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創作大賞「ドラゴン・シード」#12

#創作大賞2024 #ファンタジー小説部門

12話

 ジンは、バザール近くのビルの廃墟にあるいつものチューブを飛び出すと、一旦大きく息を吐き出し、両手でバシバシと顔を叩いた。頭を切り替えるためだ。
 それからモバイルのGPSを開き、ストーカー被害にあっているマリーの居場所がマークされている場所を確認した。バザールの真ん中あたりだ。彼女の住むアパートとも近い。
 買い物にでも出たタイミングでストーカーのモリソンに遭遇したのだろう。一度は説得に応じ、異常な付きまとい行為がやめられない彼のための、治療プログラムに参加すると約束させたが続かなかったらしい。
 狭い裏通りの路地の行き止まりで、マリーが買い物袋を抱えたまま震えていた。
 その目の前に立ちふさがっているのは、頭頂部の髪が薄いモリソンの、大柄で丸い背中だった。覆いかぶさるように彼女の目の前に立っている。
 ジンはモリソンを刺激しないよう、努めて何気ない風を装って背中から声をかけた。
「やあ、モリソンじゃないか。どうしたんだ、こんなところで?」
 モリソンがゆっくりとジンを振り返った。
「やあ、ジン……」
 彼は様相が変わっていた。
 憔悴しきって目の下にはクマが浮いている。以前は顔も体も分厚い贅肉に覆われていた彼は、驚くほど痩せていた。頬はたるみ、はち切れんばかりだったスーツには、あちこちシワが寄り、そのせいで余計に老けて見えた。ハンカチを口に当てながら、しきりに咳き込んでいる。
 ほんの一週間ほど前に会った時は、こんな風じゃなかった。
 そして全身から、つけすぎた香水のキツイ匂いがした。紅茶やイヴのシャンパンからも香った例の妖しい媚薬の香りだ。
「どうしたんだ? ずいぶん痩せたな、モリソン」
「そ、そうかい? でもちゃんと食ってる。食欲は旺盛なんだ。新作を作ったからそれをマリーに渡そうと思って。マリーは僕の作るアクセサリーが好きだから……」
 何度か咳き込みながらそう言って、モリソンがポケットから掴み出したのは、深紅の天然石がふんだんに使われた様々なアクセサリーだった。モリソンの甘い匂いがさらに濃くなった。ネックレスやブレスレットのチェーンが絡み合い、アクセサリーはモリソンの手の中でもつれあっている。どうやら匂いの元はこのアクセサリーらしい。しかし、それはそれとして、モリソンは極めてよくない兆候だ。
「……そうか。でも、彼女に直接会うのはNGだ。約束しただろう?」
「わかってる。でも、会いに来たわけじゃない。ここで会ったのは偶然だよ」
 偶然ならなぜマリーに渡そうとしたアクセサリーを持っているのか。言っていることがおかしい。妙に間延びしたモリソンの不穏な話し方にジンは緊張を強めた。
「匂いがするなんて変わった石だな」
「ああ、これかい? 龍涎香りゅうぜんこうっていうんだ」
「ああ、アンバーグリス?」
「ふふ、バカだなジン、違うよ。何も知らないんだ……」
「マッコウクジラから採れる香料だろ?」
「ゴホゴホッガハッ……!」
 モリソンは激しい咳の発作でハンカチを口に当てながら体を震わせている。ジンがさりげなくマリーに手で逃げろと合図を送っている。
「モリソン、大丈夫か?」
 見かねて背中をさすった。
 その隙に、マリーがそっとそこを立ち去ろうとした。
「マリーッ‼」
 それに気づいたモリソンが、突然悲鳴のような声で叫んだ。マリーがびくりとすくみ上る。周囲の通行人も何人か振り向いた。
 モリソンが手にしたハンカチを捨て、一歩踏み出した弾みに、ポケットを引き裂いて、おそらく彫金の道具らしい尖った金具がカランと音を立てて落ちた。
