雲に飛ぶくすり/第6話「色の無い花の温もり」
次の日。正午の時分にホテルのチェックアウトを済ませたジンは早くも「Yellow Point」へ向かった。昨日まで重厚に感じた入り口の扉に難なく手をかけたが、鍵がかけられていた。チャイムを鳴らすとガチャっと開いた。数時間ごしに二人は再会した。
「あら?ジン君ではありませんか。ここのお店のお酒そんなに美味しかったかしら。すっかりお得意さんだね」
「昨日のライムは刺激が強すぎて、しっかり二日酔いにもなったよ。色んな意味で虜になったかもね。それに大事にしてるこれを渡しそびれたか