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研修会「ACTからオープンダイアローグへ」に参加して

都内某所で、高木俊介先生の研修会「ACT(包括的地域生活支援プログラム)からオープンダイアローグへ」に参加しました。

率直なところ、当初はあまり期待していなかったというか、
この内容をぜひ聞きたい!というよりは、
「久しぶりに対面の研修に参加したいなー」という欲求が参加を決めた動機でした。
高木先生のことも、今回調べてみて初めて「あ、ACT-Kの人なんだ、この本書いた方だったんだ」などと知ったくらいで。 恥

そんなところから参加してみましたが、
現地で一期一会の場で受ける刺激はやはり素晴らしく、
あれこれと刺激を受けて頭を忙しくしてもらったので、書いてみます。

|ACT(Assertive Community Treatment:包括的地域生活支援プログラム)|
Assertive Community Treatment(ACT)は、
1970年代にアメリカ・ウィスコンシン州マディソン市で始まった。
重度の精神疾患を持つ人々に対する包括的かつ継続的なケアを提供するプログラム。
ACTの主な目的は、患者が地域社会での生活を維持し、入院を避けることです。このアプローチは多職種チーム(精神科医、看護師、ソーシャルワーカー、ケースマネージャーなど)によって提供され、患者のニーズに応じた個別化された支援を行う。
ケアは患者の自宅や地域社会で行われ、24時間体制でサポートすることが特徴。です。


|日本でのACT|
その日本での普及状況については、一業界人として見るところ、
2000年代に厚労省の肝いりで日本でも導入され、ACT-JやACT-Kといったいくつかの先進的なACTチームが軌道に乗って活動しているものの、
国からの支援を受けて始まった割に、「ちょっと気合いが入った訪問看護」のようなところでとどまって、普及に向かっているとは言い難い状況に見えます。
かつ、昨今は厚労省は「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム:にも包括」として、ACTをこの「にも包括」のなかに抱合していきたいようです(外野の推察)。


|ACTの現在地とACT-Kの危機|
研修会の中でも「他の国々においても、ACTは(時には強制的な)医療の側面が強くなりすぎてしまい、衰退しつつある」と語られていました。
ACT-Kも、衰退はしないまでも、10年ほどして停滞期を迎えたといいます。

当初の「重症患者さんを支援したい」という理念から、始まっても、
成熟し、世代交代し、システム化する中で、劣化していってしまう。
やりがいの大きい創成期から拡大しないまでも、維持、再生産のタイミングとなると、
メンバーの離脱や対立など起きてくる。
全てのきらきらしたスタートアップあるあるというか、
あらゆる組織の避けられない定めなのかもしれません。

そこで瓦解してしまうのか、維持再生の仕組みを生み出せるのか。
それが組織存続の分かれ道ですね。

|Anticipation Dialogue:未来語りのダイアローグ|
ACT-Kでは、その停滞をAnticipation Dialogue:未来語りのダイアローグ、によって乗り越えた、というのが、今回の研修会のキモでした。
(高木先生はそう明確には語りませんが、私にはそう伝わりました)

ダイアローグ実践研究所のHPで高木先生は、
「『未来語りのダイアローグ』(Anticipation Dialogue)は、多機関、多職種が連携して行う対人支援活動をうまくやっていくための方法です。そのような活動は、往々にして各機関、各職種の間のコミュニケーションがうまくいかず、行き詰まってしまうことが多くあります。
『未来語りのダイアローグ』は多様な関係者がかかわるさまざまな社会的場面で用いられます。それは多様な関係者がかかわりながら長きにわたって変化が起こらなくなってしまったり、異なる立場の人々のあいだで不安や不満がくすぶり、関係者相互の信頼が揺らいでいたりして、どうしていいかわからなくなってしまった状況を打開するために行われます。」
と説明しています。
https://www.dialogical.one/?p=34

Anticipation Dialogue:ADの取り組み方などについては、上記などを参照してもらうとして、
今回、高木先生はADについて「組織の中で対話しやすい状況を作る技術、その方法論」である、
その延長線上にこの先の精神医療が良い方向にむかう未来がある、と伝えたいのだと感じました。

長くなってきたので、この項続きます。


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