「どこへ行くんだよマリー‼ それに、なぜ僕がプレゼントしたアクセサリーをしていないんだ⁉」
 モリソンの狂った言い分に、マリーがたまらず叫んだ。
「そんなのひとつ残らずもうないわよ! 全部売っちゃったわ! あ、あたしはあんたの恋人じゃない! ただの知り合いでしょ! あんたの匂い嗅ぐだけで吐き気がすんのよ!」
「マリー……どうして……?」
 モリソンは完全に箍が外れている。足元に落ちた金具を拾い上げ、マリーによろよろと近づこうとしたところをジンが抑えた。
「モリソン!」
 モリソンはジンの腕の中でもがきながら、なおもマリーに迫ろうとする。
 マリーはその隙にさっさと逃げてしまった。
「離せ! 離してくれジン!」
 渾身の力で振り払おうとするが、ジンがモリソンの両腕を背中に回してガッチリと肩を抱え込んだだけで、彼はまるで身動きができなかった。訓練されたジンだからこそではあるが、モリソンが異様に痩せて体力が落ちていることも大きい。
「モリソン、俺にこれ以上させないでくれ」
 ジンが静かにそう言うのを聞いて、モリソンはやっと諦めて力を抜いた。
 ジンがさりげなく、モリソンから金具を奪って自分の懐に仕舞った。
「モリソン、俺と一緒に帰ろう……」
 ガックリとうなだれたモリソンが力なく言った。
「……ひとりで大丈夫さ」
「でも、具合が悪そうだ。せめてバザールの入り口まで一緒に行こうぜ」
「……ああ」
 彼は案外素直に従った。そして、ジンと肩を並べて歩き始めたがヨロヨロとして足取りがおぼつかない。ゴホゴホとまた咳き込んでいる。ハンカチではなく、腕で咳を抑えているその袖が、わずかに赤く汚れているように見える。
 喀血――?
 が、違った。その赤い汚れは、咳と一緒にモリソンの口から飛び出すと、受け止めた袖を滑り落ちてパラパラと地面に落ちたのだ。服に染みはできていない。そしてそれは、地面に落ちてすぐ溶けて消えてしまった。
 なんだこれは?
「モリソン、大丈夫か?」
 ジンがそう言い終わる前に、モリソンは突然その場にがくりと膝をついた。
「おい?」
 手を貸すとモリソンは肩で息をするだけで、腕を上げるのも億劫そうだった。慌ててそばにあるベンチに座らせた。
「僕は…少し……ここで休んでから行くよ」
「救急隊を呼ぶか?」
「必要ないさ……」
 モリソンはぐったりとベンチに座りながらふっと笑った。そして、ジンがモバイルで救急隊を呼んでいる間に、ポケットから先ほどの絡み合ったアクセサリーを引っ張り出すと、ジンの手に無理やり押し付けた。
「君にあげる。好きな女にプレゼントすればいい。喜ばれるよ。僕はこう見えて、人気ジュエリーデザイナーなんだ」
「あ、ああ……」
 ジンは救急隊に居場所を告げながら、半ば上の空でそれを自分の上着のポケットに押し込んだ。
「ここだけの話、この石は本物なんだ。本物の龍涎香なんだよ……」
 ジンがモバイルの通話を切った。
「え、なんだって? モリソン、アンバーグリスはどこで手に入れた? それをイヴにも売った?」
「イヴ? ああ、あのナイチンゲールの? そうだね、彼女は僕のお得意さんだから」
 イヴなら媚薬にもなるアンバーグリスの効能を正確に知っていただろう。それに、死んだ客のひとりは魔石協会の会長だった。その伝手から独自に入手できたかもしれない。
「はぁ……なんだか疲れちゃったよ……」
 そう言って、がっくりとうなだれたモリソンの肩に手を置いたところで、ジンは彼が息をしていないことに気づいた。
「モリソン、おい、どうした? しっかりしろ!」
 モリソンはすでに事切れていた。
「モリソン‼」
 ジンはすぐに救命措置を施したが、咳の発作を繰り返していただけに、マウストゥマウスはリスキーだ。仕方なく、手で心臓マッサージを繰り返す。しかし、モリソンが息を吹き返すことはなかった。
