけを行い、ライブ活動や音楽配信の収益だけでやっていくには相当数の露出と認知度がないと難しい事は分かって頂けたかと思います。


ただ、ジャンルが大衆向けだったり、時代を読みながらヒット曲を作れたり、求められるものに寄せて音楽制作やパフォーマンスの出来るミュージシャンである場合、音楽をマネタイズする選択肢は多くあるでしょう。


次の記事では、音楽ファンを自身のワンマンライブに集客したり、グッズ購入してもらえるコアなファンになってもらう為の仕組みについて書きたいと思います!



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