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ビジネス学習ゲームのプロトタイプを作ってみた話

【はじめに】

自己紹介
みなさんこんにちは。グロービスの仲道と申します。
GLOBIS 学び放題というビジネス動画学習サービスでコンテンツ開発(企画や撮影・編集)を行っています。
この度、ビジネスを学ぶゲームのプロトタイプを作りました。
とはいえ、エンジニアさんのようにコードを書いてゲームを作れるわけでもないので、オサレな素材がたくさんあるCanvaと、そのリンク機能だけで作りました。
プロトタイプなので2日間くらいでさっくりと。

Canvaのデザイン素材とリンク機能のみで制作

このゲームはどうやら、エンターテインメント性のみを目的とせず、教育・医療用途といった社会問題の解決を主目的とする、シリアスゲームというジャンルに入るようです(最近「アトムの童」というドラマで知りました)。
なぜビジネス学習サービスでゲームを作ったのか?や、GLOBIS 学び放題が学習をどのように考えているかなどお話したいと思います。
もしご興味があれば、ぜひご一読ください。

そもそも、ビジネスを学ぶって何だろう?
本題に入る前に、GLOBIS 学び放題は簡単に言うとビジネスを学ぶための動画学習サービスですが、そもそも、なぜビジネスを学ぶ必要があるのでしょうか?
財務やマーケ、リーダーシップなど領域ごとのスキルや知識を習得するためということもありますが、個人的には「ビジネスを学ぶことで視点が増えて、解釈の幅が広がる」という点が最も有益だと感じています。
目の前の状況がどんなに変化してもポジティブに解釈し、前に進める。VUCAだなんだと言われる昨今には必要なことではないでしょうか。
また、人は24時間365日、誰かのビジネスに触れていますよね。
もしもあの世があるならば死んでもなお誰かのビジネスに触れていることになります(笑)。
ビジネスと切っても切れない関係の私たちにとって、ビジネスを学ぶことはとても意義があると思います。

ゲームを作った目的
なんて偉そうに語るのはキャラでも柄でもないのでそれはさておき、ビジネスを学ぶことが実務やプライベートでも役立つのはわかっちゃいるけど、いざ学習行動に移すということに対して腰が重いと感じる人は多いようです。
もちろん自らガンガン学んで成長実感や自己効力感を感じている人も多くいますが、最初の一歩がどうも…という方も多いでしょう。
そんな方々を何とかビジネス学習の世界に導きたい、そんな想いで「ゲーム」という手段を選びました。なので「ゲーム」はツールであり手段で、目的ではありません。
目的は、ユーザー体験が楽しく始めやすい!と感じられる入り口をつくることです。

【人は楽しいことに引き寄せられる】

「学習」って楽しくないイメージ…
ビジネス学習を楽しく。
耳障りのいいフレーズですが、どうも「学習」という言葉が引っかかります。
勉強は大学の受験勉強で終わった!あんな辛い詰め込み学習、もうしたくない!なんて思っている人も多いはず。
そう思わせてしまうほど「学習」という言葉には詰め込みなどマイナスなイメージがあり、その言葉にアレルギーを感じてしまうのではないでしょうか。でもそれが人情というもの、致し方なし。
それでも、VUCAな時代には学習してスキルアップし、成長しないといけないこともわかってる、そのために努力が必要なこともわかってる。
そんな人がアレルギーを感じることなく「楽しい」と感じながら「学習」に取り組む最初の一歩となるようゲーム企画を考えました。
科目はグロービス伝家の宝刀、クリティカル・シンキング、そして、そこに掛け合わせるのは「謎解き」というエンターテインメントです。

「謎解き」は楽しい!
なぜ「謎解き」というテーマを選んだのか?
簡単に言うと、私も含めて謎解きが好きな人が世の中には多いと思ったからです。
ミステリーや謎解きは映画にドラマ、アニメ、ゲームに小説と色々なエンターテインメントでもテーマになっていますし、ご存知の体験型ゲーム「リアル脱出ゲーム」も盛況です。
そうなんです、みんなミステリーや謎解きというテーマが好きなんです。
そこに謎があれば「何でだろう?」と考えてしまうのです。
「謎」という存在自体が「解き明かしたい!」と思わせるデザインですよね。
その謎が解けた時のアハ体験たるや、あの爽快感を一度は味わった方も多いと思います。
そして謎を解くための推理と論理思考は切っても切れないものですね。
というわけで、クリティカル・シンキングという論理思考性の強い科目との相性はバッチリなのです。そんな経緯で「クリティカル・シンキング×謎解き」というコラボに辿り着きました。