「くそ、モリソン!」
 身体中に染み込んだ香水の匂いを生々しく放つモリソンの遺体を見下ろしながら、ジンはふとシュアンの死に顔が思い浮かんだ。ケバブ屋の屋台にもたれかかって衰弱死していた、春をひさぐことしか知らない少女のような哀れな少年。それ以外にも、検死解剖に回された様々な男たちの何かに疲れたような顔写真。みんな同じだ。
 ――同じ病気で死んだ人間は同じ匂いがするんだ……。
 そう言っていたのは、仲間を衰弱死で亡くした元葬儀屋の男ではなかったか。
 やがて救急隊がやってきたが、結局死亡確認をしただけだ。ジンは捜査官バッジを見せ、このままセントラルの医療研究所に運び、すぐに検死解剖に回してくれと依頼した。そして、モリソンのポケットから自宅のカードキーを抜き取ると、そのまま彼の自宅に向かった。
 モリソンはこの数週間ほどの間に異様に痩せて衰弱している。イヴとも繋がっているし、数週間前に長年勤めていた役所を辞めていることもわかっている。母親を亡くしてからこの数ヶ月のモリソンは、四十二年の生涯でもっとも活動的に暮らしていたはずだ。
 ――必ず何かある。

◇ ◇ ◇ ◇

 再び、第二セクター行政区の外れに建つモリソンのマンション。シンプルで清潔で快適な二十階建ての十五階1517号室。
 ジンがカードキーを使って中に入ると、前回来た時にはそれなりに片付いていたモリソンの部屋は、たった数週間ほどで見事な汚部屋になっていた。キッチンの流しに山と積まれた汚れた皿、そこいらに無造作に放り出されたゴミや服の山。排水溝の腐敗臭に、埃で白っぽく汚れた廊下や、シミだらけのラグ。彫金の作業スペースもゴチャゴチャでゴミに埋もれていた。モリソンの精神状態と同じぐらい荒廃している。
 この状態に加えて、部屋中にそこはかとなく混じる甘い匂いで、むかつきが抑えられない。
 ジンはすぐに窓を開けて換気すると、ここでなにから手を付けようか途方にくれた。
 ジンが探しているのは、未知の亜種の痕跡だ。何を探せばいいのかもよくわからないが、とりあえず、亜種の痕跡がなさそうな邪魔なゴミだけでも袋に詰め込むことにした。あとで科研に持ち込むためだ。
 十分ほど作業したところでインターフォンが鳴った。無視しようかとも思ったが、訪問者もモリソンの一部だと思い直してモニターを確認した。
 するとそこには、小柄な若い娘がキャリーバッグを持って立っていた。
 すぐにドアを開くと、明るいブロンドに青い瞳の娘がキョトンとジンを見た。
「あ、あの、モリソンさんは?」
 モリソンの知り合いらしい。この娘はジンがモリソンじゃないことをちゃんとわかっている。
「君は?」
「ああ、私は魔法道具屋です。モリソンさんに宝石のご依頼を受けて来たんですけど、お留守ですか……?」
 その見た目と扱っているものを聞いて、ジンはピンと来るものがあった。「もしかして、君はフレーネ? 十二セクターからやって来た魔術士の?」
「……あのう?」
「ああ、すまない、俺はジン。便利屋だ。ケイトの友達だ。知ってるだろ?」
「ケイトの? じゃあ、あなたが天才軍師のスキピオのジン?」
「ただのジンだよ」
 ジンと同じようにゴミ袋を手に持ったフレーネが驚いて声をあげた。
「ええ! モリソンさん亡くなったんですか⁉」
 話を聞きたいと部屋に上げたら、成り行き上手伝うと言ってくれたのだ。
「ああ、さっき」
「どうして……?」
「調査中だ」
 ジンはゴミをかき集めながら、フレーネに先ほどの出来事を簡単に説明した。
「君はどこでモリソンと?」
「初めて会ったのはナイチンゲールです。ナジャムでも見かけましたし」
「まぁ、そうか。出会うべくして出会うか……」
