私の過去の作品⑯

さっきから私には目の前のものが見えていない…。
いや、見ようとしていない。
それより、私の記憶の風景に目がいってしまうのだ…。
あの頃の風景の中に私はいる。
どこか重たく、冷たく、ぎこちない。
目を伏せても探してもあの場所に帰ってしまう。
耳を塞いでも、足の動きを止めようとしても、あの場所にも戻り、あの頃の音が蘇る…。
少しずつ身体がこわばり涙が浮かぶ。
忘れかけていたのに…。
どうして今頃思い出すの…。
私の記憶はどうして私を苦しめ虐めるの…。
押しつぶされそうな重たい夜の闇ですすら、私の眼の奥のこの風景を消してはくれない…。
苦しいよ…。

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