【アウトプットで飢餓感を生み出す】

「ゲーム」でまずはアウトプット
ではなぜ「ゲーム」というスタイルにしたのか?
謎解きなら小説でも漫画でもドラマ仕立ての映像でもいいじゃないか!とツッコミの声が聞こえてきそうですが、ゲームにしたのには理由があります。
それはアレコレ考える前に手を動かしてやってみたくなるからです。
前述した通り自発的に最初からインプットできる方は良いですが、そうでない方は「学習」への一歩は結構腰が重い。
アレコレ考えているうちに、後でやろう…やっぱり明日から…う〜ん来週から…とどんどん先延ばしにしてしまい、結果何にもインプットできなかった…ということもあるようです。
なぜそうなってしまうのか?それは「飢餓感」がないからだと考えています。
来週のプレゼンどうしよう!コミュニケーションで悩んでます…といった切羽詰まった状態だと学習に対する飢餓感が生まれインプットの必要性を感じますが、そうでない限り学習への飢餓感はなかなか生まれにくいのではないでしょうか。
よって、とりあえずやってみたくなるゲームを通じて先にアウトプットしてもらい、「なぜそうなるんだ〜!知りたい知りたい!うぉ〜!」という飢餓感を生み出し、インプットという知識のシャワーを浴びて、まるで乾いたスポンジが満たされていくような…悦。
というわけでまず、ゲームをやってアウトプットしてみる、そして知りたいという飢餓感を生み出す、そこから学習インプットへつながっていく。という流れです。
そこには腰が重い…といった感覚はなさそうですね。

間違ったら、その理由を知るために知識をインプットしたくなる

【プロトタイプで人が動き出す】

プロトタイプの力
というわけでゲームのプロトタイプを作ってみたわけですが、このプロトタイプの力はなかなかすごいのです。

プロトタイプとは、

プロトタイプとは:
ある製品の原型あるいは試作品のことである。システム開発においては、実際に近いシステムイメージを試作品として提供することで、エンドユーザーの意見や要求を明確にし、開発者とユーザー間の意思の食い違いやニーズの違いなどを解消して、製品の品質改善を図るために利用される。

出典:IT用語辞典

とあります。
つまり試作品を作って具体的にイメージしてもらい、フィードバックをもらって改善していくことですが、この「イメージしてもらう」というところがミソなのです。
人は口頭だけで聞いた情報はほとんど残らないという研究結果があります。
・口頭説明のみで伝える→3日後、記憶に残るのは10%
・口頭説明+絵で伝える→3日後、記憶に残るのは65%
このように絵があるのとないのとでは6倍以上も記憶への残り方が違うようです。
さらに実際手にとって触れるプロトタイプがあったらより記憶に残りやすいのではないでしょうか。
口頭だけだと脳内でイメージ変換するのにコストがかかってしまうので、人を動かすときはより具体的なイメージがある方が生産性も効率性も上がりますね。
これまでも「ゲーム作りたいね」という意見は出ていましたが、やはりイメージができないと前に進まない。
特にゲームのような、実際やってみないと有用性が判断しづらいものは難しいでしょう。
しかし今回プロトタイプを作り、社内スタッフに実際に触ってもらうことによってあっという間に賛同の声が上がり、仲間が集まり、具体的な実現可能性の議論にまで辿り着きました。これがプロトタイプの力だと感じています。
プロトタイプはパワフルなコミュニケーションツールなのです。

終わりに
さぁ、これからが本番です。まだプロトタイプを作って社内ステークホルダーにイメージをつかんでもらっただけで、何も達成していません。
これからビジネス学習の最初の一歩をダイナミックな体験にすべく、色んな方のお力を借りて改善・開発していきたいと思います。
色んな壁が立ちはだかると思いますが、一つひとつ乗り越えていきたいと思います。
少しでも気になった方は楽しみにしていてくださいね。
では。

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