「私は魔石や天然石扱ってますからね。モリソンさんのジュエリーは本当に素敵でした。女性人気も高くて……。とても残念です」
「もしかして、君がモリソンにアンバーグリスを卸していた?」
「え、まさか! そんな高価な石、とてもとても。アンバーグリスって、もしかして、さっきから匂ってるこの匂いが、やっぱりそうですか?」
「そうだと思う」
「私が知ってるアンバーグリスは、母の形見のこのピアスだけです」
 そう言って、フレーネが髪を耳にかけて、小さな赤いピアスを見せてくれた。
「小さくて古いから、もう匂いもほとんどしませんけど、これ以外でアンバーグリスなんか、見たこともないです」
「そうか。アンバーグリスってどういう石?」
「この世界だとマッコウクジラですが、魔石の方は文字通りドラゴンから採れる結石で、とても貴重で高価で、扱いが難しくて、通常は細かく砕いて香料の原料や魔法薬に混ぜて使ったりします。だから、あまりアクセサリーには使いません」
「へえ、アクセサリーには使わないのか」
「はい。脆いですからね。普通は主に魔法薬の原料です。一番有名なのが媚薬の原料で、一般的によく使われる火蜥蜴サラマンダーより効果が劇的です。この香りを嗅がせながらだと暗示にかけやすいんです」
「そのようだな……」
 ジンは昨夜のケイトの様子を思い浮かべた。昔はまだ十代だったので、ケイトが酒を飲んでいるところを見たのは初めてだったが、赤くなっていたことを思うと、それほど強くないはずだ。そこへアンバーグリスのような強力な魔法薬が加わればケイトをコントロールするのは容易かっただろう。ただ、当人の不器用さまではいかんともしがたい。
「でも、アンバーグリスはもうひとつ不吉な言い伝えがあって、これを持っている人は長生きできないと言われています。まぁ、希少な宝石ってよくそういう逸話が残ってたりしますけど」
「ああ、旧世界のホープダイアモンドな。持ち主を次々に破滅させていったとかなんとか」
「まぁ、すごい大金が絡むからでしょうね」
「どのぐらいの価値なんだ?」
「大人の拳大で、家族四人が楽に数十年暮らせるぐらいだって聞いたことあります」
「へえ、そりゃすごい。あ、そうだ、フレーネ、ちょっと、これを見てくれないか?」
 ジンがモリソンにもらった、もつれあっているアクセサリーの塊がポケットにあるのを思い出して引っ張り出した。
「わ、モリソンさんのジュエリーですか?」
「死ぬ直前にモリソンにもらったんだ。この中にアンバーグリスのアクセが……?」
「ああ……」
 そのアクセサリーの塊を、フレーネが慎重にほぐしながら確かめていた。
「すごい。これと、これと……これ、ほとんどそうです……。こんなにたくさんのアンバーグリスを見たのは初めてです」
「モリソンはどこでこれを……」
 ジンが半ば独り言のようにつぶやくと、フレーネが「あ!」と声を上げた。
「そう言えば少し前に、故郷の魔石協会の金庫で保管されてるアンバーグリスが盗まれたって大騒ぎになってました。でもまさか、あのおとなしいモリソンさんが……」
「ふーん、可能性はあるな。奴には前科があって、石のこととなる見境がつかなくなる」
 フレーネは、モリソンのアクセサリーを急いでキッチンで見つけたプラスチックケースにまとめて入れた。そしてキッチリ蓋を閉め、その上に手をかざすと短い魔法を歌った。匂いを封印する魔法だそうだ。
「ずいぶん厳重だな」
「高価な石ってこともありますけど、やはりこの香りの効果は侮れません。あまり長期間この香りをかぎ続けると、心の弱いタイプは錯乱することがあります。こんなのポケットに入れて持ち歩いてたなんて、ジンさんは大丈夫ですか?」
 だとすれば、モリソンのあの精神症状はこの石のせいか?
