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産業メンタルヘルスコンサルタント メンタルケアに特化した産業医・精神科医。産業医事務所…

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産業メンタルヘルスコンサルタント メンタルケアに特化した産業医・精神科医。産業医事務所のなかの人。メンタル対策の解決と限界を企業に。上司や労務担当者の「次にどうすればいいのか」を支えます。

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「産業メンタルヘルスコンサルタント」の自己紹介

メンタルケアに特化した産業医であり精神科医です。 産業医・労働衛生コンサルタント事務所を開設しました。 関連資格はいろいろ持ってますが、省略。 一般に対応がめんどくさいと思われがちな、 いわゆる「発達障害」やいろんな「うつ」への対応が得意分野というか、 好物です。 解決志向アプローチと法的根拠、医学的根拠に基づいて、上司や労務担当者の「次にどうすればいいのか」という疑問に答え、解決と限界を企業に提供します。 noteでは、職場のメンタルヘルス対策や精神医療にまつわること

    • ボーダーラインシフト、BPDにどう対応するのか BPDその5

      BPD者の操作性、操作的言動に気づいて、 BPDに気が付いたら、そこからどうしたら良いのか。 ここではその話をしたい。 まずそれを認識することで心理的距離を取ること。 気づくだけでも距離は取れるけれど、 距離を取るのと突き放す、毛嫌いするのは違う。 関係を断つ、という選択肢もあるかもしれないけれど、そうもいかないことの方が多いだろう。 つまり、程よい距離を取らなくてはいけない。 程よい距離を取ることで、BPD者の操作性や衝動性に対して、周囲の人の耐性を上げること。 す

      • BPD「ボーダー」の早期警戒サインは「操作性」 操作的言動に気づく BPDその4

        前回までで、BPD:境界性パーソナリティー障害での中核的な行動が「理想化、しがみつき、こき下ろし」の行動化であり、 まず最初に起きる「理想化としがみつき」のフェーズに気が付くサインが「操作性」だと書いてきました。 相手を理想化し、しがみつくための手段が「操作」という行為です。 <操作しようとしてんな―>と感じる要素が「操作性」。 操作、操作的言動、操作性 「操作」とは、 英語で行けばManipulation より正確に言えば、 「操作」とは「相手を自分が思う通

        • 境界性パーソナリティー障害を疑うのってどんな時? 警戒サインを考える BPDその3

          パーソナリティ障害という精神科で診断される類型があり、 その中にBPD:境界型パーソナリティー障害というものがある。 「迷惑な人」「かまってちゃん」と言われてしまうような人の中には、 そんな診断がつく人が居る、 それはまあそうであるとして、 ある人に「ボーダー」という診断ラベルが使われがちなのは、 いったいどのようなときだろう? まず最初にその可能性、危険性に気が付いて対応していくためには 何に注目したら良いのだろう? 今回はそこを考えてみる。 理系的に言えば、BPDの必

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          そもそも「パーソナリティ障害」ってなに? で、その「境界」ってなに? BPDその2

          あんまり大上段に「そもそも精神科の診断とはー」とかやるのは柄じゃないと思っているので、 これまでできる限り避けてきたのだけれど、 ちょっと今回はそもそも論から入らないといけないかもしれません。 なんでって、その「パーソナリティ障害」というものがわかりにくいから。 境界型パーソナリティー障害BPDの話を始める前に、 まずはパーソナリティ障害という診断類型の話をしましょう。 何をもって「パーソナリティ障害」? 統合失調症やうつ病、躁うつ病といった狭義の精神病とは違い、 ど

          そもそも「パーソナリティ障害」ってなに? で、その「境界」ってなに? BPDその2

          いわゆる「ボーダー」、BPD:境界性パーソナリティー障害 はじめ BPDその1

          「ボーダー」なんて略称される、境界性パーソナリティー障害 BPD:Borderline Personality Disorder かつては何かというと 「あの患者はボーダーだから」 などと盛んに使われていたように思うが、 今はあまり使われなくなったように思う。 あまりに使われすぎて流行らなくなったのだろうか、 それとも発達障害のブームに負けてしまったのだろうか。 精神科の業界用語も、一般のメンタル用語も、このように流行り廃りで変遷しているのだろう しかしながら、メンタル

          いわゆる「ボーダー」、BPD:境界性パーソナリティー障害 はじめ BPDその1

          言霊からオーバードーズ:ODへの対策を考える

          若年者の市販薬などの濫用、過量服薬、OD:オーバードーズが止まらない。 私の勤め先の様な単科精神科病院にも 「ODしちゃってー」などとカジュアルに語る若人が増えている感覚はある。 総合病院の救急外来にはそれこそ掃いて捨てるほど運ばれてくるという。 従来の自殺企図目的の過量服薬と異なるのはその捉え方のカジュアルさだと思う。 リストカットとか かつて「リストカットしてくる子ってどうしたらよいの?」と、同級生の救急医に聞かれたときのことを思いだす。 「うちの子のリストカットはどう

          言霊からオーバードーズ:ODへの対策を考える

          「医師による医師のためのChatGPT入門」と「医療者のためのChatGPT」:読み比べてみた その2

          その1、では読んでみただけで終わってしまいました。 その2、では今年の精神神経学会のAIについてのシンポジウムも踏まえて、精神科医として現状を見たときに何を思うかについて書いてみます。 医師の業界で生成AIを使って現時点で何ができるのか。 というと、この2冊に書かれているような、 翻訳機能を生かした医師の学習、研究、報告がメインになっている。 これはいつか来た道ですねー 30年ほど前の初期のPCの利用はこのような目的が始まりだったように思います。 「医師のPCと言えばMac

