独立準備でやってはいけないこと

はじめに

 前所に退職意思を表明し、本格的に独立準備をしてから丁度1年ほどになります。今振り返って独立準備を進めるうえで「絶対に回避しなければならないこと」をまとめました。
 なお、この記事では非推奨というレベルではなく知人友人から相談を受けたら絶対にやめろと回答する内容を記載しています。例として、私は内装工事は非推奨、必要な物件は選択肢から外すべきと考えていますが、私が内装工事を回避できたのは運がよかっただけであり、初期費用や立地次第で絶対に回避しろとも言えないのでここでは記載していません。ただ、私と同時期に独立した同期から聞いた内装工事代はエグかったです・・・

高揚感を自覚しない

 開幕から「自覚しないことをやってはいけない」という二重否定をかまし日本語力の低さを露呈していますがそれは目をつぶってください。
 独立時の高揚感は凄まじいものがあります。個人的には司法試験に合格した時よりテンション上がっていました。普通に考えれば上手くいくばかりではないのですし、不安と恐怖に震える日もあるのですが、トータルではウキウキの期間の方が多いです。
 気分が高揚しているという自覚なしに物件の内覧や備品の選定に及ぶと何が起きるかは火を見るよりも明らかでしょう。考えうる選択肢の中で最安のものを常に選ぶくらいの気持ちでいいと思います。軌道に乗ってから金をかければいいのです。備品の買い替えや事務所の移転は恐らくとても大変ですが金で解決できます。解決できるくらいになってから金をかけましょう。
 私も気を付けていたつもりですし、物件についてはかなり抑えられたかなと思いますが、諸々の備品等を最安にしていたかと言われればNOです。基本的には最低ランクの1つ上くらいですし、ウルトラワイドディスプレイなど明らかに不要です。テプラに関しても上位機種です。今振り返れば削ろうと思えばもっと削れたなと思っています。
 エルゴトロンTRACEやらCalDigit TS4やらFlexispotやらは何なんだというツッコミは脇に置きます。購入したのは開業後ですし最低限売り上げがあるときに買っているのでセーフです。

最上階を借りる

 どのようなビルを借りるかにもよりますが、最上階は避けましょう。この季節地獄を見ます。私の事務所は3階建ての商業ビル、築約50年です。よくある場末の商業ビルと思ってもらえれば間違いありません。
 築年数は行っているものの、中身は綺麗にしてくれていますし、家賃は安く、1フロア1テナント、17坪でワンオペ事務所には十分な広さ、しかも最近下の古着屋が移転したので実質ビルには私しかいない、1階には専用でない代わりに無料の駐車スペースもあり相談者が来ても困らないとここまで見れば最高の物件と言っても過言ではありません。
 しかし、とにかく夏暑く冬寒いです。寒さについては足元にパネルヒーターを導入し事なきを得ましたが、夏はやばいです。エアコンを最低の20度・風量最強に設定しても26度までしか下がりません。電気代に目をつぶれば26度まで下がればギリギリセーフとも言えますが、26度まで下がるのも2時間くらいかかります。その間は暑すぎて仕事になりません。
 結局平日午前7時からエアコンを起動するようにスイッチボットを取り付けました。エアコンのタイマーにしなかったのは昼から事務所に行くときや雨天で気温が上がらないときなどに家から電源を切れるようにするためです。
 それなりの階数があるオフィスビルなどで最上階しか空いていないということはあまりないと思いますし、都市部なら選択肢はいくらでもありますから多くの方は比較的容易に回避できるトラップなので私と同じ轍を踏まないようにしましょう。最上階で家賃が安くなることも少なくとも私が調べた限りではありません。
 ちなみに私は今1年前に戻って物件を決めろと言われてもここにします。そもそも選択肢がそんなにないというのもありますが、上記のプラス要素はかなり大きいと考えています。一方でここまでのプラス要素がある物件はそんなにないとも思うのでやはり最上階は避けましょう。

「デスクツアー」で検索する

 一番言いたいのはこれです。youtubeでもなんでもこれで検索するだけでおしゃれなデスクが山のように出てきます。そして実際見るとあんな感じのデスクにしたくなるのです。ぱっと見で魅力的なデスクじゃないと再生数伸びないので当たり前ですね。
 彼らの多くはウルトラワイドディスプレイ(又はマルチディスプレイ)と電動昇降デスク、バカ高い椅子を用いています。この3つだけで30万円は簡単に超えます。実際にはモニターアーム、ドッキングステーション、キーボード、マウスその他小物類もあるので50万円も割とあっさり見えてきます。以前の記事で独立資金として300万円は見積もっておいた方がいいと書きましたが、その1割以上下手したら2割近くが自分のデスク周りだけで消えるのです。頭おかしいです。
 私は独立を決める前からガジェット系のyoutube動画をよく見ていましたしデスクツアー系の動画も好きでした。今も好きです。何なら今買い込んでいる諸々が揃ったらデスクツアーの記事を書こうかと思っています。そのため私がこの点でやらかすのは回避できなかったと思われます。しかし、弁護士業をこなすのであれば27インチくらいのモニターと幅120センチくらいのデスクがあれば記録を脇において書面作成は十分可能です。というか大体のイソ弁はよくてこんな感じの環境でノートPC一本という方も少なくないでしょう。ノートPC一本はさすがに厳しいと思いますがウルトラワイドディスプレイだの幅180センチ奥行80センチの天板を備えた電動昇降デスクだのは不要なのです。あと自分だけデスクに金かけまくると将来的に事務員を雇用した際に安物を与えることに罪悪感が湧きそうな気もします。
 デスクツアーに出てくるアイテムが割と揃いつつある私の現状と27インチモニター+120センチのデスクに要する費用を比較するとワンオペ事務所の1か月の固定経費くらいの差額になります。広告費を除外すれば下手したら2か月分も見えてきます。開業時にこの金額を投資することの愚は語るまでもないでしょう。デスクに5倍の費用を投じても5倍速で書面が書けるわけではないのです。一言でいえばコスパが圧倒的に悪いです。

おわりに

 探せば他にもある気がしますがとりあえず思いついたのはこんなところです。イソ弁を私と同程度の期間(4年間)ちゃんとやってきた方は多くの場合私より貯金があると思われますのでここまでシビアに考える必要はないのかもしれませんが、もっと早く独立するとか、家族がいるのでできるだけ費用抑えたいとか事情は人それぞれです。今回上げた項目はいずれも初期費用又はランニングコストの増加につながるものですので、その観点から参考にしていただければ幸いです。

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