「実は、さっきから頭がガンガンする。君は大丈夫?」
「私は平気ですけど、よければ痛み止めの魔法歌いましょうか?」
「それはありがたい。ああ、そういえば君は、石に魔法を定着させることができるとか?」
「ああ、ケイトから聞いたんですか?」
「うん。よければ見せてくれないかな?」
「いいですよ。他でもないジンさんの頼みですもんね。じゃあ、これにしましょうか」
 そう言って、フレーネは自分のキャリーバッグから、青い石のついたイヤーカフと小指ほどの小瓶を取り出した。
「それにどうやって魔法を定着させるんだ?」
魔法うたの音域を変えるだけです」
「へえ、1オクターブ高くするとか低くするとか?」
「まぁ、そう単純でもないんですけど、やってみますね」
 そう言って、フレーネはキッチンにあった小皿にイヤーカフを乗せ、小瓶の中の赤い液体を一滴垂らした。
「それは君の血液?」
「そうです。魔術士が魔法薬作るときと同じです」
 フレーネは一度深呼吸して意識を集中すると、低い声で癒しの魔法うたを歌い始めた。
 それは、いつもの聴き慣れた華やかで浮き立つような癒しの歌でありながら、まるで違う歌のようでもある。音域を変えているからだろう。
 ジンがいつも不思議に思うのは、癒しと聞けば穏やかで優しい音なのかと思いがちだが、華やかな癒しの魔法うたは案外アップテンポで激しい。魔術士に言わせれば、傷ついた体の細胞を活性化させるのだからこれでいいのだと言われて納得した。
 ついでに言えば、効果さえ引き出せれば実は歌はなんでもいい。大体はみな同じ曲を使うが、中にはオリジナルの作詞作曲をする魔術士もいる。優れた魔術士は人気歌手でもあるので、各地で様々なコンサートも開かれている。ジンの素人目で見て、フレーネは実は結構な歌い手じゃないかと思う。思わずうっとりと聴き入ってしまった。イヤーカフの青い魔石が明るく輝き始め、それとともに、ひどい頭痛がスーッと引いてゆく。
 歌に合わせてイヤーカフの青い魔石の光は強く弱くなりながら、歌い終わるとともに石に吸い込まれるように消えた。
「はい、どうぞ」
 フレーネはうっすら額に汗をかいていた。青い魔石には、それまでにはなかった赤い縞模様が取り巻いていた。
「すげえ……。ありがとう、歌を聞いているだけで頭痛が治まったよ」
「それならよかった」
 ジンは素直に感嘆し、手の中でイヤーカフを何度も矯めつ眇めつしながら、 最後に右耳にイヤーカフをつけた。
「ホントはもっと長く歌いたいんですが、にわか仕立てです。なので効果もすぐなくなりますし、この縞模様もすぐに消えちゃうと思います」
「いや、十分だよ。ありがとう。料金は……」
「いいです。その青い石は、値段のつかないクズ魔石ですし、出会いの記念ってことで」
「でもそれじゃ……」
「じゃあ、これから何か魔法道具を買うならうちをご贔屓にしてください。『スキピオのジン』御用達なら箔が出ますから」
「そいつは怪しいが、出来るだけそうさせてもらうよ」
 にっこり笑うフレーネのご厚意に甘えることにした。
 この効能に関しては、ケイトの怪我で立証済みだ。
 最後に二人は、マンション前で手を振って別れた。

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