          「医師による医師のためのChatGPT入門」と「医療者のためのChatGPT」:読み比べてみた その2

          「医師による医師のためのChatGPT入門」と「医療者のためのChatGPT」:読み比べてみた その1

          煽りに弱いので ちょっと前は「IT活用!」次は 「DX!」そして「猫も杓子もChat-GPT!」 いつものごとく「100年に一度の大変革の時!()」です。 先日の日経クロストレンドから流れてきたメールのタイトルは 「生成AI使えないおじさんを回避せよ」だそうな 煽ってきますなー でも、気にならないかと言われれば嘘になる。 「使えない」のは癪に障るので、 触れてから、せめて「今の自分の状況では使わない」にはしておきたい。 そんなアーリーマジョリティでありたいオイラに アーリ

          「医師による医師のためのChatGPT入門」と「医療者のためのChatGPT」:読み比べてみた その1

          子育てに悩む親への1冊目に:「マンガでわかるペアトレ: 育てにくい子をほめる・のばす!10のレッスン」

          「子育てって具体的にどうしたらいいの?」と悩む親御さんは実に多い。 顧客企業の従業員さんであったり、であう患者さんであったり、自分の仲間であったり。 今回はペアトレ(ペアレントトレーニング)の本。 ペアトレとは ペアトレとは、ペアレントトレーニングの略です。 発達障害の子どもへの対応法のひとつとして、 まず子どもの父母(ペアレント)が上手に子どもに対応できるようになること、 そして、子供に一番身近な父母が適切な対応ができることで自己効力感を持てるようになり、より子供に関わ

          子育てに悩む親への1冊目に:「マンガでわかるペアトレ: 育てにくい子をほめる・のばす!10のレッスン」

          今日は大学時代の同窓会 楽しみなんだけど行きたくない。 そんな感じ 陰キャってやーね

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          産業医と「ひよこ食い」とか「オンラインサロンビジネス」とか :8/11追記

          「ひよこ食い」ってご存知でしょうか。 「起業したてや、士業に合格したばかりの駆け出しの情報弱者を対象とする搾取ビジネス」とまとめられるような、 カモをターゲットにして食い物にするビジネスモデルです。 「ひよこ狩り」と表現されることもあるようです。 こちらの方が言葉としてはわかりやすいかもしれません。 産業医も士業の端くれ。 まして”お医者様”をしてきたような世間知らずばかりの世界です。 ひよこ食いをするには最適な領域なように思います。 産業医業界が盛り上がる中で、「これは

          産業医と「ひよこ食い」とか「オンラインサロンビジネス」とか :8/11追記

          若者との「1on1」を語りたい本。「静かに退職する若者たち 部下との1on1の前に知っておいてほしいこと」

          Quiet Quittingなる言葉がありまして。 もう2年くらい前から、Tiktok界隈での流行しだした言葉のようです。 Quiet =静かな Quitting =退職 だから黙って静かに仕事を辞めていくのかと思いきや、 「要求されたこと、決められた役割は果たすがそれ以上に努力はせず、定時になったら即帰宅して自分の時間や楽しみを大切にすること」 なのだそうで。 それって「Minimal Work =最低限の仕事」とかがより正解なんじゃないかと思うけど、ちょっとひねってるの

          若者との「1on1」を語りたい本。「静かに退職する若者たち 部下との1on1の前に知っておいてほしいこと」

          「産業医入門 知っておきたい産業保健裁判例18の教訓」 

          読み始めは果たしてこれは”入門”編なのだろうか?と思うが、 ぐるっと一周読み終えてみると、「入門というか、とっつきにくくはあっても、必修の基礎部分かもしれないな」と納得する良書です。 「産業医入門」としているので、産業医以外は手に取りにくいかもしれないけれど、 これを読むことで「企業はなんで産業医を利用したほうが良いのか」について納得がいくように思うので、 心ある企業の人事労務担当者にも読んでいただきたい。 産業医が関わり、係争となった事例について、 その事案の概要と、時系

          「産業医入門 知っておきたい産業保健裁判例18の教訓」 

          続「ニューロダイバーシティ」 その先を考えてみる

          前回は、ニューロダイバーシティ:NDという言葉についてと、 NDは人手不足とダイバーシティアンドインクルージョン:DIによって注目されている、流行り言葉となってきている、と書きました。 今回はそんなND、DIと日本社会の変化について考えてみます。 |NDって言わなくても| これまでも、ニューロダイバーシティなどと詠わなくても、 ITに限らなくても、異能の人は活躍してきました。 トマス・アルバ・エジソン、 チャールズ・ダーウィン、 アルバート・アインシュタインなどなど。 彼

          続「ニューロダイバーシティ」 その先を考えてみる

          「ニューロダイバーシティ」なるもの

          なんだか最近、ニュースなどで「ニューロダイバーシティ」という言葉が目につきます。 「企業がいまこそニューロダイバーシティに本気で取り組むべき理由」 DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー こんな記事。 企業が発達障害などの特性を持つ人に対して、障害者雇用ではなく貴重な戦力として活用していきたい、そういった視点からであるようです。 いま、力を発揮できないでいる人に能力発揮してもらおうよ、と。 そんなニューロダイバーシティ:NDについて、精神科産業医として思うところ

          「ニューロダイバーシティ」なるもの